第二十五話:国際エリート2
韓国さん:
日常業務は日本語なんですね。
私:
うん、うちは国内向けの広報部署だからね。
“多様な価値観が協力し合う職場です”っていう、企業イメージ作りの担当というか。
韓国さん:
理解しました。では、部署の資料に目を通す時間をいただけますか。
三日もあれば十分です。
私:
えっ……う、うん。じゃあ、これからよろしくね。
── 三日後 ──
男性社員:
マジで三日で全部覚えた上に、仕事めっちゃ正確で早い……いや、凄いっすね。
韓国さん:
ありがとうございます。お世辞は結構ですから、ご自分の分担を進めてください。
男性社員:
いやいや、お世辞じゃないですよ。
俺と年齢大差ないのに、そのスキルは普通にすごいって。
韓国さん:
(※小声で)……これだから、SKY未満の男は。
男性社員:
えっ、 SKY?スカイ? 空?
韓国さん:
(盛大な舌打ち)……はぁ。
MtF:
はいっ、男性社員ちゃん、危険な香りがするから。
自分の席に戻ってお仕事してくださーい。
男性社員:
えっ、何で俺怒られてんの!?
私:
な、なんか、空気が険悪?
ど、どうしろと……(´・ω・`)
・SKY
SKYとは、韓国の最難関大学群を指す俗称。
S:ソウル大学(Seoul National University)
K:高麗大学(Korea University)
Y:延世大学(Yonsei University)
上記3大学の頭文字をとって、SKYと略されるのだ。
韓国では長年にわたって"学歴=社会的ステータス"と見なされてきた歴史があり、SKYは「未来のエリートコース」の象徴となっている。
そのため、「SKY未満」という言葉には"実力差の線引き"のニュアンスがあり、
韓国人当事者が本音で用いるときは、かなり辛辣になる。




