第四十話:お見合いという文化1
私:
えー、二週間も休んでしまって申し訳ない。
お医者さんから "もう大丈夫" って言われたので、今日から復帰します。
イタリア:
日本でちゃんと結婚して、妻と子を持って……
あなた、実は恋愛強者だったんですね?
私:
え? いや、いきなりどうしたの。
男性社員:
その話を振るな、頼むから。
ムスリム:
自由恋愛は欠陥システムでース。
私:
自由恋愛?
いや、僕は「お見合い婚」だよ? もう30年くらい前だけど。
イタリア:
??? どういうことなんだい、その "お見合い" とやらは。
MtF:
時代の流れねぇ……。
たしかに上司さんが若い頃なら、まだ普通にあったわね、それ。
女性社員:
お見合いって聞くと……なんか、今はちょっと抵抗あるなぁ。
イタリア:
ちょっと説明してくれないか。ロマンがどこにあるのかすら見えない。
私:
えっとね。
親の知り合いとか、職場の上司から「いい人がいるよ」って紹介されて、
何度か食事したり話したりして、本人同士とご両家が納得したら、そのまま結婚…という流れだね。昔の日本じゃ、主流だったんだよ。
イタリア:
……恋愛要素が、ほぼ消失していないかい?
私:
ゼロではないよ。
ただ、“燃え上がる恋” というより、「この人となら一緒に家庭を作れそうだ」
という柔らかい好意から入籍するって感じかな。
ムスリム:
……非常によく分かりマス。
考え方としては、我々にかなり近いデース。
女性社員:
男性側から断ったり、逆に女性から断られたり……そういうのもあったんですか?
私:
もちろん沢山あったよ。
だからこそ "仲人さん" という仲介役がいて、
信頼と相性を天秤にかけながら調整してくれたんだ。
男性社員:
俺にも……可愛い子とのお見合いセッティングしてください……
私:
い、いや。今の時代にそれやるのは、さすがに……
女性社員:
他力本願すぎる男性は、ちょっと……
男性社員:
うっ……どうしろと(´・ω・`)
・仲人
かつて日本のお見合い文化において、男女の間を取り持つ存在であった "仲人さん"。
これは別にそういう専門職があったわけではなく、町内会の世話役、職場の上司、親戚のおばさんなど "地域の人間関係" が担うことが一般的であった。
仲人の役割は「条件・家柄のすりあわせ」「相性の一次審査」「当人同士の橋渡し」そして、断る時に揉めないように緩衝材となること。決して簡単ではない。
これが機能していた理由は…推測もありますが、地域に根差した密接なコミュニティがまだ生きており、結婚は当人だけではなく家と家の結びつきでもある、という価値観もあったから、なのではないでしょうか。
今とどちらが良いのか、は一長一短なのでしょうね。




