第三十八話:男女それぞれの視点
女性社員:
うーん。さっきの話で、男性の辛さも少しだけ分かった気がします。
男性社員:
それだけでも救われるよ……
女性社員:
でも、私たちもけっこう大変なんですよ?
MtF:
……まあ、そうでしょうね。
イタリア:
どういうことだい?
日本は女性を大切にしているイメージだけど。
MtF:
表向きと現実は違うのよ。
セクハラに敏感なのは、それだけ昔は酷かった名残でもあるし……
"女性ならこうあるべき" って空気も、まだ色々あるのよ。
ムスリム:
男女平等という理念と、社会の変化速度が合っていないんデスネ。
女性社員:
私、一度だけマッチングアプリ登録したことあるんですよ。
一週間で600件くらい“いいね”が来たんですけど。
イタリア:
600!? それはすごいね!
女性社員:
いえ、半分くらいはセクハラまがいの内容で、正直しんどかったです。
"モテる=嬉しい" とは限らないんですよ……
男性社員:
まあ、男女で "求められ方" が全然違うからな。
ムスリム:
自由恋愛、難しいデスネ。
女性社員:
自分のキャリアもあるのに、早く結婚したらとか言われるし……
どうしろと(´・ω・`)
男性社員:
ちなみに俺もマチアプ登録したことあるけど、
一週間で "いいね3件" でした。
イタリア:
3件!? さっきの600件と落差が酷すぎないかい!?
女性社員:
少なっ!え、えっ?
男性社員:
しかも全部親みたいな世代の方からだったのよ。
これも、男女で "競争の仕組み" が全然違うって奴なんだろうね……
イタリア:
日本の自由恋愛は、なかなか壮絶なんだねぇ。
ムスリム:
男女どちらも苦労する構造デスネ。
競争が激しいのも、偏るのも、どちらも不公平デス。
…自由恋愛トハ、欠陥制度なのデハ?
MtF:
まあ、仕方ないわよね。
恋愛は男女ごとに別の辛さがあるってことよ。
女性社員:
自由だからこそ、失敗しても自己責任なんですよね。
イタリア:
どこの文化も事情が違うけど……
どうやら恋は世界共通で複雑らしいね。
男性社員:
ほんと、それ。
自由恋愛って、自由なだけに息苦しいんだよ……
どうしろと(´・ω・`)
・マッチングアプリに見る "非対称な体験"
現代の恋愛市場において、マッチングアプリは男女間でまったく異なる体験が広がっている、という点がよく指摘されます。
女性は短期間で大量のアプローチを受けやすい
→ 1週間で数百件の「いいね」も珍しくない
→ただし玉石混交のアプローチへの対応や、精神的負荷の大きさも伴います。
男性は極端に少ない「いいね」しか届かない
→ マッチ率は数%で、無反応や既読スルーが常態化
→ 「人として評価されていない感」に繋がりやすい
つまり、"アプローチの流量をさばく側" と "熾烈な競争に参加する側" に性別で分断される構造が存在するのです。
マッチングアプリは自由恋愛の象徴とされるが、男女が "別のルール・別の戦場" で戦うことを余儀なくされるシステムなのだ。
女性は無数の低俗なアプローチに疲れ、男性は成果の少なさと苛烈な競争に疲れる。
構造は非対称で負担の質も異なりますが、「無数のメッセージに疲れ果てるストレス」と「成果の少なさと競争の激しさからくる孤独」、どちらも本質的には不公平で、苦痛を伴います。これが現代のデータに基づいたマッチングアプリ(ひいては自由恋愛)の実情なのかもしれません。




