第3話 6月
(土砂降りの雨の音)
(電車が走っている音)
「あちゃ…びしょびしょだね…少年」
(彼女が俺の方に振り向きながら言う)
「おはよう。少年」
(彼女が大変そうにこっちを見て)
「今日は災難だったね。こんな雨だと服も濡れちゃって…」
「まぁ…しょうがないよね…梅雨だから…」
(彼女が髪に触れながら)
「お姉さんもせっかく整えた髪が台無し…それに服も…」
「はぁ…」
(彼女が閃いたような表示を見せる)
「あっ…でも、少年にはご褒美かな?」
(彼女が自分の服装をこちらに向けて、強調させる)
(俺の耳元に向かって)
「お姉さんの服…少し透けてると思うから…」
(彼女が着ているブラウスをバタつかせる)
(彼女がニヤつき顔で)
「どう?…少年、お姉さんのスケスケ…分かる?」
(彼女の黒いインナーがブラウス越しにうっすらと映る)
「んふ…インナーだけ見えてるとしても、やっぱり少し…恥ずかしいかも…」
(黒いインナーの内側から、ピンク色の下着が見えてしまって動揺する俺)
(異変に気づき、少し不安になりながら)
「だ…大丈夫?……少年。固まっちゃったけど……」
「あっ!……もしかして、これが下着だと思ってる?」
(彼女が少し慌てながら)
「それは大丈夫だよ!……確かにインナーと一体となっている下着もあるけど、今日『は』しっかりブラジャー付けてきたから……」
「あっ!……別に普段は付けてないわけではなくてね……ほんと…本当だから!」
「え?……いや、そこじゃないって?」
「じゃあ…なんで…」
(彼女の視線が自分の服に行く)
(ビクンッ!)
(彼女の表情が一瞬強張り、徐々に赤面していく)
「ちょっと!エッチ!」
(周りからの視線を感じる)
「……あはは…ごめんね…少年。って…見えてるならすぐ言ってよ!」
(珍しく狼狽えている彼女)
「……でも良いよ…少年。……もう少年には今日の下着の色がバレたわけだし?……私…いや…お姉さんにも考えがあるからね…」
(数分後)
(電車が停車する音)
(下車しようとする俺)
「ちょっと待って!少年」
(俺の手を引き留めて、下車を阻止する)
「えっ?学校遅刻しちゃうって?」
「そんなの大丈夫…大丈夫……それより!」
(掴んだ袖を引き寄せて)
「私のインナーから下着が見えないようにするために…後で一緒にチェックしてもらいます!」
(ッ!)
(動揺する俺)
(彼女もとても赤面している)
(お互いの顔をより近づけて)
「責任…取ってもらうから…」
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