第29話 推しのお目覚め
目が覚め、スマホを見るとまだ5時台であった。しかし、めが冴えている。
だってさ、そんな寝れる訳ないじゃん!推しが自分のベッドで寝てんだよ⁉考えれば考えるほど、悶えたくなっていく。
まあ、いいや。着替えでも取りに行こう。部屋の扉を静かに開けると、相変わらずのあどけなく、可愛らしい寝顔をした推し、もとい葵がいた。素早く、着替えを回収し洗面所で着替えた。
ちょっとくらい、愛でてもいいよね…?いや、しかし…。
現役DK、相変わらず欲望に負ける。
ほっぺつんつん。自分のよりかなりやわらかい。そりゃそうだ。髪の毛もさらっさらだ。てか、何でこいつはこんな常時キューティクルばっちりなんだ?
なんてことを考えていると、どうやら目が覚めてきたらしい。
「ンぅ…。」
かあいい。近くにあった手に頬擦りしてきた。
えっと、スマホってどこあったけ?向こうだわ。よし、脳内カメラ(画質は一眼レフ並み)で保存せねば!
『翔に1000のダメージ!』
俺は瀕死であることは言うまでもない。
そうこうしていると、段々葵も意識が覚醒してきたらしい。
「……え?」
「おはよう。断じて俺は何もしていない。」
「…おはようございます。中々に珍しい挨拶ですね。」
「そりゃ、疑われたくないからな。」
「何もしていないことはわかってますよ。」
「翔くんってほっぺ触るの好きなんですか?」
……推しから名前…呼ば…れた…。俺、もう思い残すことないわ。
「…え?……何で?」
「だって、昨日寝る時も触ってきましたし…。」
起きてたんかい!じゃあ、言えや!
「勝手に触ってすまない。」
「いえいえ、怒ってるわけではありません。ただ、見苦しい姿を見せてしまったことを恥じているだけで。」
「…は?どこに見苦しいなんて要素があったんだ?」
「え?」
「だって、俺に頬擦りしてきたんだぞ。こんなん、可愛いに決まってんだろ。」
「……え?…私、そんなことしたんですか?」
「ああ。どうやら寝ぼけていたようだが。」
葵が顔真っ赤で呻いている。なぜだろう、とても責任を感じる。
「お詫びといってはなんですが、朝ごはんを作ってきます。では!」
「…ありがとう」
逃げたなと思ったが言うべきではないだろう。
お読みいただきありがとうございます。
次回の投稿予定日は11月25日(月)の予定です。




