第57話 初めての通話
3話目です。
本日本編ラストである、第58話の投稿は本日18:00を予定しております。お楽しみに!
配信が終わって数十分が経過したが、どうも落ち着かない。葵が塞ぎこんでないか、我慢してないか、それだけが今心配だ。
電話してみるかどうか、ずっと悩んでいる。掛けない理由はないのだが、電話はあまり2人の中で使わなかったせいで、とても緊張してしまう。
悩みに悩んだ末、掛けることに決めた。今の時刻は20時過ぎである。
『もしもし、どうかしましたか?』
「さっきの配信で声がめっちゃ震えてたから大丈夫かなって」
『まさか見てたんですか!?』
「そりゃ心配だからな。まあ……その、…大丈夫か?」
『……はい。全然気にしてませんので』
「俺の前では我慢しなくていいし、嘘なんてつくな」
『嘘なんて……ついてませんよ?』
「今の微妙な間的に、絶対嘘ついてるよな?」
『………何のことをおっしゃっているかわかりません』
「本当は?」
『もう、心無いコメントばっかで辛いです。最近は、ちょっと声が出にくい時があって……。……こんな時間に申し訳ないのですが……今から、そちらに…行っても…いい…で、すか?』
やはり、彼女は無理していた。そんな彼女が直接会いたいというのだ。こちらに断る理由など見つからなかった。
「わかった、こっちにおいで」
玄関の扉を開けた瞬間、夜の冷たい空気と共に、涙目の葵がいた。
(頼ってくれたんだな)
胸が決壊した音がした気がした。
言うとか、言わないの問題ではない。そんなことを考える隙が存在しない。
ただ、触れたい。救いたい。抱きしめたい。
さすがに関係性の変化に抵抗がないとは言わないがーーこの夜、葵にすべてを伝える。
そう、既に決まっていた。
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