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異世界生活、自由を満喫してます  作者: さかたあい
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ご覧頂きありがとうございます。

1話完結。番外編1話。

以前書いたものでお蔵入りとなっていたものです。

どうせ出さないなら読んでもらおうと思い、投稿しました。

散々異世界転生の小説を見ていて、まさかこんな展開ないだろうと思っていた。高校生の三橋奈央は、よもや異世界に飛ばされるとは思っていなかった。


その世界は中世のような魔法が日常に溢れる世界だった。女神様から、貴方を守るための力を与えましょうといわれ、至れり尽くせりの能力を色々と貰った。


「わたし、この世界で何をしたらいいんでしょう?」

「貴方がやりたいことを自由にして下さい」


「えっ、いいんですか?」

「貴方の存在自体がこの世界に平和をもたらすのです」


「期間はいつまでですか?」

「貴方はいつでも帰ろうとしたなら、私に願ってくれれば帰れます」


「ええっ!」


随分と緩い異世界ライフになりそうだった。

女神様から頂いた能力は魔法も無限。思い願うことは何でも形にできるというものだった。


そこで森の中に家を作り、結界を張り、のんびり過ごすことにした。家の中は快適で、本など出せた。


食べ物も好きな物を出せて、本当に幸せ。

女神様の言う通り、私自身の好きなことをして過ごそう。


何年も何年も過ごすうちに時間の感覚がなくなってしまったようだった。

女神様の言うには、こちらでは私は若いままでいられるそうだ。


たまに迷い人が訪ねて来る。

死にそうな人を救って、家で介抱してあげたりした。皆、感謝してくれて嬉しかった。


元の世界にいつでも帰れるということもあり、しかもその帰る時間も巻き戻せるらしい。

こちらでいくら時間が経とうが、帰る時は連れてこられた時間帯にお願い出来るそうだった。

 

「何でも可能なんだ」


日々、本を読み、紅茶やお菓子を楽しみながら、異世界生活を満喫していた。ほとんど引きこもりである。


結界を張っていても怪我をして困っている人は入れるようになっていた。

たまにしか人は来ない。


ある日、女神様に聞いてみた。

「こんな感じでいいんですか?」

頭の中に声が響く。

「ええ、貴方の自由にすることが世界のためになるのです」

「わかりました」


(本当に不思議だな)

それからまた何年も何年も時間は過ぎているようだった。私は連れてこられたままの姿で、いつもと変わらぬ日常を過していた。


(結界の外はどうなっているのかな)

この家が快適過ぎて、家の周りを過ごすくらいで、森から出ることがなかった。


たまに来る怪我人を治すことにも飽きてくる。もちろん治癒魔法が使えたので、すぐに治すことが出来た。


姿が他から見えない魔法をかけ、自身に結界魔法をかける。


森の外に出てみると、森の周りには柵が張られていた。魔法で通り抜ける。


「なぜ柵が張られているんだろう」


そこに書いたあった言葉にびっくりした。


「聖女の森?」


『神聖なる聖女の森に許可なく侵入した者は罰せられる』


「は?私のいる森は聖女の森なんだ?私が居るからかな?」


私はまた森の中に帰っていく。家の中では本を読み、好きなものを食べて、自由に過ごした。

たまに怪我人が来るので、治癒魔法をかけて、親切にしてあげる。いつもと同じようにその人も感謝して帰っていった。


「女神様、こんな感じで本当にいいんですか?」


「大丈夫ですよ。貴方の自由に過ごして下さい。」


女神様は相変わらず、私の自由にさせてくれる。


しかし、柵がある森にどうして怪我人が入って来れるのだろう?今度来た怪我人に聞いてみよう。


しかし、いつまで経っても怪我人は現れない。

おかしいなあ。女神様に聞いてみる。


「貴方の元に訪れていたのは代々帝国の王でした。

長い年月を経て、帝国は滅びました。

今は違う国が栄えています」


「なぜ怪我した王は、私の元に訪れていたのですか?」


「王達は即位すると、聖女の祝福を受けに来ていたのです。貴方の結界は怪我人しか入れませんでしたから」


「そうだったんですね」


私は怪我人が来なくなって寂しく思った。

そう言えば、やけに見た目が良い怪我人ばかりだったような気がする。 

(もしかして私、もったいないことをしたのかもしれない)


後の祭りだが。


「女神様、私はこの時代には必要ないかもしれません。新しい国になってからは怪我人はきません」


「今は聖女の森は神域になってしまいました。 

帝国時代は歴代の王しか、聖女に会う方法を知りません。秘匿にされていましたから」


「そうなんですね。女神様、歴代の王で一人身で過ごされた方とかいましたか?」


「いますよ」


「そうですか」


私は邪な考えが過ぎる。こちらの世界でも女神様に頼めば、好きな時代に戻れるかも知れない。

しかし、やはり、王と恋仲になろうというのは、私には難しいと思う。

私が治した怪我人である王達はどのような人物だったのだろう。

知りたい気もした。


「貴方が望めば、この世界のどの時代でも戻ることが出来ますよ?」

「えっ、どの時代もですか」


私は考えた。帝国はどのような国だったんだろう。


「女神様、私は帝国の過去を見たいので、その時に私を移動して下さい」

「分かりました」



異世界に連れてこられて、自由を満喫した奈央は、帝国の滅亡により、過去の帝国の様子を自由に見て回るようになった。 女神様は自由にまわっても良いという。



帝国の歴史を巡って行くうちに、奈央は目くらましの魔法や防御の魔法をかけることもしなくなった。

帝国の街を歩いていても、特に知り合いもいないし、声をかけられることもない。


最初は姿を見られるのは怖いと思っていたが、慣れていくうちにどうでもいいかなと思うようになった。

夜になると、帝国が滅んだ後の聖女の森の家に帰り、朝になると、過去へ旅するようになる。




そうして過去へ行った奈央は建国の祖エリックと出会い、それを助け、国を興し、結ばれたのである。




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