第二十九話:韓国という国
私:
ど、どうかな。部署の仕事にも慣れてきたかい?
その……人間関係とかも含めて。
韓国さん:
問題ありません。多少のすれ違いはありましたが、すでに解決済みです。
私:
そ、そう(そうは見えなかったけど)
韓国さん:
それに、日本の男性は誠実ですね。
素直に非を認めて謝罪しようとする姿勢に、私はとても好感を持ちました。
私:
!?
韓国さん:
私の母国では、謝罪=“負け”と捉えられる傾向が強いんです。
負ければ立場が下がるという意識も手伝って…ちょっとした衝突が、すぐに意地の張り合いになりがちで。
イタリア:
それは、かなり息苦しい環境じゃないかい?
韓国さん:
そのとおりです。年功序列や上下関係も厳しく、職場の風通しは良いとは言えません。
ムスリム:
それは、非合理デスね。嘆かわシイことです。
韓国さん:
(深くため息)
"多様性を学んでこい"と言われ、国際部門を外された時は、正直どういうことかと思いました。ですが、価値観が凝り固まっていたらしい私には、確かに必要な経験だったのかもしれません。
これからも、ご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願いします。
私:
(おお、すごくいい方向に変わってきてる……!)
イタリア:
もちろんさ!ではさっそく、どこかのレストランでゆっくりワインでも飲みながら──しっぽり語り合おうじゃないか。
韓国さん:
……まるでデートへの誘い文句ですね?公私混同が、"指導"だとでも?
イタリア:
えっ。
私:
あああ、もう。この絶妙な噛み合わなさ、どうしろと(´・ω・`)
・韓国の文化と儒教
韓国社会は歴史的に儒教の影響が強く、上下関係・年長者の尊重、個人より家庭や組織を優先する価値観、謝罪=立場が下がるという認識、衝突を避けず正面から向き合う文化などが根強く残っている。
これらは長所にも短所にもなり得るが、日本の「曖昧さ」「空気を読む文化」とは相性が異なる、というのは紛れもない事実。育った文化が違えば、常識も考え方も異なるのは当たり前なのである。
この作品そのもののテーマでもあるが、多様性の共存という概念それ自体が多少の摩擦が避けられない者、というのが現実ではないだろうか。




