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黒白の心。  作者: どこかの黒猫
第6章 黒降り注ぐ白き北欧
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第10話 ソシテ人間ニ成ル。


「影よ!何もかもを飲み込め!!」


ネアの覚醒した能力。

それは黒音がよく使っていた『影の収納箱』の上位能力。

黒音自体は影と呼んでいたので特に名前はないが、己の肉体や様々な物質を侵食し、自分の思いどおりの形にしたり、動かしたりできるというもの。


その影は生命以外のあらゆるものを喰らうことが出来、食らったものは全て己のエネルギーへと変換できる。


これが『天ノ刹』が求めていた能力。

数少ない、『冴詠そのものの能力でありながら、黒音が使っていた能力。』

黒音はもともと『世界の右目』を持っていたが為に、『世界の右目』を人が扱えるようにグレートダウンした模倣品である冴詠の能力はほとんど発現しなかった。

いや、発現する必要がなかった。


その数少ない()()()使()()()()()冴詠の能力のひとつがこれだ。



「グゥオオォオオオオオ!!」


ララヴィアが再び攻撃を放つ。

今までは防御に気を取られて攻勢に出ることなどできなかったが………。

ネアが正面にたって黒い影で何もかもを飲み込んで防御してくれる。

枝音達は傷一つつかない。


「防御はネアに任せろ!俺達はやつに攻撃を叩き込む!枝音!!」


「あいつの防御は私がなんとかして剥がすよ!!」


「傷は私が癒すから、心臓以外の傷は気にせずにやっちゃって!!」


それぞれがおのれの役割を見つけ、こなす。

極度の連携。

息ぴったりの8人がララヴィアに猛攻撃を放つ。


「えぇい、幕が剥がせない!!どうなってんのこれ!!」


「空間そのものを何層にも断絶してるんだ。空間の境界線を見極めれば突破できる!」


「んな事言ったって!!」


簡単に出来るものか、と文句を言いそうになるのをぐっと堪え、枝音は眼の力を発動する。


相変わらず、ララヴィア本体の情報式は見えない。

だが、どこかに情報式を断絶させる式があるはずだ。

それを探す。

幾万もの膨大な情報の中から、目的のものを探す。

そして、それはあった。

枝音は、見つけたその部分を()()()()()

すると、ララヴィア本体に関する情報式の羅列が見えるようになる。

生命体には干渉できないが、能力によって引き起こされた現象にはいくらでも干渉が可能になる。


ララヴィアをおおっていた球状の幕が剥がれ落ち、防御を失ったララヴィア本体が剥き出しになる。


「今だっ!!」


「総員、やっちまえぇえええ!!」


全員がそれぞれ、攻撃をララヴィアに仕掛ける。

だが、ララヴィアも防御を失ってもなお、凄まじい機動力でその巨体を動かし、致命傷を避けていく。


「縛れ!!」


ちょこまかと動くララヴィアを影で雁字搦めにし、枝音がララヴィアの能力による脱出を阻止する。


「くそ、まだ足掻いてくる………!!いい加減に諦めろ!!」


枝音が杭を周囲に作り出して放ち、ララヴィアを固定する。

羅鳴が肩から生えた巨大な腕をさらに巨大化させ、ララヴィアの肉体の半分を覆える程にする。


「喰らえ。」


その手でララヴィアの半身を押さえつける。

その巨大な掌の中心にある眼がギョロりと動き、至近距離でララヴィアを睨みつける。


ジッ、という音とともにララヴィアの肉体が膨張し始め、破裂、爆散する。


『ぐぉおおおおおおおおぁぁあああああ!!!』


ララヴィアが絶叫する。

だが、身体中にいくつもある翼がララヴィアの欠落した部分を保管していき、身体を修復していく。


「まだ死なないのっ!?」


その異常なまでの生命力に羅鳴が驚愕する。

リリィが『アリア』で、レイリが己の銃で、茨木が大剣でラヴィアの傷に追い討ちをかけるように攻撃を加える。


そして、シオンが上空からララヴィアを見下ろし、右腕を向ける。


「我が力は稲妻の如く。起動せよ、アガートラーム!」


「『黒陽』!!」


シオンと瑠璃奈が同時にララヴィアを攻撃し、塵ひとつも残さないとばかりに最大威力の攻撃を放つ。

全てを焼き焦がす黒き太陽と、全てを射抜く眩き稲妻がララヴィアに炸裂し、地下が消滅するのでは、と言わんばかりの眩きと共に爆発を引き起こす。


「さすがにやったでしょ………!」


「いや、まだ死んではいないようだ。」


見れば、ボロ雑巾のようになった瀕死のララヴィアが、ズルズルと肉体を引きずりながらどこかへ移動している。


まだ死なないのか。だが、ここまで弱っていればもう何も出来まい。

後は、トドメを刺してやるだけだ。


そう、油断していたのがいけなかったのだろうか?


「あいつ……………何してるんだ?」


急にぴたりと移動を止め、何かをしているようだ。

一同はその様子を訝しげにみていたが、瑠璃奈がなにかされる前にトドメをさそうとする。


その時、シオンが気づいた。

その場所の上には、確かあれがあったはずだ。

もし、戦闘によって天井が崩落したのだとすれば、ソレもここに落ちてきているはずだ。


「不味いっ………!瑠璃奈、早く奴を殺せ!!あそこにあるのは、もう1匹のララヴィアの死骸だ!!」


「なっ!」


急いで瑠璃奈が攻撃を放つ。

だが、その攻撃の全ては空間のノイズのような場所に吸い込まれていく。

すると、自らの背後に攻撃を感知した。


「っ!?まさかっ!!」


己の攻撃を、跳ね返された!?

とっさにそれを防御するが、ララヴィアの方は完全に手遅れとなった。


「ガァァァァアアアア!!!」


ガ、ゴン!!という地響きが鳴り響き、白い繭のようなものがララヴィアを覆っていく。

と同時に、何か壁のようなものにぶつかったかのような感触を覚え、枝音達が遠くまで吹き飛ばされる。


「クソ、何が…………っ!!」


大きな白い繭から何か翼のようなものが飛び出してくる。

さらに形態が変化するのか。

ここまで瀕死になってまだなお倒れないというのか。


全員が戦慄を覚えると共に、ソレは現れる。


「グァアァアアア!!………ァ………がぎ、ぎぎじ、ジジ、シ……シ、ネ………!」


「なっ!?馬鹿な!?」


「喋った!?百鬼夜行が!?」


確かに今、やつは言葉のようなものを放った。

百鬼夜行が喋るなんて聞いたことも無い。

奴らは、知能こそあれど、言語能力なんてなかったはずだ。


白い繭から、何かが出てくる。

その大きな翼と比較して、明らかに小さい何か。

ソレはララヴィアの巨体とは似ても似つかない。


繭から誕生したのは、右肩と左の腰から翼をひとつずつ生やした、人間並みの大きさの、人型のララヴィアだった。


「…………人型、だと!?」


「人型っていうと甲冑の騎士ぐらいしか知らないんだけど。後は…………タルタロスの本体が人型かもしれないって言う噂ぐらい?」


「甲冑の騎士は人をベースに作られた百鬼夜行だから、人型なのは当然だ。タルタロスは目撃情報があまりにも少なすぎるから分からんな…………だが、人型ベースでは無い百鬼夜行が人型へ変化したなんて、聞いたことも無いぞ?」


「……………ちょっと待って、作られた?そもそも、百鬼夜行ってなんなのよ?奈落にいる種族として分類化できない化け物どもの総称って言うのは分かるけど、level VIの百鬼夜行は他とは違って異常なまでに強力な能力を持ってるし、明らかに変だよね?」


瑠璃奈が疑問を口にしたその時、その時、ボソリと誰かが呟いた。


「…………探知機だよ。捜し物を見つけるための、生きる探査装置。」


「……………え?」


瑠璃奈が、驚いて枝音の方を振り向く。

確かに今、枝音が喋っていた。


「ん?」


だけど、枝音はどうかしたの?というように瑠璃奈を不思議そうに見返している。

他のみんなも、どうしたんだ?と瑠璃奈を見る。

気のせいか、と思ってなんでもない、と首を横に振る。


今のは、なんだったのだろうか?


「詳しい分析は後だ。それより、ララヴィアを倒すことが最優先だ。アレは、今どうなってるんだ?」


「分からない。人型へ変化した百鬼夜行なんて居ないものだし、どれほど形態が変化したかも想像がつかない。もしかしたら、全然違う能力を身につけているかもしれない。」


レイリの疑問に、シオンが首を横に振る。

まるで分からない。前例がまったく無いために、どのようにすればいいのか分からない。

だが、わからない中でも倒す方法を模索するしかない。


「だけど、今思えば2体いるって言うのにも納得がいくよ。私達はララヴィアは常に移動しているけれど、何故か目撃情報が乏しいと言われたいたの。けれど、シオンはララヴィアは常にここに留まっているって言ったよね?このちょっとした食い違いは、おそらくこういう事だったんだね。」


リリィが、ララヴィアが2体いた事にかんして言う。

だが、何故2体居たのかは分からない。

これほどまでに変化を繰り広げるララヴィアなら2体に増殖するなんて事が有り得る、と思えてしまうのが余計に恐ろしい。


「あそこまで形状が変化したとしても、やることは変わらないだろ?」


「あぁ、俺達はララヴィアを倒す。そのために、ここまで来た。そして、そのための準備は全て終えている。」


「よし、やるぞ!」


各々が、ララヴィアを倒すために走り出す。



あれれー?ブクマ増えてないぞー?

おっかしいなぁ。みなさんブクマ押してくださいねー!


はいどーも、ヒラメの刺身にあたって悶絶してるどこ黒ですー。

食べ過ぎには気をつけようね!


ところで!!


いいんですか!?ララヴィア討伐!こんな王道的展開で!?


仲間が覚醒し、強くなったみんなでやっつけよう!


いいんですか!?そんな展開で!

主人公兼ヒロインがボコボコにされてたりする小説なのに!?


というか仲間が覚醒ってなんだよそこは主人公じゃねぇのかよ!

敵の黒いやつの方が出番も多いし活躍もしてる!

仲間は覚醒イベントとかで強くなり!過去や人物像にスポットライトが当てられている!!

敵にも焦点があてられたりしている!


…………主人公は!?どこ!?


枝音くん空気じゃん!?モブよりモブしちゃってるよ!!

そんな小説なのに!?こんな王道ムーブでいいんですか!


るせー!いいんだよ!こちとら保存もしてねぇのに携帯の端末が何回もダウンして、この後書きを書くの3回目だか4回目だかだぞ!?

いいーんだよ!ララヴィアはなかなか死ねぇーし、主人公は空気だけどいーんだよ!!

なんとかなるんだよ!そのうち主人公にも大々的にスポット当てられる時も来るよ!


と、言うわけで何が言いたいのかよく分からない後書きでしたー。では、また今度〜。



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