セツナと過ごす平和な日々2
「そういえばユーリ、前から聞きたかったんだけどさ」
「うん、なぁに?」
「ユーリってもうこの世界に閉じ込められて二十年くらいになるって言ってたろ?」
「うん、そうだよ。それがどうかしたの?」
「話したくなければ別にいいんだけどさ、ユーリがVBに襲われた時のこととか、それから俺と出会うまでのこととかこれまで聞いたこと無かったなぁって思ってさ」
VBとはVirtual Beastの略でこの仮想世界という電脳の世界に現れた怪物のことだ。
「そっかぁ、そうだったね。別に嫌じゃないよ。むしろセツナには聞いて欲しいくらいだよ」
「そうか。じゃあ聞きたいな」
「うん。長くなるからお昼ご飯が終わってからにしようか」
「うん。分かった」
そうしてセツナが次々と料理を上げていく中私は皿を用意した。
そうそう、説明し忘れていたけど今日は私の誕生日で、セツナがご飯を作ってくれるっていうから、大好物のオムライスをお願いしたんだ。
え?最初は何故私が作ってたのかって?それは私が料理の天才だと証明してみせようと思ったんだけど、なんでかセツナに止められたんだよねぇ。ま、今日は元々セツナが作ってくれるってことだしいいんだけどね。
盛り付けが終わり、テーブルに持っていくとたまごとケチャップのいい匂いが部屋中を満たしていく。
「美味しそう!」
「そう?良かった。それじゃ」
「「いただきます」」
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「「ごちそうさまでした」」
一息ついて茶を飲み干したところでセツナが切り出した。
「それでユーリ、さっきの話だけど」
「あ、うん。分かってる。まずは私がVBと出会ったとこからだね」
お茶の濁った中身が写す自分を見ながら、私は少しずつ語り始めた。
二十年前、何が私の人生を変えたのかを。