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5話

5話



翌日シュウキはドレスとはまた違った装いで綺麗に着飾ってみんなに見送られるなか、馬車に載せられて行楽への町へと旅立っていった。


シュウキとシュウレイは別れを惜しんで泣いていた。


俺も失敗したらこの国にはいられなくなるだろう。


成功したらどうなるかはまだわからない。


最悪シュウキを連れてよその国へ逃げよう。


みんなが村に戻った後、気配遮断の魔法を使って一団を追いかける。


3日ほどかけて一団は行楽の町へと到着した。


日は沈み始めているが馬車はそのまま太守の館へと向かっているのでついて行く。


玄関を抜けるとおっさんが待ち受けていた。


「よく来たのシュウキ殿。これからはワシが存分に可愛がってやるからの。」そう言いながら馬車を降りるシュウキの手を取りお尻を撫でている。


シュウキは俯きながらおっさんの行為を耐えているようだ。


見かねたカクカが早く中に連れて行くように進言する。


おっさんは鬱陶しい顔をしながら中へと入って行った。


それを見送ってカクカが解散を命じたらようやく兵たちが安堵の表情を浮かべていた。


俺もそろそろおっさんを追いかけるか。


建物の中はやはり俺のいた世界とは違う作りになっていた。


しばらく歩くとおっさんの後ろ姿が見えた。


シュウキのおしりを触りながらのろのろと歩いている。


途中であらわれた年配の女官にシュウキを渡して、おっさんは部屋へと向かうようだ。


ここの女官たちの格好を見ているとみなドレスやメイド服とも違う恰好をしている。


よく考えれば兵士の装備も俺の鎧とは全く異なっていた。


おっさんの部屋について行くと迎えたのは5人の女の子だった。


全員がきわどい恰好をしていて、お尻や胸が半分くらい見えてしまっている。


おっさんはだらしない顔をしながら5人に触れていく。


3人くらい一瞬嫌悪の表情をしたがおっさんは気づかなかったようだ。


この子たちもどこかの村から無理矢理連れてこられたのだろう。


「今日は新入りを頂くからお前たちの出番はないかもしれん。」


「寂しいですわぁ。」


「フフフ。お前たちの今からの頑張りしだいでは混ぜてやらんこともないぞ。」


「それでは精一杯奉仕しますわ。」そう言って先ほど嫌悪感を示した子がおっさんの肩をもみだした。


「サイブンキお前はやはりよいのぉ。」


おっさんは喜んでサイブンキと呼ばれた女の子の足を撫でている。


サイブンキの顔が歪んだ、とても嫌そうだ。


まあおっさんのいやらしい顔なんか見ていても面白くないのでシュウキを探す。


奥へと向かうと大きな寝室があったが誰もいなかったので、戻りながら他の部屋を見ていくと途中で湯気が出ている場所を見つけたので行ってみるとどうやら風呂場のようだ。


見張りの兵士が2人立っていて中を覗こうかと相談しているのが聞こえたので幻を見せてやることにした。


俺が逃げてしまった魔王を見せてやると泡を吹いて崩れ落ちてしまったので、奥へと進んでいくと扉があった。


そっと開けて中に入ると脱衣所のようだ。


中においてある籠の中にはシュウキの着ていた服がたたんであった。


一応確認のため中にそっと入ると5人の女官に囲まれているシュウキがいた。


もしかしていたぶられているのかと近づいてみると、おっさんとの夜に向けて綺麗にされているだけのようだ。


後ろを向いて出いていこうとしたら「そんなとこまで。」と慌てる声とともに「綺麗にしておきましょうね。動いたら危ないですよ。」という声が聞こえてきた。


気になるけどこの屋敷の警備などを確かめるために出ていく。


確認したがもしも騒ぎになっても十分対応できそうな人数しかいなかった。


カクカに見せつけるためにも全員眠ってもらうことにして、じっと待つ。


夜が更けておっさんがサイブンキをつれて寝室へと向かったのを見届けて、行動を開始する建物の各部屋の警備兵を魔法で眠らせていく。


静まり返った屋敷の奥の寝室へと向かう。


寝室前の警備にも眠ってもらって、扉を開けて中に入ると立って何かを見ているおっさんがいた。


ベットの上ではサイブンキがシュウキの上に覆いかぶさって胸をもんでいた。


興奮しているおっさんに麻痺の魔法をかけてそっと部屋の外へと連れ出し扉を閉める。


するとおっさんは「き、貴様何者だ。私が誰だかわかっているのか。こんなことをしてただで済むと思うなよ」と言って喚きだした。


「おっさんのことなんか知らないし、興味もない。だけどシュウキは返してもらう。」


「返すわけがないだろう。貴様なんか儂が自ら始末してやるわ。」そう言って兵士の剣を引き抜こうとする。


だが引き抜くのに苦労して抜いたとたんにハアハアと息切れしている。さらに剣を構えようとしているが重いのかふらふらしている。見ていておかしすぎて笑うのをこらえていると、顔を真っ赤にして怒り出した。そしてそのまま怒りに任せて突っこんでくる。


だけど足がもつれてこけて扉に顔から突っ込んでいった。その際に手から抜けて飛んでいった剣が扉にあたって跳ね返りおっさんに刺さってしまった。一応確認したけど死んでしまっている。


「・・・・・・。えっとどうしよう。」と一瞬悩んだら『ほっとくしかないだろう。』と俺の剣が答えたのでほっておいてシュウキたちのいる部屋に戻ることにした。


部屋に入るとシュウキが俺に気づいて「リオン。」って名前を呼んだのでサイブンキが振り返る。


俺の姿を見て悲鳴をあげようとしたサイブンキの口を手でふさぐ。


「静かにしてくれれば何もしない。」と言うと首を縦に振ったので手を放すとシュウキが抱き着いてきた。


「本当に助けに来てくれたんだね。嬉しい。」


「恥ずかしい思いをさせて悪かったな。」と言って抱きしめる。


サイブンキはベットのシーツでそっと身体を隠しながら「あなたは一体。」というので「俺の名はリオン。シュウキを助けに来たんだ。君はここで何をしていたんだ。」と告げると「私はサイブンキと言います。シュウキ殿が初めてと聞いて太守につらい目にあわされないようにここに来ました。」


シュウキの方を見ると「本当だよ。おっさんが私をベットに突き飛ばして、無理矢理とびかかってこようとしたんだけど、サイブンキさんが私が準備をさせますって言って止めてくれたの。」というのでサイブンキに感謝を示した。


朝になってカクカが来るまでは暇なのでここで寝ることにした。


サイブンキとシュウキに服を着てもらってベットに寝転ぶとシュウキが一緒に寝転んだ。


サイブンキに自由にしていいと言ったらシュウキとは反対側に寝転んできたので話をすることにした。


俺がシュウキを助けに来るまでの経緯を話すとサイブンキも話し始めた。


「私は魏の皇帝ソウコウに使える大臣の娘だったんですが、皇帝がなくなった後の動乱の内に父が殺され攫われてきました。私を攫った男は口減らしで売られる娘たちと同様、商品としての教育を受けさせられました。ある町であのおっさんはそんな私に目をつけて攫った男から私を買い取ったのです。」


「辛かったろうに。」と言うとサイブンキは続きを話しだした。


「初めはあの男のもとにたくさんの女がいましたが、あの男は飽きると女を切り刻んで捨てていきました。それを間近で見ていた私は恐怖しました。あの男は新しい女を買っては捨てを繰り返して行きました。数年して身体が女らしく成長したらついに私の番が来ました。処女を無くした後の女の扱いはずっと見てきましたので、学んだことを活かして工夫して処女を守ってきました。おかげで私以外は次々に処分されていきましたが私は今日まで生き残れたのです。」


「ずっと頑張ってきたんだね。」と言って頭を撫でてあげると微笑んでいた。


そろそろ寝ようかと言って眠りについた。


一応サイブンキが変な気をおこしても大丈夫なように俺とシュウキには魔法をかけておいた。


翌朝、おっさんを起こしに来た女官の悲鳴で目が覚めた。


寝室の扉の向こうで騒ぎになっているようだ。


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