宅配(二次創作)
距離近い相手にはお前と言ってほしいから、お前と書いております。独自解釈。
大学の研究室にて、扉が開くと、荷物を持った学術補佐が部屋に入ってきた。
「レイシオ先生。お荷物が届いております」
「そうか、ご苦労」
教授がイスに座ったまま言うと、学術補佐は箱を手紙置きに置き、部屋から出ていった。
しばらくして教授は荷物を取り出し、机の上で箱を開けた。すると、中身を見て教授は目を丸くして驚き、中にあるパッケージに歌手が書かれている箱を張り付けている板ごと取り出した。それをしかめた顔で数秒見ると、教授は声を出した。
「あいつ…!」
それを箱に戻すと、教授はイスに座り、腕を組んでムスッとした。
それからしばらくすると、研究室の扉が開き、監督が笑顔で入り荷物に駆け寄って箱を開けた。それを見て教授はイスに座ったまま、頭を抱えてため息をつくと、首を振ってから監督に声をかけた。
「まったく、自分のスタジオに届けさせればいいだろうに」
教授が呆れた顔で言うと、監督は笑顔で小箱を見ながら返事をした。
「別にいいだろう、スタジオでは誰が盗むかわかったものではないからな」
それを聞くと教授はため息をつき、頭を抱えた。
「盗まれるわけがないだろ」
それを聞くと監督はムスッとし、教授を見た。
「どうしてそう言い切れる?これはコラボレーション限定商品なんだぞ?盗難被害にでもあったら、ベリタス、お前は責任を取ってくれるのか?」
監督が困った顔で不満そうに言うと、教授は頭を抱えた。
「どうして僕がそこまで面倒を見なければならないんだ」
「ここなら盗まれることはそうそうない。それに、お前がそんなことを許すわけないからな」
監督が笑顔で言うと、教授は困った表情で顔をしかめた。そして、ため息をつくとこう言った。
「質問の返答になっていない。そもそも僕に預けるよりも、君ならもっと安全な方法があるだろ」
「まぁ、確かにあるが」
そう言うと監督は手を少し広げ、軽く曲げた。
「私用で使うと、いろいろとうるさいからな」
困った笑顔で監督が言うと、教授は顔をしかめた。
「どうやら撮影の『小道具』を、博識学会に製作させるのは私用ではないらしいな」
「ああ、撮影だからな、当然だろ?それは私用に当たらない」
監督が微笑んで言うと、教授は頭を抱えて首を振った。そして、監督は手を顎に当てた。
「ん?知っていたのか?」
手を当てたまま監督は目を丸くして尋ねると、教授は顔をしかめて答えた。
「知らないわけがないだろ。君のせいで連中は徹夜で作業をすることになっているんだが?」
「そうか、どうやら彼らは真面目に仕事をしているようだな」
監督が微笑んで言うと、教授はうつむき、手で顔を覆った。
「それでは帰る。今後もよろしく頼むぞ、教授殿」
監督は笑顔でそう言うと、そのままの表情で部屋から出ていった。それを教授は呆れた顔で見送ると、イスに座り、深いため息をつくと頭を抱え、首を振った。