ミィが酔った sideオズ
「ごしゅじんさま~!」
ミィが僕に抱き着いてくる。今にも喉からゴロゴロ聞こえてきそうだ。
はぁ、前世も今世も僕の猫がかわいい。
まさか今世もまたたびが効くとは思わなかったけど、イルミナートさんと相談してミィへの挨拶の品を決めた甲斐があったなぁ。
ミィの小さな頭を撫でてると、嫉妬混じりの刺すような視線が飛んできた。もちろんわんころ天使だ。前世も今世もかわいいミィに粘着してきやがって。ミィの方が天使だろ。
わんころ天使がミィを寄越せって目で見てくるが誰が渡すか。
「にゅふにゅふ」
「かわいいねミィ」
またたびで酩酊状態のミィは上機嫌だ。僕の肩に顔を埋めてスリスリしてる。
「おい勇者まさかそのまま酔っぱらったミィを独り占めするつもりじゃないだろうな」
「もちろんイルミナートさんにも抱っこさせてあげるよ。でもいつまで経ってもツンが抜けないヘタレ犬っころにはあげな~い」
「ぐぬぬ」
「犬っころに睨まれても全然怖くないね。前世で素直にならなくて散々後悔したくせに何も学んでないじゃないか」
まあこいつの場合はミィのことが大好きって本心が丸出しなんだけどね。みーもミィもそのことは分かってるだろうし。
「おっと」
ミィの手からまたたびの枝がぽろりと落ちた。
「にゃっ!!」
ミィがまたたびの枝を追って僕の腕から飛び出し、シュタッと地面に着地した。そのまままたたびを両手で抱えて床の上をゴロゴロと転がる。
イルミナートさんはそんなミィにメロメロだ。
「ミィさま~」
「にゅん!」
……完全に猫化してるな。まさかみーじゃなくてミィがここまでまたたびに反応するとは……。
すると、犬っころも同じ疑問を抱いたようだ。
「……ミィは今猫じゃないのにどうしてまたたびが効くんだ?」
「条件付けじゃない? レモンを見ると涎が出るのと同じで、ミィの中ではまたたびの匂いを嗅ぐと酔っぱらうって条件付けがみーの記憶と一緒に受け継がれたんだと思うよ」
「ふ~ん」
「君も木の枝が投げられたら無意識に追いかけちゃうんじゃない? やってあげようか」
「謹んで遠慮する」
あ~かわいくない。ミィで癒されよう。
そろそろあの人達も来ちゃうだろうし。
僕はしゃがんで両手を広げた。
「ミィおいで~」
「! ごしゅじんさま!!」
「ぐっ……!」
勢いよく飛び込んできたミィの頭が腹にクリーンヒットした。ちょっと痛い。
僕は痛みを無視してかわいいミィをぎゅ~っと抱きしめる。幻聴でゴロゴロ聞こえてくる気がするなぁ。
「ぐぬぬぬ」
「羨ましいだろ犬っころ」
「…………別に」
わんころは唇を尖らせ、プイッと顔を逸らしてしまった。
そこで素直に羨ましいって言えないからダメなんだよ。
「ミィ様おかわいらしい……!」
イルミナートさんがパシャパシャ写真を撮っている。分かる。ミィはかわいいもんね。
「ミィ!」
「お、来たね」
ミィを迎えにやってきたのはミィの二番目のお兄さん、イルフェさんだった。
「にいしゃま~!」
ミィがイルフェさんにぎゅっと抱き着く。
「ははは、今日は一段とかわいいなミィ」
「にゅんにゅん!」
「うんうん、何言ってっかなんにもわかんねぇけどそろそろ家帰んぞ~」
お、ちょっと睨まれた。まあそりゃそうか。ミィは今世の家族にも愛されてるもんね。
僕はヒラヒラとミィに向けて手を振った。
「じゃあねミィ、また遊ぼうね」
「あい!!」
ミィが可愛らしく手を振り返してくれる。イルフェさんにはまた睨まれた。
僕は二人の後について行くわんこに目を向けた。
ミィをお嫁さんにしたいなら、僕よりもお兄さん達の方が手強いかもしれないぞ、犬っころ。
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