第十八話:活け造り
イタリア:
す、すまない。取り乱してしまった。
とはいえ、その名前の料理をレディが口にしているのを見るのは
僕の精神衛生に非常に、非常に宜しくない……うう……
ムスリム:
美味デスネ。この"カツオのたたき"という料理は、表面が炙ってあるのデスカ?
イタリア:
カッツオたたく……叩く……(※脳内で「ち○こ叩き」という最悪の誤聴が再生される)
私:
ま、まあ。もうすぐ次の料理も来るだろうし、気を取り直して……ね?
MtF:
ふふ、次は何が来るのかしら。楽しみね。
~~~
大将:
へい、お待ち!"真鯛の活け造り"だよ!!
女性社員:
うわー、大きいし豪華!
男性社員:
おー、まだちょっと動いてるな。めちゃくちゃ新鮮じゃん!
イタリア:
ヒッ……!?
ムスリム:
…………(※鯛の口元がピクッと動くのを見て絶句)
MtF:
いいじゃない。ワサビとお醤油で、早速いただきましょう?
イタリア:
お、おおお……
オロロロロロロロ!!(※精神崩壊)
私:
うわわわわ!? イタリアくんどうしたの!?
ムスリム:
…まだ命ある存在ハ、宗教的にも完全アウト、デスネ……
女性社員:
へ!? だ、ダメなのこれ!?
男性社員:
刺身界の"超高級ボス"みたいな料理なんだが……
イタリア:
魚を、生きたまま盛り付けて……
文化的ショックが……限界を……越えた……
私:
あああ、どうしろと(´・ω・`)
・活け造り(いけづくり)
生きた魚をそのまま仮死状態にし、元の姿を保ったまま捌いて刺身として食べる日本独自の料理法で、頭部・尾びれ・中骨などを残したまま盛り付けるのが特徴である。日本国内では「鮮度の極致」として長年評価され、特に高級料亭や割烹では伝統技法として扱われている。
しかし欧州の動物倫理の観点からは、「生き物の意識が残った状態で身体を切り分ける、残酷な行為」と見なされることが多く、メディアでは "fish torture show(魚の拷問ショー)" と形容された例すらある。
またユダヤ教・イスラム教の戒律では「生きたまま動物の一部を食べる」ことが明確に禁忌とされており、こちらでも原則アウト。地域によっては法規制も存在し、オーストラリアやニューヨーク州の一部では、活け造りそのものが禁止・処罰対象となっている。
つまり――
文化が違えば、"最高のご馳走"が"最大の禁忌"へと変わる。これぞ食の多様性の奥深さである。




