第28話 推しの油断②
推しに俺があーんされるという衝撃的すぎる事件のあと、2人でソファで寛いでいた。
大丈夫かな…。俺、幸せすぎて死なない?
葵はさっきから顔を真っ赤にしてこちらを全然向いてくれない。どうしたんだ?
「どうかした?」
「先ほどのお裾分けが間接キスだと気づいて…。恥ずかしくて…。」
なるほど…。それで顔が真っ赤と…。
「……いやじゃなかったですか?」
「嫌じゃないよ。」
さすがに『むしろ嬉しいくらいだ!』とは言えない…。
「なら、よかった…。」
顔が真っ赤なのには変わりないが笑みを浮かべていた。その笑みに呆けること数十秒。
「どうかしましたか?」
「いや、なんでもない。」
「ほんとですか?」
「本当だ。」
こういうときは絶対に話さないとわかってきたのだろう。葵もそれ以上の追及はしてこなかった。
テレビをつけて静かな時間を過ごす。
数時間後。
葵の頭がもたれかかってきた。今日4回目の混乱である。
「田中!どうした?」
返事はない。
なぜなら、彼女の目は閉じられていたからである。そう、寝ているのだ!……おかしいよね。これ。
もしかして、男だと思われてない…?
……どうしよう。これ…。
思いついた対処法2選!
①葵のズボンのポケットから鍵を取り出し、彼女の家のベッドで寝かせる。
②俺の寝室へ運び、俺のベッドで寝かせる。俺はベッドで。
①が最善と思う人もいるかもしれないが、セクハラ紛いのことをして、女性の家に無断で上がり込むというハードルがある。では、②はというと、俺の理性が耐えられる気がしなかった。
まあ、俺が耐えればいい話だろう。
まず、彼女を両腕で抱える。寝ているのもあってか、お世辞にも羽のように軽いとは言えないのだが、めちゃくちゃ軽い。
こいつ、人にはちゃんと栄養とれって言っといてちゃんととってんのか?
寝室のドアを開けるのが関門なのだが、なんとか突破できた。あとは、ベッドで寝かせるだけだ。
寝かせれた。よし!凄い達成感だ。
「おやすみ。」
改めて、すごい美人だと痛感する。寝顔はいつもより、あどけない。つい、頭を撫でてしまいそうになる…。まあ、いっか!
現役DK、欲望に再び負ける。
優しくを心がけて撫でるが、反応はない。いつまでもこうしていられる自信があったが、眠くなってきたし、そろそろ俺も寝よう(ソファで)。
おやすみなさい。




