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隣に住む同級生が実は推しのVtuberだった件。  作者: Morning
第1章 2人の独特な距離感

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58/64

第56話 釈明配信

3話目です。


第57話の投稿は本日13:30を予定しております。お楽しみに!

 いよいよだ。

 部屋の電気を消し、イヤホンをノイズキャンセリングをONにした状態で両耳に装着する。

 目の前には「配信スタートまで00:01:24」の文字。


 心音だけがうるさい。

 待機人数は200人を優に超えていた。炎上のせいでここまで増えるのは何か複雑に感じた。


(本当に大丈夫なのか…?)


 コメント欄はすでに超高温状態である。


 コメント

 :説明はよ

 :裏切りならガチで失望だわw

 :【\2,000】俺は信じてる

 :静かに待とうや

 :Vが彼氏持ちは論外だろw


 肯定と否定が同じ速度で流れていく。数字じゃない。言葉はすべて葵に刺さっているだろう。


 あと、10秒。


 カウントダウンはない。ただ、画面が暗くなり音だけが降ってくる。


『……こ…こんば、ん…わ、神薙、葵……で、す』


 そう言う葵の声は、いつもの明るさは消え失せ、まるで生まれたての小鹿の足のようだった。


 俺はそんな声を聞いているだけで胸が苦しかった。


(葵にこんな思いは二度とさせない)


『本日は、現在の炎上している件についてご説明するための配信です。』


 今度の声は最初の挨拶よりはやや力強かった。


(わざわざ苦しい思いして説明なんかしなくていいよ)


 コメント

 :言い訳乙w

 :謝るより先に説明しろよ

 :男といたんだろ^^


 ただただ悪意しか籠っていない言葉の数々。とにかく、葵が心配だ。


『先日は、PCがフリーズして困ったため、隣人の方に何とかしてほしいと依頼しただけです。』


 コメント

 :なるほど、その隣人が彼氏っと…

 :一応、その配信って去年の話なんだよなぁ

 :当時も彼氏か!?とはなったけど、ただの隣人って説明で納得したよな?


 一部の古参勢が賢明に炎上ニキたちへ説明するのだが、燃やさないと納得できないらしい。


 コメント

 :俺らはちゃんとわかってるから枠切っていいよ


 それからしばらくして、釈明配信は幕を閉じた。


 配信直後、俺は静寂に包まれた。

 イヤホンを外したはずなのに、葵の震えた声が耳の奥に残っている。


(……大丈夫なわけないだろ)


 スマホを握る手が汗ばみ、震える。

 のどが渇く。呼吸すらうまくできない。


 葵の心に触れる権利も、触れるための言葉も俺は持ち合わせていない。


(絶対に一人にはさせない)


 例え、世界中の人が敵になったとしても俺だけはそばにいると心に誓った。

 そのための言葉を伝える勇気を持とう。


お読みいただきありがとうございました!

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