第二話:イタリアン2
私:
まあまあ、イタリアくんも落ち着いて。女性社員くんも知らなかっただけだから、今回は許してあげてくれないかな。
イタリア:
そうですね、レディに悪気が無かったことは理解しています。ですがーー僕としては、"正しいイタリアン"を伝える義務があると自覚せざるを得ない。レディ、もし宜しければ、本格的なイタリアンレストランへ貴女をエスコートさせて頂けませんか?
女性社員:
え、それって。やだ、どうしよう。
男性社員:
おー、それなら俺らも連れてって欲しいっすね。ピザもパスタも日本人の大好物ですから!
私:
そ、そしたら、歓迎会ということで、会計は私が持つよ。イタリアくんも…それで、どうかな?
イタリア:
ふむ、ではそれで。最高のマルゲリータとカルボナーラをご案内しよう。生ハムとワインの至高も、是非一度味わってもらいたいね。あれこそが、我々イタリアの文化と魂の結晶なのだから!
ムスリム:
あの…私、豚とアルコールはダメでして…ハラール対応は、可能デスカ?
イタリア:
……は?
私:
あああ、丸く収まりかけたのに。どうしろと(´・ω・)
・ハラール(Halal)
イスラーム文化において「許されている」ことを表す言葉で、特に食事に関して厳格な基準がある。なお作中で使われているムスリムとは、イスラム教を信仰している人のこと。代表的な禁止事項には以下のような項目がある。
豚肉・豚由来成分の禁止
血を直接飲むことの禁止
アルコールの禁止(料理酒・みりんも含む)
屠殺方法の規定(ズビーハ/ハラール屠殺)
なので「生ハム」も「ワイン」も100%アウト。
言葉や文化の誤解からトラブルになりやすいため、多様性のある職場では気をつけたいポイントの一つ。とはいえムスリム個人の許容度の差も大きいので、「何がOKで何がNGなのか」は本人に直接確認するのが最も確実で安全かもしれない。




