第14話 鍵
更新が遅くなりすみません。
配信の次の日の夕方、葵が夕食を作りにやってきた。
外はすっかり冬で、吐く息が白くなるほど寒い。
前々から考えていたことを、実行するにはちょうどいいタイミングだと思った。
「田中、毎回ドア開けるのめんどいから、合い鍵もらってくんね?」
「……本音が駄々洩れですよ」
少し呆れたように言われてしまった。
ちょっと、悲しい。――事実だけど。
「あなたは、心配じゃないんですか?」
「何が?」
「こないだまで、ほぼ面識のなかった他人に、家の合鍵を渡そうとしてるんですよ?」
「そりゃ確かに。でも、お前なら大丈夫だろ」
「……その信頼は嬉しいですけど……」
「じゃあいいじゃん。ほら」
そう言って、鍵を手渡した。
「ありがとうございます……。ちなみに、鍵を渡そうと思った理由、聞いてもいいですか?」
「だって、女の子が寒い中で体冷やすのもどうかと思ってな」
「なるほど……。思慮深さは100点ですが、自衛意識は0点ですね……」
「別にいいだろ」
どうやら、相当呆れられているらしい。
でも――本当のことなんだよな。
「はぁ……。思いやりだけは、ピカイチなんですけど……」
その小さな呟きは、翔の耳に届くことはなかった。
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