第19話 推しへのプレゼント贈呈 前編
最近、忙しくなってきたので2日に1話投稿に変更したいと思います。
今日は葵の誕生日だ。
夕食後に、一瞬部屋に戻って紙袋を持ってきた。中には3つ入っているのでかなりのサイズになってしまった。ソファの横にすると紙が擦れる音がしたらしく、葵がスマホで何かしながらこちらを窺っているのが気配でわかる。
ちなみに、駅前のクレープを代償にして例のものを購入しに朱梨と行ったのだが、間違いだったかもしれない。確かに高1男子がレジにぬいぐるみ抱えて並んでるところを想像したらシュールだったのでどう考えてもついてきてもらうのだが、終始にやにや、もとい、にまにまとした顔で見られたのでどちらにしても気恥ずかしかった。
しかし、買ってしまったものは仕方ない。
腹を括って渡すことにする。
「ん。これやる。」
「はい?」
「今日誕生日だろ。」
「そうですが…。何で知ってるんです?誰にも誕生日なんか教えたことないのに。」
「この前、学生証を落としていったことがあっただろ。」
「ああ。別に気にしなくてもよかったんですよ。私、誕生日なんて祝わないですし。」
「そうか。じゃあ、日ごろの感謝として贈らせてもらおうか。」
あっさりと引き下がりつつ、ちゃっかりプレゼントを渡す翔に葵は困惑しつつも受け取ってくれた。
「じゃあ、ありがとうございます。今、開けてもいいのですか?」
「いいぞ。」
ゆっくりと丁寧に包装を外し、開封していく。
1つ目の箱が開けられた。
「ハンドクリームですか。」
「肌荒れ防止にな。無香かつ効果が出るやつを選んだからぜひ使ってくれ。」
「実用的ですね。ありがとうございます。」
「お前、どっちかというと実用性に重きを置くタイプだと思ったから。」
「よくお分かりで。」
彼女はおそらく、安物買いの銭失いはしたくないタイプだ。
「あれ?まだ箱が…。」
2つ目の箱をこれもまた丁寧に包装を外し、開封していく。
「これは…。キーケースですか。」
「合鍵を渡したからな。ポーチに入れて不便そうだったし。これもぜひ、使ってくれ。」
「まだ箱が見えるのですが…。何個用意してるんですか…。」
「安心しろ。あと1つだ。それは、俺による独断と偏見で選んだおまけだな。」
視線をそらしながら言うと納得してなさげに、
「おまけですか…。」
と呟いた。開けてみた方が早いと判断したらしい。最後の箱もまた丁寧に緩慢な動作で開封していく。
「……くま?」
葵が呟いた言葉は、それが模した動物名だった。
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