表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
プラネット  作者: 宇目 観月(うめ みづき)
PR
46/78

ミュレーナ姫地獄

通風口の終点に近づくと、僕は用心

してゆっくり出口に近づいて行った。


最初は光が眩しくて、僕は掌を

額の前にかざしたんだ。


恐る恐る出口から外を覗いてみると、

眼下には巨大な温室みたいな光景が

広がってた。



さっきのスーパーカミオカンデみた

いな抽出施設と同じくらいの大きさ

だった。


東京ドームを縦に五個くらい重ねた

感じ。



通風口から十メートル下の辺りには、

熱帯雨林に生息しているような植物

がたくさん生い茂ってた。


シダ類が多いみたい。


ゼンマイとかワラビとか山菜みたいな

植物もたくさん生えてた。


所々に、人間くらいの大きさの巨大な

百合の花がいくつも咲いてた。



僕は思い切って、通風口から下に

飛び降りてみたんだ。


着地する瞬間だけ、念力を使って

ショックを和らげた。


飛び降りた瞬間にバラムが襲って

来るんじゃないかと思って、僕は

プロレスラーみたいに両手を前に

突き出して身構えたんだ。


だけど、奴は襲って来なかった。


バラムはどこかに隠れて、僕の様子を

伺ってるに違いなかった。



地面は柔らかくて、植物の根元には

緑色のコケがたくさん生えてた。


歩く度に、僕のスニーカーは茶色い

土の中にくるぶしまで沈んだ。


ムッとするくらい植物の匂いが

濃くて、僕は吐きそうになった。


湿度が高くて、僕のポロシャツも

チノパンも直ぐにグショグショに

なった。


背中の傷口に、汗がタラタラ流れ

込んで来て、ヒリヒリした。



見上げると、壁や天井には野球の

ナイターで使うような照明がたく

さん点いてた。


僕は周囲に気を配りながら、

少しずつ歩みを進めたんだ。



ふと辺りを見回すと、シダ類の中に

混じって咲いている、巨大な百合の

花弁の中に、全裸のミュレーナ姫が

立ってたんだ。


僕はギョッとした。


ミュレーナ姫を見た瞬間、僕はバラム

の妖術にかかったことに気づいてた。



さっきから、バラムの足音が催眠術

みたいに僕の頭の中に響いてたし、


[何かあるぞ]


とは、思ってたんだ。


だけど僕は、ミュレーナ姫の全裸に

釘付けになって、目が離せなかった。


だってミュレーナ姫の裸が美し

過ぎたから。



性欲のコントロールって

本当に難しい。


僕だって健康な男子だし、女性の

裸体には死ぬほど興味があった。


過去世の夢を見た時も、いやらしい

部分は映画みたいに全てカットされ

てたし。



この時、僕がもう少し経験を積んだ

大人だったら、バラムの罠にはかか

らなかったかもしれない。


釈迦は悟りを開く前、魔神(マーラ)が差し向

けた三人の美女の誘惑に見向きもし

なかったらしいけど、僕はまだ童貞

だった。



ミュレーナ姫は裸で、百合の白い

花弁の中心の部分に立ってた。


彼女は僕を見て、魅惑的に微笑ん

でたんだ。


百合の花は僕の頭上に咲いてて、

ミュレーナ姫の体は、手を伸ば

せば、直ぐ届く位置にあった。


彼女の局部は、粉を吹いた様な

百合の黄色い花芯に隠されて、

よく見えなかった。


でも型の良い乳房はハッキリ見えた。



僕はミュレーナ姫の脚に触ろうとして

手を伸ばしかけたけど、必死で我慢し

たんだ。


彼女の裸から無理やり目を逸らすと、

僕は全力で逃げ出した。


「こんなの偽物だ!」


って、僕は大声で叫んでた。


[バラムの罠にかかってたまるか!]


って、僕は思った。



だけど僕の行手には百合の花が無数に

咲き乱れ、その一つ一つの花の中に、

ミュレーナ姫が全裸で立ってたんだ。


僕は目のやり場に困って

泣きそうになった。


しかも運の悪いことに、柔らかい

地面に足を取られ、僕は百合の幹

にぶつかってしまったんだ。


『ドサッ!』


って音がして、ミュレーナ姫の体が

百合の花から落ちて来て、僕の目の

前に転がった。



ミュレーナ姫の裸体は、僕に背中を

向けて横たわってた。


胎児みたいに体を丸めてる。


彼女のお尻は丸見えで、僕は彼女の前

の部分がもっとよく見たいと思った。


バラムの罠なのは分かってた。


だけど、僕はどうしても誘惑に

打ち勝てなかったんだ。


僕は恐る恐る手を伸ばし、彼女の

裸体を仰向けにひっくり返した。



すると、信じられないことが

起こった。


ミュレーナ姫の美しい体が、いきなり

バラムの真っ黒な姿にすり替わってし

まったんだ。



「うわああー!」


って、僕は大声で悲鳴を上げた。


「小僧、お前はやっぱり小僧だな!」



奴は嘲笑うように言いながら電子ガン

を僕の頭に向けて発砲した。


その瞬間、弾丸が僕の額を貫通し、

僕の意識は吹っ飛んだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ