第5話 8月
(電車の走っている音)
(立ちながら眠そうな彼女)
「ん…おはよう…少年」
(彼女の横に立つ)
(ブレスレットを付けている彼女)
(それに気づいた俺)
「あ……少年、気づいた?」
(彼女がブレスレットに手を当てる)
「え?何が…って、これだよ。……ブレスレット…」
「いやいや…気づいてなかったは無しだよ?…少年。……だって、今日会ったすぐにこれのこと見てたもん…」
(顔を近づけてきて)
「どう?可愛い?…似合ってる?」
(……。)
「え?……何で黙ってるの?」
(彼女の口元が俺の顔近くまで近づく)
「もしかして…照れてる?」
(感想を伝える俺)
「ふふ…ありがとう…少年」
「もう秘密は無しなだからね…少年」
「少年がこのブレスレットに気づいたってことは、少なからずそれに対して感情が芽生えたってことだからね…」
(彼女が目を見つめてくる)
「少年…お姉さんは…いつも少年のこと見てるからね」
(ニコニコ笑顔で)
「そして…今日は少年のためにご褒美があります!」
(ニヤつきながら耳元で)
「…エッチなことではないからね」
「少年…そういうのすぐ期待しちゃうから…」
「ちょっと待っててね」
(彼女がカバンから何かを探る音)
「あった!」
「はい…これ」
(プレゼントように包装された箱を渡される)
「私と同じ白いブレスレットだよ」
(彼女が少し照れながら)
「……いつものお礼…ありがとう」
「開けて、付けてみてよ」
(ブレスレットを付ける俺)
「いいね…似合ってる」
「ちなみに…そのブレスレットについてる花はダリアって言うんだけど…花言葉は知ってる?」
(首を横に振る俺)
「ふふ…じゃあ…お姉さんが教えてあげる」
(耳元に囁くように)
(少し照れながら)
「白いダリアの花言葉は…感謝と…豊かな…」
(電車が停車する音)
「あちゃ…もう少年の降りる駅だね…」
「しょうがない…また今度教えてあげるね」
「またね…少年」
お読みいただき、誠にありがとうございます。
この作品の感想やブックマーク、評価をして下さるとありがたいです。筆者が泣いて喜びます




