第十九話:産休1
私:
えー多様性チームとして、すっかり社内に認識されている我々ですが。
上層部いわく「部署に女性が一人では多様性とは言えない」とのことで。
あ、いや失礼。身体的な女性が一人という意味でして…
とにかく、新たに女性メンバーが配属されるそうです。
MtF:
(苦笑しつつ)そんなに気を使わなくていいのよ。で?どんな女の子が来るの?
イタリア:
職場が華やかになるのは大歓迎だね!しっかりエスコートしてあげなくては。
男性社員:
いや熟練・ベテランで俺らの方が導かれる立場かもしれんぞ。
私:
いや、新卒の子だよ。
仕事もまだ慣れてないだろうから、みんな色々教えてあげてください。
女性社員:
了解です。しっかりフォローしますね。
ムスリム:
すみません、遅れまシタ。あ、そこでお局さんから伝言貰いましたヨ。
配属予定の方、妊娠が判明して産休に入るそうデス。
女性社員:
……は?
男性社員:
新卒で、産休……?
イタリア:
え、でもそれはめでたいコトだよね?だよね?
MtF:
いや、めでたいのよ?めでたいんだけど。
配属前に産休って、どういう状況なのそれ?
男性社員:
てか、上の「女性比率を増やそう」って指示と真っ向から衝突してね?
結局これじゃあ、名簿上の名前が一つ増えただけじゃん。
私:
う、うーん。こ、こればっかりは……どうしようもないね(´・ω・`)
・産休・育休制度(日本)
日本の「産前産後休業(産休)」は、法律に基づく労働者の権利であり、雇用形態や勤続年数に関わらず、条件を満たせば必ず取得できる。
産前6週間・産後8週間は原則就業不可
休業中は健康保険から「出産手当金」が支給
その後に「育児休業(育休)」に移行することも可能
また、“妊娠の予定や事情”を採用時に質問すること自体が違法であるため、結果として作中で語られているような、「入社後すぐの産休」が発生することもある。
制度としては適正に運用されているのだが、現場側からは調整が難しいと感じられがちなテーマ。




