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今日

 これがハームとビオスが見た未来か。この先の未来も……

 繋がってしまった。


 あちこちで端末に目を落している人々。これはもっと先に行くだろう。

「人に自由意思はあるのか」

 以前から問われていることだ。そう、ビオスと過した島でも、言葉こそ違え同じ議論はあった。決定論的に動作する脳。ならば自由意思は幻想なのだろうか。いや、決定論的に動作する脳にも自由意思は宿る。複雑さとフィードバックループがそれを可能にする。だが、もし、フィードバックループになにかが介入したら? 自由意思や意識は消え失せるだろう。

 人間は、私が見た範囲でもなにもかもを放棄してきた。人間を人間たらしめている知性を戸惑うことなく投げ捨ててきた。転がる石のように、流れる水のように、あるはずの所を目指してきた。それの至る先が見えた。

 始まりは、私が見た始まりは、おそらく長老たちを背後に置き、文字を書く者たちを従えたあの若者が言った「法」なのだろう。それが人間に知性を投げ捨てさせた。「法」は人間が知性を用いないことをよしとしてきた。私にはわからないが——一万年を生きても、得手となったのは生きることだけだった——、「法」はそもそもの存在として自己矛盾をはらんでいるように思えた。


 私は突然身を屈め、咳をした。咳が止まらない。膝を地面に落とし、まだしばらく咳をした。口の中に赤黒い味が広がる。やっとプライズが得られたのだろう。得てしまったのだろう。

 私は、ハームとビオスが見ただろうものを見た。そこには、諦めとともに満足もあった。だが、一つだけ気がかりがある。これが、救いであるなら、ドーグラスやコナーたちはどうなる。彼らに救いはあるのか。ハームは、私と出会う前にも死なない者に出会い、そしてその者は死んだと言っていた。ならば、他にも救いはあるのだろうか。

 私は口元をハンカチで拭い、部屋へと帰った。


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