表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異文化理解したいのに、なぜか全員が多様性の地雷を踏み抜き、私の胃だけが死んでいく件  作者: めるのすけ
第七章:家族という多様性

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

35/63

第三十五話:入院とお見舞い

専務:

えー、今日はみなさんにお知らせがあります。

上司くんが入院しました。

……と言っても命に別状はありません。十二指腸潰瘍だそうです。


韓国さん:

…ストレス、ですかね。


ムスリム:

ストレス、デスカ……。


MtF:

そりゃあ、この職場で中間管理してたらねぇ……。


イタリア:

多様性とは、難しいものだね。


男性社員:

上司さんの胃、あと頭髪が心配だわ。


女性社員:

というわけで、部署のみんなでお見舞いに行きましょう。

あくまで短時間のご挨拶だけして、すぐ退室する形で。


男性社員:

まあ、それが妥当だな。


MtF:

あの人の調停あって、ギリギリ成立してる部署ですもの。

いなくなると困るわよ、全員。


── お見舞い当日 ──


ムスリム:

お加減は如何デスカ、上司さん。


私:

わざわざ、すまないね。いや、本当に大したことはないんだよ。

ちょっと血を吐いただけで。


MtF:

それ "大したことない" の基準ぶっ壊れてるわよ!?


イタリア:

とにかく、ご回復を祈ってるよ。これ、お見舞いの花です


男性社員:

イタリアって花好きだよな……って、



(( ……シクラメンの鉢植えかぁ…… ))



私:

(にっこり笑って)

ありがとう、綺麗だね。部屋がぱっと明るくなるよ。


MtF:

(知らないはずがない。でも動揺をおくびも出さず受け取る辺り、さすがね…)


女性社員:

(この包容力なんですよねぇ…)


イタリア:

ん? どうかしたのかい?


女性社員:

い、いえっ、なんでも……


私:

(いや他にどう対応しろと)

本当にありがとう、みんな……(´・ω・`)




・シクラメン

シクラメン(学名:Cyclamen persicum)は、サクラソウ科シクラメン属に属する地中海地方が原産の多年草の球根植物の総称である。鮮やかな花を付け、世話も難しくないので園芸・鉢植えとして非常に一般的。


しかしこと日本の病院においては、お見舞いにシクラメンの鉢植えを贈るのはタブーとされている。理由は主に二つ。


1. 縁起が悪い言葉の連想

シクラメン → 「死・苦」 に語感が似ている。

もちろん当て字だが、患者のメンタルを考えると避けるのが一般的。


2.鉢植え=「根付く」="寝付く" の忌み

切り花はOKとされているが、鉢植えは「根がつく」=「病が根付く」 を連想させるため、これも病室では不適切とされやすい。


しかしこれらはあくまで日本語との語呂合わせ的なローカル認識ゆえ、欧州では縁起が悪いとされることは無く、むしろ冬の代表的な美しい花として普通に人気。

イタリア人がシクラメンを持ってきても悪意ゼロなのはそのため。


日本ではタブー、欧州では日常。文化差による"地雷事故"の典型例である。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ