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れっつ入学試験

三日後。俺達は能力至上主義の学園...AAS(Academy of Ability Supremacy)にやってきた。入学試験はここの体育館で行われるらしい。

「ええと、体育館は...」

「こっちじゃない?なんか校舎とは違う大きな建物見えるし」

まぁ、迷ったらその時はその時だ。仕方ないと割り切るしかない。とはいえ、人はたくさんいるのでついていけばなんとかなるだろう。


〜〜〜〜


なんやかんやあって、無事に体育館にたどり着くことができた。近くで見てみると体育館の大きさが馬鹿げているわけだが。普通の学校の校庭八個分くらいの面積はあるだろう。高さだって普通に桁違いだ。ここが世界最高峰の学園だということも頷ける。

「いかないならおいてくからねー」

俺が大きさに圧倒されている中、愛海はどんどん先に進んでいく。流石に置いていかれるわけにはいかないので走って追いかけた。

試験を受けるには受付でその許可証をもらわなければならない。受け取ったら順番まで待って、体育館の中に入って試験を受ける、という流れのようだ。ちなみに試験の内容は毎年変わるようで、実際に受けてみるまでどのような内容なのかは分からない。今までは、タイマン方式のトーナメントのようなものや、単純な能力値測定だけだったりとその難易度ややることの差も激しいようだ。

閑話休題

数時間後、俺達の順番がやってきた。

「やっとかぁ、どんな試験なんだろうな」

「楽なのだと良いね」

緊張なんて全くしていなかった。あんまり落ちる未来が見えなかったからなのかもしれない。

「えーこれから試験の説明をさせていただきます、学園長の西園寺と申します。以後お見知りおきを」

お、やっと試験の説明がされるようだ。今年はどのような試験になるのか楽しみである。

「今年の試験は、題して【バルーンハント】!」

あまりにも想定外だった。もっと思いっきり試験!って感じのものが来ると思っていたので驚いた。隣を見るに、愛海も驚いているようだった。

「五人のチームを作って、勝ったほうが入学決定、負けたほうが試験不合格になります。ルールは、全員背中、頭の上に風船を合計2つつけてもらい、相手チームの風船をすべて壊すと勝利となります。相手を殺害したり、再起不能のレベルの怪我を負わせた場合、もちろん不合格です。加減をしましょう。風船は少しだけ本来のものより割れにくくなっています。ルールはそれくらいですかね。ああ、あと試験場からは出ないでくださいね。」

ルールは単純だった。だがこれ相当難かしいのでは?例えば風の能力を持つ者がいたとしよう。もし、そいつが風の刃を好きなところに生み出せるとして、背中の部分、頭の上の部分にそれを出現させれば風船はそれだけで割れてしまう。相当警戒しないといけなさそうだ。かつ、仲間の能力も愛海以外わからないし、相手の能力だってもちろんわからない。ちょっとした油断でもうアウトだ。恐らく決着はすぐに付いてしまうだろう。

「なあ、愛海。これどう思うか?」

「うーん、結構やばいと思うけどね。私の能力あんまり向いてないし。」

そう、それが問題なのだ。愛海の能力もこの試験においては使いづらい。俺の能力も燃費最悪だし、使い勝手が悪いのだ。つまるところ、ほぼどちらも能力が役に立たない。相手や味方にもよるが、相当不利な状況といって差し支えないだろう。

「もうなるようになれ」

数分後、試験が始まった。こちらのチームはいかにも魔術師って格好をした女が一人、あとは双剣を持った男と、大剣を持ったごっつい男だ。ちなみに大剣持ちの男とは会話できて、名前は壕、能力は腕力の強化らしい。正直この試験との相性最悪だ。腕力が強化されたところで意味ないからな。あとは魔術師と双剣の男に頑張ってもらおう。俺ももちろん本気でやるが。相手チームは見た感じ、皆一人で試験を受けに来ているようだった。ときに話している様子もない。ただ、一人相当厄介そうなやつがいた。黒い服に身を包んで真っ黒な光の無い目でこちらを見ていた。少し分かってしまった。あいつは強い。溢れ出るオーラと殺意、妬み、呪いなど色々感じた。あんまり関わりたくないところだ。

「では、試合を開始します!5、4、3、2、1」

足を一歩後ろに下げ、走り出す準備をする。

「0!!!」

勢いよく走り出す。まずは、相手チームの風船を少しでも割ることに専念する。全力で走り、相手の後ろに回り込んで風船を割る。1kill。二人目もそのまま行こうとしたが、そう上手くはいかない。背中の風船を割ったところで相手の手が少し光った。恐らく能力だろう。すぐさま回避行動に移る。

「っ、炎か!」

あまり闇雲には近づけなくなった。

「水刃・鋭!」

「ナイス、愛海!」

愛海の普段よりも強化された水刃で炎使いの頭の風船は見事に割れた。

「危ない!」

愛海の後ろに気づいたときにはさっきの光のない目をした男が立っていて、愛海の背中と頭についた風船を割った。周りを見てみると、相手チームの二人と、こちらのチームの残り二人も、風船を全て割られていた。つまり、俺とこいつのタイマンってことかよ!

「お前、名前は?」

急に問われる。流石に答えないのは失礼なので素直に答えることにした。

「俺は真だ。お前は?」

「俺は...闇とでも呼んでくれ」

恐らく本名ではないだろうが、まぁとりあえずそれは置いておくことにしよう。まずはヤツのことを警戒して、能力を判断しないといけない。集中しろ、どこからどんな攻撃が来ても良いように。

「っ!」

上から強力な殺意を感じた。すぐさま横に回避行動を取る。

「お前殺す気かよ!」

当たっていたら体ごと切断されていたかもしれない。とてつもない重量の攻撃だった。にしてもなんだ?こいつの能力は。このように頭をフル回転している中でもヤツ...闇のことを警戒し続けないといけない。この間でも攻撃は幾度となく行われているのだから。右へ、左へ、時には、上へと、風船に当たらないように警戒しながら交わし続ける。こちらから攻撃する隙が一切ない!やつの能力を考えろ。能力がわかれば活路が開けるかもしれない。闇の攻撃は何なんだ?攻撃一つ一つにとてつもない殺意が込められている。その攻撃自体には、特には風や水などといったような概念はなさそうに見える。形も大きさもすべて全く違うのだ。共通点といえば、色はすべて黒に近い色であるということくらいだ。闇を操る能力?何かしっくりこないのだ。闇を操るにしては攻撃が少しおかしいような気もする。愛海の水の能力を例とすると、あくまで「水」を媒体としていなければならない。水刃や水影などあくまで元は水なのだ。もし闇の放っている攻撃がすべて「闇」を媒体としているのならば、闇はもっとあやふやな、いうなれば暗い空間など概念を表しているはず。つまり、上からナイフを落としたり、地面から剣が突き出てきたりなどそんな物理的な攻撃はしてこないはずなのだ。闇のことをさっきから身続けているが、ヤツは一切として動こうとしない。能力による攻撃をずっと続けているだけなのだ。一応闇の腰には短剣が添えられてある。それを使わないのはなぜか?単純に能力と同時に扱えないだけ?それとも何か理由があるのだろうか。...ここで一つ実験をしてみることにしよう。腰からナイフを取り出し、闇の頭の上に向かって投げつける。闇はここで能力を使うでもなく、剣を使うでもなく、何もわかっていないかのように、風船に突き刺さった。闇は驚いたような表情をしている気がした。ビンゴ。ヤツは恐らく俺のことが見えていないのかもしれない。範囲攻撃しかしてこないのも納得できる。俺の気配...いや殺意を読み取って、大体の場所を把握しているのだろう。大体になってしまうのは、俺が闇に向けて特に強い殺意は向けていなかったからだ。あるのは敵意だけ。殺すのは禁止されているので、そこまで強い殺意は持っていなかった。ここから考えられる答え。それは、

「お前の能力、『殺意を具現化する』だろ」

考えられるのはこれだけ。これの対処法は簡単だ。殺意を0にして攻撃をすれば良い!

「チェックメイト」

風船の破裂音とともに試験終了のホイッスルが鳴った。

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