6.ダンジョンの主との戦い
主の間にいたのは巨大セルアレニ。魔の森でミリスの腕の自由を奪ったやつよりもさらに大きい。
ソフィネが嫌悪感を込めていう。
「なに、あれ、キモっ」
確かにセルアレニは他のモンスターに比べても気持ち悪い外見をしている。
そういえば、彼女はセルアレニとは初対面。魔の森での騒動についても、俺やライトが軽く教えただけだった。
一方のライト。
「おい、ショート、あれってまさか……」
「ああ、セルアレニだ」
そういえば、ライトも生きているセルアレニは見たことがなかった。いや、最後に1メートルほどのセルアレニが死ぬシーンは見ていたか?
と。
セルアレニの8本の蛇がこちらを睨んだ。
まずいっ!
蛇の手から炎が噴き出す。
だが。
その炎を俺達の前に巻き上がった水の壁が防ぐ。
『水連壁』の魔法。使ったのはもちろんフロル。
ナイスだ。というか、俺が対応に遅れすぎか。
反省している暇はない。俺も思念モニタに入力。
使う魔法はもちろん――
炎と水の壁が収まったところで、俺の『吹凍雪』が炸裂。吹雪がセルアレニを包む。
セルアレニの弱点は氷系。『氷球弾』はともかく、これならばっ!
すかさず、フロルも『吹凍雪』で追撃。
巨大セルアレニが一歩引く。
「よくわかんないけど、キモすぎよっ」
叫びながら、ソフィネが矢を連射。的が大きいだけに、彼女の腕前ならば外しようがない。
だが、ほとんどはセルアレニの固い皮膚に弾かれる。
一方、ライト。
「筋違いかも知れねーけど、カイとバーツとマルロの恨みだぁぁぁ」
叫び、セルアレニの腕の1本へと斬り掛かるライト。うん、それはさすがに筋違いだろう。っていか、3人とも死んでないからなっ!?
もちろん、うちのメンバー最強の天才戦士も行く。
アレルは走り、そして、飛び跳ねる。
驚異的な跳躍力で、セルアレニの首に斬り掛かる。
その寸前にフロルが魔法を使う。使ったのは『力倍増』だろう。アレルの力がアップして、セルアレニの首を叩き切った。
その場に倒れるセルアレニ。
「おしっ!」
「やったっ!?」
ライトとソフィネが叫ぶ。
だが。
俺やアレルやフロルは知っている。ヤツは首を落としただけでは死なない。
何より、ダンジョンのモンスターなのに、まだ魔石になっていない。
俺は再び『吹凍雪』を使う。
位置的にアレルとライトも寒いかもしれないが、ここは我慢してくれ。
首を切り落とされたセルアレニが凍り付き、その腹にアレルの剣が突き刺さる!
こうして、このダンジョンの主はあわれ、魔石に変化したのだった。
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「意外と……弱かった?」
ダンジョンの主でるセルアレニを倒したあと、俺はポツリと言う。
5人がかりだったし、あの時と違って子どものセルアレニはいなかった。
だが、そうだとしても、あっさり倒せすぎではないのか。
ひょっとして、魔の森に現れた巨大セルアレニとちがって、ダンジョンのセルアレニは弱かったりするのだろうか?
だが、レルスが言う。
「そうでもない。おそらくだが、君達が魔の森で出会った個体よりも強いだろう。セルアレニの力は大きさに比例するのが一般的だ」
どうやら、レルスは魔の森でのセルアレニ騒動について、知っているらしい。
「じゃあ、なんで……」
俺はセルアレニが変化した魔石を無限収納に回収しながら尋ねる。
「ヤツは強いが、君達はそれ以上に強くなった。それだけの話だ」
確かに単純な話かもしれない。
あの時、俺やフロルは『吹凍雪』を使えなかった。いや、そもそもMPが切れていた。
アレルの力はあそこまでぶっちぎりではなく、フロルの『力倍増』もなかった。
ミリスには申し訳ないが、今のライトとソフィネ2人の力と、当時の彼女の力を比べれば、ライトとソフィネの方が上だ。ライトだけでも、当時のミリスを凌駕しているだろう。
そして、最後のオーブが現れる。
「さあ、戻るぞ。町に帰るまでが冒険だ」
レルスがそう言った。
以前、ミレヌも似たような言い回しをしていたが、冒険者の合い言葉かなんかなのかな。
いずれにせよ、俺達は元の世界に戻った。
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俺達が転移したのは、ダンジョンの入り口であるオーブの前。
洞窟を出ると、見張りがレルスに敬礼する。
「お疲れ様でした! ご無事の帰還をお喜び致します」
「ふむ、彼らも頑張った」
「はい。ショートくんたちもお疲れ様です」
俺達は見張りに軽く挨拶しつつ、エンパレの町へと戻るのであった。
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エンパレのギルドの道場。
1階の一室に、俺達はいた。
「それでは、今回の試験の総評をはじめよう」
ほっと息つく間もなく、レルスによる試験結果の発表が始まるのだった。




