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異世界でちっちゃな双子の勇者の保護者になりました  作者: ななくさ ゆう
第3章 剣術修行と勇者の因子

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4.勇者の因子

 アレルとゴルの模擬戦が終わり。

 ミリスが俺達の方にかけよって来て、俺を問い詰める。


「どぉぉぉいうことだぁぁぁ!?」

「ど、どういうことって……」

「ありえんだろう、今のは!?」


 うん、確かに俺もそう思うけど。


「……俺に言われても困りますよ……」


 ミリスはアレルの方を振り返る。


「アレル、君はゴルの木刀を躱せると思っていたのか」


 その問いに、アレルはうーんと悩んでから。


「できるかなーっておもったら、できたー」

「最後の攻撃は『風の太刀』か? なぜ君がそんなことをできる?」

「んーと、できるかなーっておもったら、できたー」


 いや、『できるかなー』って、そんな某公共放送の幼児向け番組みたいに言われてもね。


「ちょっと、君の冒険者カードを見せろ」

「カード? いーよー」


 アレルはポケットから冒険者カードを取り出し、ミリスに渡す。


「うん? ステータス表示を隠しているのか? 再表示させてくれ」

「うーん、ごちゅじんちゃま、いい?」

「あ、ああ……」


 俺が頷くと、アレルは冒険者カードのステータスを再表示させる。

 すると、そこには……


 ===========

 氏名:アレル

 職業:冒険者(レベル0)/ショート・アカドリの奴隷

 HP:55/55 MP:20/20 力:58 素早さ:40

 装備:旅人の服(子ども用)/木刀

 魔法:なし

 スキル:見切り Lv2/俊足 Lv2/風の太刀 Lv2

 ===========


 アレルのカードを確認したミリスは俺をジト目で。


「おい、なんだ、この5歳児」

「いや、なんだと聞かれても……一昨日冒険者登録した段階では、スキルなんてなかったし、HPは30台で、力や素早さもこんなには……」

「冗談じゃない! 『見切り』はまだしも、『俊足』は中級者スキル、『風の太刀』にいたっては上級者スキルだぞ!?」


 ほとんど悲鳴のように叫ぶミリス。


「え、えっと……ミリスさんの教えが良かったんじゃ……」


 冷や汗をかきながら言う俺。


「ふざけるなっ! 数刻の間素振りさせただけだろうがっ!!」


 まあ、確かにね。


「う、うちの子は天才かな?」

「そういう次元の話じゃないっ!!」


 どうやら、彼女、かなり混乱しているらしい。

 まあ、無理もないが。


 実のところ、俺はアレルの力の正体に心当たりがあった。

 シルシルは言っていたではないか。


『双子は勇者の因子を持っておる。今はまだ未熟じゃが、戦闘に関しては天性の才能を発揮するはずじゃ』


 これがそういうことなのだろう。

 戦闘に関しては天性の才能を持つ勇者。

 だが、ミリスにその話をするのもなぁ。バレたくないというよりは、信じてもらえそうもない。


 どうしたものか困っている俺に、ミリスがジト目で言う。


「ショート、お前何か隠していないか?」

「な、なんのこと?」

「最初から変なヤツだとは思っていたんだ。初めて会ったときの服装も妙だったし、奴隷の子どもの情報をどこから手に入れたのかも分からなかったし。それに誰かに依頼されて2人を連れ出したと言いながら、その者に会いにもいかず冒険者になっているし」


 お、おう。

 うん、確かに、その通りだな。


 さて、どうしたものか。

 ミリスのことはそれなりに信用も信頼もしているが……


 とはいえ、異世界転移や勇者の因子の話は誰彼構わず話していいことではない気がする。

 まして、ライトに聞かれるのは避けたいものがある。


 そんなこんなで言い合う俺達に、ライトが言った。


「なあ、気持ちは分かるけど、まずはゴルのオッサンを介抱するのが先じゃね?」


 あっ。


 俺とミリスはハッとなった。

 このままゴルに死なれてはさすがに困る。


「それはそうだな」


 ミリスはゴルにかけより、様子を見る。


「うむ、軽い(のう)(しん)(とう)だと思うが……念のため救護室に運ぶか。ショート、手伝ってくれ」


 その言葉に、俺は頷いたのだった。


 ---------------


 救護室は1階にあった。

 ゴルはやはり脳震盪とのこと。さほど心配ないらしい。

 なにしろ木刀で模擬戦をするような道場だ。この程度の怪我は良くあるとのこと。


 ちなみにアレルとフロルは地下道場。ライトも一緒に素振りをさせている。


 俺はゴルを運んだ後、自分の冒険者カードを確認した。

 俺の方は一昨日から変化無し。いや、現在HPやMPが減っていたが、これは訓練で体力を消耗したのと、昨日回復魔法や火炎球を使ったためだろう。


 そうだよなぁ。少し素振りをしただけでステータスが変化するわけないよなぁ。

 アレルと同じく未来の勇者のフロルはどうなんだろう。後で確認する必要があるか。


「で、どういうことなんだ?」


 ゴルを運んだ後、俺はミリスに改めて尋ねられる。


 まいったなぁ、これは。


「えっと、もしも、双子が未来の勇者だって言ったら、信用します?」


 俺の言葉に、ミリスは絶句したのだった。


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