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05.見つかった後


 俺は今、とんでもないものを見てしまったのかもしれない。

 ちょっとしたスクープなんてもんじゃない。


 この学校自体が揺らぎかねない、とんでもないスキャンダルだ。


「黒聖……宝華。お前が……」


「……」

 

 彼女は黙り始める。

 その表情は僅かながら焦りに近いような印象を受けた。


 朝見たあの優雅さはどこにいったのか、問いたいくらいだ。


「あ、あの……」


「あんた、ただで済むと思わないことね」


「はい?」


「私の本当の姿を見て、貴方をこのまま野放しにするわけにはいかないってことよ!」


 その言葉を言い放つと、彼女は俺の腹部を蹴り上げ、束縛から解放。

 態勢を立て直す。


「ちょ、ちょっと待て! 俺は別にお前とやり合う気は……」


「私にはあるの。何が何でもここであんたの脳天をかちわって記憶ごと抹消する」


「おい、やめろって!」


 とてもじゃないが、清楚系美少女が放つ言葉ではない。

 もう今の黒聖は聖女でもなんでもない。


 ただの悪魔だ。


「くっ、ちょこまかと。大人しく脳天を差し出しなさいよ!」


「差し出せるか!」


 差し出したらもれなくかちわるんだろ?

 そんなことがあってたまるか。


「くそっ、ほんとウザい! 私の攻撃をここまで受け流すなんて……!」


「生憎、しぶといのが俺の取柄なんでね」


 だがいつまでもつだろうか。

 このままいけば負けるのは確実に俺だ。


 何とか起点を作れれば……


 ――キーンコーンカーンコーン


「……チャイム?」


「昼が……終わったのか?」


 昼休憩の終わりを示すチャイムが校内に鳴り響くと、それに合わせて彼女の動きも止まる。


「どうやら時間切れのようね」


「そのようだな……」


 助かった……のか?


「ちっ、ホント今日はツイてないわ。色んな意味で」


 盛大に舌打ちをかます黒聖会長。

 未だにこの人があの聖女と祀り上げる人間と同一人物だということが信じられない。


「腑に落ちないけど、今日はここまでのようね。魔白優斗」


「あ、ああ。というか、朝の時から気になっていたんだけどなんで俺の名前を知っているんだ? 俺たち、今まで面識なんて……」


「生徒会長だもの。有名な生徒の名前くらい知っていて当然だわ。特にあんたは色々と伝説を作っているみたいだしね」


「あぁ……」


 噂の半分以上は捏造だがな……


「ま、そんなことはどうでもいい。とりあえず今はあんたのことは見逃しておいてあげる。ただし、さっきのことを誰かに喋るような真似でもしたら……どうなるか分かっているわよね?」


 ぐぐぐっと圧力をかけてくる。

 近い、近いって!

 しかもなんかめっちゃ良い匂いするし!


「……べ、別に喋る気はない」


 そもそも喋る相手もいないしな。

 仮に言いふらそうにも喋る前に逃げられるだろうし。


「そ。ならいいわ。あんたの場合、喋る相手もいなさそうだしね」


「ぐっ……!」


 痛いところを突かれた。

 なんか腹が立ってきたから、言いふらしてやろうかな。


「まぁ仮に言ったとしたらその時は消される覚悟でいなさい。あんた一人消すことなんて造作もないことなんだから」


「そんなナリして怖いことをサラッと口走るな……」


 ギャップなんてもんじゃないぞ。

 てかこんなことしている暇はない。


 まだお弁当も食べていないのに午後の授業が始まってしまう。


「じゃ、じゃあ俺は行くぞ」


「待ちなさい」


「……今度はなんだ?」


 歩みを止められ、再び振り向くと黒聖は真剣な眼をこちらに向けていた。


「今日の放課後、生徒会室に来なさい」


「は、なんで?」


「理由を話したところで貴方に拒否権はないわ。これはお願いじゃない、強制よ。もしばっくれたら……」


「消してやる、とか?」


 あはは、まさかそんな……


「あら、よくわかったわね。その通りよ」


 即答だった。

 笑顔で言うな、ちくしょう。


「わ、分かったよ。約束する」


「じゃ、待っているわね」


 そういうと彼女は早歩きで去っていった。

 その後ろ姿は、朝見たものとは全く違うように俺の目に映る。


「はぁ……今日は厄日だな」


 俺はどうやらとんでもない人間に絡まれてしまったのかもしれない。

 この体質が招いた不幸ってやつだ。


 ホント、先が思いやられる。


「あ、そんなことより早く弁当を食わないと!」


 その後、俺は弁当を爆速で食べる羽目になり、一分たりとも安らぎの時間はなかった。

今日は後一話更新予定です!

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