第4話 7月
(電車が走っている音)
(寝ている彼女の横に座る)
「ん…おはよう…少年」
(彼女が驚いた顔で)
「って…なんで今日まで…この電車にいるの?」
「今日は…土曜日だよ…」
(彼女がニヤつきながら)
「まさか少年…曜日を勘違いして登校しているとか…?」
「…え…部活?……部活か…忙しいね…学生さんも…」
「私はなんで今日乗ってるかって?」
(バツの悪そうな顔をしつつ)
「……それは、その…土日出勤ってやつ?」
(彼女が俯きがちに)
「…前にも言ったかもしれないけど…私の会社…ブラックでね…」
(満面の笑み)
「でも…まさか…少年に会うなんて…お姉さん嬉しい!」
(少し照れる俺)
(彼女が顔を近づけながら)
「……もしかして、照れてる?」
(彼女が俺の耳元で囁く)
「かわいいね…ショーネン」
(ビクンッ!)
(彼女がうれしそうな顔で)
「あはは……やっぱり少年との時間は楽しいな…」
(彼女が上を向く)
「私ね…少し前まで…少し憂鬱気味でね…」
「…なんも楽しいこと…なかったの…」
(彼女がこちらを見る)
「…でも、私と同じ車両に毎日いる君の姿見つけてからは…少しその気持ちが和らいだ…」
「……私と同じ悩みを持っている人もいるのかもって思って……」
(彼女が照れた顔で)
「…まぁ…結果として少年は決して悩んでいる訳ではなかったけど…」
「それでも…少年とのこの時間が私を少しずつ変えてきてくれている…」
「乱れてた髪も整え始めるようになったし…しっかり服も着て…下着も…」
(ハッ!)
(驚く彼女)
(彼女が赤面しながら)
「いや…下…下着はいつも付けてたよ!」
「…ほら」
(襟元から少し肩を出す彼女)
(黒色の肩紐が見える)
「うふふ…また照れてる…かわいいね…少年」
(電車が停車する音)
(電車の扉が開く)
(俺は席を立つ)
(彼女も一緒に席を立ち、耳元で)
「感謝してるのは本当だからね…」
「本当にありがとう…少年…」
「またね…」
お読みいただき、誠にありがとうございます。
この作品の感想やブックマーク、評価をして下さるとありがたいです。筆者が泣いて喜びます




