第13話 再帰
2070年のことである。秘書のトムはその日町外れの小さな田舎のグリーンドの小さな病院で生まれた。
トムが5歳の頃幼稚園で見たとある絵本に目がいき、それを手に取った。
それは[月の満ちる夜に]というタイトルの少し絵本にしては分厚い本だった。
その絵本の中には草花や月のイラスト付きでこう書かれていた
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いつかは彼も知ることになるだろう。
紫陽花もバラも咲かぬ未来の果てに
心を満たしてもいない真紅の花が
やがて世界を満たすように
月の満ちる夜に、また世界も君を満たすことを
君は目を閉じる前に知ることになるだろう。
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絵本の内容はトムにはさっぱり分からなかった。
しかし大人になってもその絵本のその文字だけは忘れられないでいた。
何故か気にかかるものがあった。
何かどこかで失った大切なものがそこにあるようなそんな気がしてならなかった。
2080年の事である。
10歳になったトムはテレビを見ていた、完全無欠の電脳空間で爆発が起きたなどというニュースが連日報道
されていた。
トムはあまりこういうニュースがあまり好きじゃなかったのでチャンネルを変えようとリモコンを変えようとした、すると
[あれ、おかしいな、リモコンが見当たらない。]
トムはリモコンを探したが見つからず数十分間探したらとうとう
座っていたソファクッションの下に埋もれていたリモコンに気がついた。
[ふぅ、やっと見つけた。リモコンを失くしたのは前にもあったような気がするな。]
そう思いチャンネルを変えた瞬間、急にテレビの画面がおかしくなった。
ノイズが混じり電波は乱れモノクロと化した画面で、
そこには1人銀髪の女が正座をしカメラを見つめてすごく焦っているような表情をしていた。
[お願いッ...トム...聞いて貴方は月夜の仮想世界と現実世界を一緒にする計画に乗せられているのッ...]
[何だこのテレビは悪趣味だ...馬鹿馬鹿しい。]
適当にザッピングをした。
若い女と男がドラゴンに乗って遊んでいるアニメや、
お料理番組などいっぱいあったがどれもトムの好みには合わなかった。
[さて...おやつの時間だな.....食べよう...あれ...1つ食器が多いな...]
その瞬間地面は揺れ、地割れが起き、激しくトムは落ちていった。
[グワァアアアアアアアアー!!!]
数時間ぐらいは寝ていたのか、トムは草むらで目が覚めた。
[ここは、どこだ。]
その瞬間大きな声が響いた。
[お主っ!、そこで何をやっておる!]
トムはびっくりして多少怖気付いたものの、こう答えた。
[俺は、草むらで知らぬ間に寝ていた、
まずここはどこでここがどういった管理システムで動いているのか説明してほしい。
その身なりを見ると前に教科書で見た大昔の時代の兜と甲冑と馬のようだが、
それにしても幾分か聞きたいことがある。]
そしてその馬に乗って甲冑に乗って兜を身につけた男は多少怖気付いたような顔をしてこう答えた。
[しすてむとは何だ。訳の分からぬことをいう奴だ。
しかしさっきお主は時代と申されたか、
ここはかの有名な徳川家康様が作り出す究極の世よ。]
トムはびっくりして後ろに倒れ込んだ。
[えっ...と言うことはここは戦国時代という事ですか...。
あっ、あの、切り捨て御免だけは勘弁してください。あっのっお願いしますからぁぁぁ!]
急に取り乱した様子のトムにその侍はこう言った。
[構わん、何故なら、この戦の世は家康様の言うことによると、木槌や棍棒を持った時代に戻るらしい。]
えっ...それって戦国じゃなくてもはや原始時代じゃないですかっ!!!
つづく。




