2 番外編
帝国23代賢王ユリウスの話。
聖女事情。
神殿で帝国23代ユリウス皇帝は神官長から説明を受けていた。周りには誰もいない。内密の話だ。
「絶対に聖女様とよんではいけません。あくまでも怪我をした旅人として振る舞わないといけません」
代々受け継がれている聖女の祝福について神官長から説明を受けている。
歴代の王と歴代の神官長しか知らないことで他言無用。帝国の繁栄のためにこれは秘匿とされている。
「聖女様は歳を取らずお若いままのお姿でいられます。陛下の怪我を治されて家に滞在してよい期間は決まっています。最後に感謝の言葉を忘れずに」
(聖女は歳を取らないということなどあるのだろうか?)
23代皇帝のユリウスは思った。
帝国建国の祖エリック王から何年経っていると思っている。エリック王は聖女の森で聖女に助けられて、それから何かと幸運なことが続き国を興した。
「聖女様には絶対に触れてはいけません」
(歴代の王は聖女を自分のものにしようとは思わなかったのだろうか?)
「怪我をしていないと聖女様には会えません」
(はっ!そのために怪我をしろというのか。馬鹿げている。聖女は本当に存在するのかどうか怪しいものだ)
とユリウスは思う。
「聖女様というよりは女神様ではないのか?」
「初代エリック王の御世より、聖女の森にいる聖女様です。」
聖女の森に柵まで設けて、外部からの侵入を防ぐほどだ。他国に聖女の森の存在を知られてはいるが、今もまだ聖女がいるとは思わないだろう。柵を設けて外部からの侵入を防ぐほど我が帝国にとっては聖女の森は聖域なのだ。しかも本当に歳を取らない聖女様が存在するらしい。
聖女の森の近くには神殿が建てられている。人々は聖女の森を信仰として崇めているのだ。建国の祖であるエリック王から始まる聖女信仰だった。
ユリウスはいるかも分からない聖女信仰をあまり快く思っていなかった。
「わざと怪我はしたくないものだな、神官長」
「陛下、聖女様は怪我人に対してしか姿を現すことをなさいませんゆえ」
それから数日後、聖女の祝福の儀式の日がやって来た。
(本当に聖女はいると思うか?まさかいるとは思えない)
儀式では、ユリウスは剣で腕を切りつけなければならない。
(はあ、馬鹿げている)
左腕を斬りつける。
(もし聖女がいなかったら、俺の腕はどうなるんだか)
旅人のような、王には見えない姿で、柵に囲まれた森の中にユリウスは入っていく。
しばらく進むと、家が見えてくる。しかも人の住んでいる気配がする。
(本当かよ!)
信じられない気持ちで、ユリウスは聖女に出会い、腕を治療され、食事を共にした。聖女はとても若かった。
(伝承は本当だった!)
動揺を顔に出さずに感謝の意を述べ聖女の森から出る。
神官長一人だけが王をむかえる。秘匿とされているからだ。
「神官長、聖女様は本当に居らっしゃったよ」
「お会い出来てようございました。これで陛下の御世は安泰でございます。」
ユリウス王は帝国が聖女によって護られていることを思い知ったのだった。このユリウス王は帝国の歴代皇帝の中でも賢王として、名を馳せることになる。
すみません。
こちらに投稿しましたが、エロい話が出そうなので
続きはムーンライトノベルズで月一更新を目指してます。
すみません、やはり連載は無理でしたので削除しました。
構想が大きすぎて建国する過程が知識不足で大変そうで恋愛も絡めると100話くらいになる計画。とても私の力量不足で書くこと自体が苦痛になりそうな予感がしました。
誠に申し訳ないです。