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異世界でちっちゃな双子の勇者の保護者になりました  作者: ななくさ ゆう
第3章 剣術修行と勇者の因子

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6.ショートの模擬戦

 再び地下道場に戻った俺とミリス。

 アレル達3人は真面目に素振りをしている。フロルだけはかなりキツそうだが。


「待たせたな」


 言うミリスに、ライトが尋ねる。


「ゴルのオッサン大丈夫だったのか?」

「ああ、やはり軽い(のう)(しん)(とう)だそうだ」

「そっか、よかった」


 朝、あれだけ争っていたのに、素直にそう言えるライトは、やっぱりいい奴なのだろう。


「では、本日最後の訓練はライトとショートで模擬戦をやってもらおう」


 ミリスが言った。

 慌ててしまう俺。


「え、俺ですか?」

「そうだ」

「で、でも、俺はまだ剣術は……」

「アレルは訓練一日目で頑張っていただろ。保護者のお前が及び腰でどうする」


 ミリスはニヤッと笑った。

 くそ。そんな風に言われたら断れない。


 立ち上がった俺に、双子が声援を送ってくれる。


「ご主人様、がんばってください!」

「がんばれー、ごちゅじんちゃまぁー」


 お、おう。

 そうだよな。

 頑張ろう。

 相手は年下の子どもだ。きっとどうにかなる。


 ……なる、よな?


 ---------------


 結論。

 どうにもなりませんでした。


 模擬戦開始、10秒後にはライトの木刀は俺の腹を打ち、倒れたところに木刀の先を突きつけられ、わずか15秒で俺は降参するしかなかった。

 確かに、ゴルより強いかもしれん。いや、俺が弱すぎて比較にならないけど。


「ごちゅじんちゃま、だいじょうぶ?」

「うん、大丈夫。ははは、負けちゃったよ」


 アレルに心配され、落ち込みながら立ち上がる俺。


「そんなにガッカリするな。初日なら当然だ。ライトはそれでももう、100日は訓練を積んで、もうじきレベル1に上がる実力者だ」


 ミリスに励まされる俺。

 確かにその通りなのだろう。

 アレルの異常な活躍を見た後でなければ、俺だってここまで落ち込まない。

 もしかすると、双子に呆れられちゃったんじゃないかなと思うとさ。


「じゃあ、こんどはアレルがやるー、アレル、ごちゅじんちゃまのカタキとるぅー」


 そう言って、ライトに挑もうとするアレル。

 だが。


「ダメだ」


 ミリスがアレルを制する。


「でもぉー」

「さっき言っただろう。今日はこれで終わりだと。それと……」


 ミリスは膝をつき、アレルと同じ目の高さに顔を持っていって言う。


「アレル。確かに君は強いが、簡単に力をつかってはいけない。その力は、本当に大切なものを守るためのものだ。今、ライトと君が戦う必要はない」


 ミリスの真剣な表情に、アレルも彼なりに真剣な顔になる。


「うん、わかったー、ごめんなちゃい。アレル、フロルとごちゅじんちゃまをまもるよぉ」

「そうか、偉いぞ、アレル」


 ミリスはアレルの頭を優しく撫でる。


「えらい? アレル、えらい?」


 褒められて、キャッキャと喜ぶアレル。

 そんなアレルを、俺は微笑ましい思いで見守るのだった。


 大丈夫、この子は危険な子じゃない。そんな子には、俺がさせない。


 ---------------


 訓練が終わり。

 俺達はギルド近くの安価な食堂に行くことにした。


 俺達というのは、俺とアレルとフロル、それにライトだ。

 ライトは俺達のパーティーではないが、今日は一緒に修行したわけで、その流れというヤツだな。

 ちなみに、ミリスはまだ仕事が残っているらしい。


「そういや、ライトのパーティーメンバーはどうしたんだ?」


 昨日は他に3人ほどの少年達と一緒にいたはずだ。


「ああ、あいつらならな……二日酔いで寝込んでいる」


 ライトは苦々しそうな口調で言う。


「二日酔い?」


 他の子達も10代前半にみえたんだが。いや、この世界でのアルコール解禁年齢は知らないが。


「ツノウサギが手に入って喜んじまってさ。あいつら、飲めもしないのにワインをがぶがぶと。結局、ツノウサギの売値よりも金がかかった」


 おいおい、大丈夫か。

 呆れる俺。


「ライトは飲まなかったのか?」

「ああ、俺は今日も訓練受けるつもりだったからな。というか、あいつらもその予定だったくせに、まったく」


 ブツブツいいながら、パンを口に放り込むライト。


「それにしても、アレルはすごいよな。ゴルのおっさんをやっつけちまうんだから。俺、スカッとしたぜ」


 ライトがアレルの背中をポンポンっと叩きながら言う。


「ミリスさんは、ゴルよりライトの方が剣術は上だって言っていたぞ」

「うーん、そうかもしれないけど、やっぱり、力や体力では勝てないからなぁ。最近はいいところまでいくんだけど、簡単には勝てねーよ」


 どうやら、ライトはこれまでにもゴルと何度も模擬戦をしているらしい。


 その後もライトと色々話をした。

 彼は13歳。この近くの村の出で、今のパーティメンバーは同じ村出身の少年達だという。

 彼らはまだレベル0だが、依頼を18回こなし、もうすぐレベル1へのテストを受ける予定。


「テストは受かりそうなのか?」

「さぁ、俺はともかく、他の3人はなぁ。正直、厳しいかもな」


 パーティ全体としてのレベルは、全員の平均レベルになる。ただし、小数点以下は切り捨て。

 つまり、たとえばライトとあと2人レベル1になったとしても、4人のうち誰か1人でもレベル0のままなら、パーティ全体としてはレベル0と見なされるのだ。


 それは俺達も同じ事だ。

 アレルがどんなに強くなっても、俺やフロルがテストに合格できなければパーティーとしてのレベルは0のままだ。

 さっき、フロルの冒険者カードを確認したが、俺と同じく別段変化はなかった。彼女も勇者の因子を持っているはずなのだが。


 そんなこんなで、食事を終える。


「じゃな、ショート、アレル、フロル。また今度な」


 そう言って、ライトは立ち去ったのだった。

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