ラブソウル
僕は今でも時々、スピィア星の夢を
見る。
夢の中の僕は、ミュレーナ姫と一緒
に暮らしてるんだ。
僕たちは心の底から愛し合ってる。
以前見た夢の時みたいに、霊体が
ブルブル震え出したりはしない。
純粋な夢を見てる感じ。
◇◇
あの後、 王様の政策で、生き残った
約千人のアーリン星人たちは、隔離
されずに僕らと一緒に生活してる。
街中でも奴らをよく見かけるんだ。
打ち解けてみると、アイツらの一人
一人はとても性格が穏やかで、憎め
ない奴らだってことが分かって来た。
ちょっと反応が鈍くて、イライラさせ
られることはあるけど。
でもカミュが教育したから、奴らも
大分テレパシーが通じるようになっ
て来た。
今、奴らは惑星の再建を手伝ってる。
僕もカミュたちと一緒に、再建に携
わってる。
まずは、戦争で破壊された街の瓦礫の
撤去とインフラの整備が急務なんだ。
その後、建物を建設して行く。
カミュの計算では、元通りになるまで
十年くらいはかかるらしい。
僕が念力で空から資材を運んで来たり
すると、あの惑星の人たちは大喜びで
拍手喝采してくれるんだ。
ミュレーナ姫もとても喜んでくれる。
◇◇
夢の中の僕は、美緒ちゃんと一緒に
地球に帰って五日後に、スピィア星
に戻って来たんだ。
王様をはじめ、みんなは驚いてた。
ミュレーナ姫は僕にこう聞いたんだ。
「翔太、美緒はどうしたの?」
だから、夢の中の僕はこう答える。
「もう一人の僕は、地球に帰って
美緒ちゃんと幸せに暮らしてるよ。
だけどミュレーナ姫を愛する魂が
もう一人の翔太として、姫の元に
戻って来たんだ」
昔、古代ローマでクラウディアの魂が
美緒ちゃんの魂と、ミュレーナ姫の魂
に分かれたのと同じことが、僕の身の
上にも起こったんだ。
姫たちは最初、半信半疑だったけど
僕が二重に存在してることを、徐々
に理解して、受け入れてくれた。
だから僕は今、ミュレーナ姫と結婚
して新居を構えてる。
あの地底都市で、僕らは盛大な結婚式
を挙げたんだ。
祝賀の宴は三日三晚続いた。
◇◇
地球へ帰還する時、暗闇の中で
僕の霊体から何かが抜け出して
行った。
気持ちが、スッと楽になったのを
覚えてる。
あの時、僕の霊体から、もう一人の
僕の魂が抜け出して行ったんだ。
僕は今、その事にやっと気づいた。
スピィア星で生きるもう一人の僕。
それは、ミュレーナ姫に捧げた僕の
愛する魂。
◇◇
地球に居る僕は、時々王様やカミュ
たちに、無性に会いたくなる。
だけど僕はスピィア星には、もう行
かないことに決めたんだ。
古代ローマの時みたいに、地球の僕
とスピィア星の僕が、一体になって
しまったら、とても困るから。
もう一人の僕は、自分のベストを尽
くしてミュレーナ姫を幸せにしよう
と努力してると思う。
だから、僕も負けてられない。
僕も全力で、美緒ちゃんを幸せに
しなきゃいけないって思うんだ。
スピィア星の夢を見ながら
僕はいつも、そういう風に
考えてる。




