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プラネット  作者: 宇目 観月(うめ みづき)
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24/78

失われた肉体

気がつくと、僕はまだ林の中に

横たわってた。


もう夜が明けかけてて、星の瞬き

も弱まって来てた。


[僕は無事だったのか?]


って、不思議に思った。



起き上がって辺りを見回してると、

ガサガサと草木の擦れる音がして、

林に並んだ木の陰から、アーリン

星人の奴らが五、六人現れた。


僕は慌てて身を隠そうとしたけど、

間に合わなかった。


でも驚いたことに、奴らは僕に全く

気づかなかったんだ。



目の前に僕が居るのに、連中は林の

木を見上げて何か話してた。


奴らには僕の体が見えないみたい。


連中は僕の死体を探してるよう

だった。



[そうか! 僕はいつもなら、気絶した

瞬間に地球に帰るはずなのに、肉体だ

けが消えて、霊体はまだこの星に残っ

てるんだ]


って思った。


『これからは、あなたの意思でこの星

に来たり地球に帰ったりしなさい』


って、セシルが言ってたのを思い

出した。



僕は霊体でも、さっきと同じように

ポロシャツとチノパン、スニーカー

を身につけてた。


人の話し声や物音も聞こえるし、

五感はほぼ揃ってる。


ただ違ってるのは、地面に接地し

てる感覚はあるけど、体が無重力

みたいに軽いし、僕の体の中を、

物体が通り抜けて行くことだった。


奴らも僕に気づかずにぶつかって

来たけど、僕の体をスッと通り抜

けて行った。


僕の声は相手に届かないみたい。


僕が外部に働きかけるとしたら、

念力で物体を動かすしかなかった。



試しに、僕は念力で木の枝を何本か

揺さぶってみた。


すると奴らは驚いて、音がする方へ

駆け出して行ったんだ。


僕は面白くなって、林のあちこちを

霊体で飛び回って、木の枝を念力で

揺すってやった。


奴らは混乱して、電子機関銃を乱射

しまくってた。


そのうちに飽きて来て、僕は霊体で

街の方まで飛んで行ったんだ。



街外れに落ちたはずのバラムの巨大な

円盤はもう姿を消してた。


たぶん円盤の次元転移システムはまだ

機能してて、どこかに隠れたんだろう

と思った。


[チクショー、霊体で円盤の中に忍び

込めば暗黒エネルギー砲を破壊できた

のに!]


って、僕は残念に思った。



奴らの他の円盤は街外れの空き地に

たくさん停まってたけど、僕は気持

ちを切り変えて王様や姫たちを探す

ことにしたんだ。



◇◇



とりあえず僕は空を飛んで、王様の

宇宙船が居るいつもの山岳地帯まで

行ってみたけど、宇宙船はどこにも

見当たらなかった。


僕が肉体を持ってたら、カミュたち

が気づいて船が姿を現すかもしれな

いけど、僕には肉体を生み出す方法

が分からなかった。


『あなたは姿を消したり、現したり

出来る。意思の力で肉体を複数生み

出すことも出来る』


『瞬間移動の力を使えば、あなたは

光よりも速く動けるはずよ』


『難しく考える必要は無いわ。

ただ念じるだけでいいのよ』


ってセシルは言ってたけど、実際に

やろうとすると難しかった。


どうしても雑念が入って来て上手く

いかないんだ。



僕は途方に暮れて、山岳地帯の雪渓の

上に座り込んで考えた。


朝焼けが雪をかぶった山々の頂きに

映えてとても綺麗だった。


霊体だと寒くないし、お腹も空か

ないから良いんだけど、このまま

じゃどうしようも無いと思って、

僕は泣きたくなって来た。


『やり方はあなたの魂に刻み込まれ

てる』


ってセシルは言ってたけど、どうやれ

ば良いのか見当もつかなかった。


[出来ねーじゃねーかよ!]


僕は心の中で、セシルに文句を言った

んだ。

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