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黒白の心。  作者: どこかの黒猫
第5章 変わり果てた世界
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第7話 それは、怒り狂いし神の槍。

うぉぉぉ、行くどー。

次の投稿は時間かかるかも知れません。


「グォァァァァァア!!!」


「a――――――――!!!」


互いに叫び声を上げながら、クロノスとネアの戦いは激化して行く。

時間停止能力は意味をなさないと悟ったのか、クロノスは自身の回復と速度向上だけにその能力を行使する。


しかし、ネアの強力な近接攻撃と、枝音による支援攻撃でクロノスは後手に回ってしまっている。


「ググ…………ガァァァアアアアア!!!」


クロノスが、一際大きく声を上げる。

また時間操作か、と思ったがどうやら違うようだ。

よく見ると、ネアの攻撃が全て弾かれている。

クロノスの肉体を穿てていない。


枝音の支援攻撃も同様に、やつに着弾する直前で弾かれている。


「何あれ!?」


その光景を見て、枝音が驚きの声を上げる。


攻撃が一切通らない。

何かしらの能力で防壁を展開された?でも、そんな能力があることは知らない。

クロノスの能力で判明しているのは、魔眼によるエネルギービーム攻撃、時間操作による自身の速度向上と周囲の時間の低速化、そして先程判明した自身の形状変化能力だ。

まさか、まだ何かあるというのか?


「インレ!」


『なんだ?』


通信魔術での呼びかけに、不機嫌そうにインレが応答する。

精密部品をこの場所で組み立てるのにはかなりの集中力を要する。

だから、あまり話しかけては欲しくなかったのだが………。


「アレ、どうなってんの?」


「アレ……?あぁ、クロノスか。………攻撃が通っていないようだな。」


ネアの影も含め、あらゆる攻撃が無力化されているようだ。

いや、ネアの影は完全に無力化されているという訳でなく、かすり傷程度なら攻撃が通るようだ。


「白咲、式の書き込みだ。生成するのは銃弾、銃弾に追加式s'64223d/21-j3366を書き込め。それと、サーチ系の魔術陣を並列起動し、左眼と連動させろ。そして、魔術陣にも眼による式の書き込み、25s7_ynk:bc5524_t"51を追加。これで何が起きてるか分かるはずだ。」


「なんで情報式を………や、まぁいいか、とりあえず了解。」


何故インレが世界に書き込む為の情報式を知っているのか知らないが、とりあえず言うことを聞いてみる。


「情報式入力完了。サーチ魔術、解析魔術起動………起動完了。情報式、出力開始。」


生み出された銃弾を銃に込め、弾丸を放つ。


「……………!これは………?」


左目に、違う視界が映り込んでくる。

恐らく、突き進む銃弾を真後ろから追跡しているかのような視界。

そして、銃弾がクロノスの皮膚に触れた瞬間。


銃弾がサラサラと粉のように朽ちてしまったのが見えた。


「銃弾が……劣化した?」


「なるほど、恐らく時間加速を身にまとってやがるな。やつの皮膚に触れた瞬間、対象物は凄まじい速度で風化するという仕組みだ。」


「それって近接攻撃をしてるネアは大丈夫なの?」


「やつの場合、影響を受けているのは纏っている影だけだ。肉体に影響は無いだろ。」


「なるほど。じゃあ、どうする?」


「まってろ…………よし、設定完了。完成だ。」


上空で何をしているのかと思えば、何やら機械部品をいじくり回していたようだ。

一見すると、大型のナイフに見えなくもない。

かなり奇妙な形をしている。


「何それ?」


「黒兎の耳の部分にあたるパーツ。壊れてないところと、重要パーツだけをかき集めて組みたてたものだ。………やつの能力を、数秒だけ無力化出来る。」


「………なるほどね。私が、それで奴の鎧を剥ぎ取ればいいのね?」


「そうだ。ネアが奴の注意を引き付けてくれている今が好機。」


「OK、なら、ここで決めさせてもらう!」


ダッ!と枝音が一気に加速してクロノスに接近を開始、対してインレはその場からゆっくりとクロノスに近づいていく。


「神器、顕現。」


バチィッと稲妻が弾け、光が溢れ出す。

そして、インレの右手にひかりが集い、槍のような形を形成する。


「第3封印、解放。」


バキンッ!と金属が壊れるような音とともに、右手の光が明確に槍の形に代わり、凄まじいエネルギーを放出する。

光の波は荒れ狂い、


「第2封印、解放。」


さらに金属が壊れるような音が鳴り、光の槍がさらに明確な形を持つ。

荒れ狂う光の奔流の中から現れたのは、黄金の槍。


そして、その男は最後の封印を解放するための詠唱をするべく、ゆっくりと言葉を紡ぎ出す―――――




――――――――――――――



枝音がクロノスに接近を試みるが、それを許すクロノスでは無い。

魔眼による砲弾の雨で枝音の接近を妨害するが、枝音はそれらを難なく躱して行く。

さらに、ネアによる攻撃もあって、クロノスはなかなか思うように枝音に攻撃を当てれない。


そうこうしているうちに、枝音がクロノスの間近まで接近、ナイフを突き立てようとする。


その時だった。


「ガァァァァアアアアア!!!!!」


今までよりも、一際大きな叫び声をクロノスが上げる。

また時間操作か、と思い、『書き刻む』を発動。

ゆっくりの時の中でも動けるように変更する。





―――――――そして、時が止まった。





(……………は?)


完全に時間が停止していた。

そうとしか思えないほど周囲のあらゆるものが、ネアすらも停止していた。


時間操作に対抗するために『書き刻む』を使っていたのが幸をなしたのか、意識だけはなんとか保てている。

だが、それも気を緩めれば手放してしまいそうな朦朧とした意識だ。


(どうする?クロノスは時を止めることが出来た。いや、出来るようになった。打開策は?何が出来る?)


何か、何か無いのか。

だけど、何も出来ない、指一本、眼球すらも動かせない。


クロノスが移動を開始、ゆっくりと枝音の目の前にやってくる。

その巨体の頭部にある、巨大な眼球が枝音を捉え、魔眼からエネルギーの塊を吐き出すのを今か今かと待ち構えている。


(防御は………出来ない。回避も不可能。『書き刻む』も使用不可。)


そして、何も出来ずにいる枝音に向けて魔眼が一際大きく光を発する。

一撃で仕留めるつもりだ。

枝音が死を覚悟した瞬間


カッ!と()()炎がクロノスの眼球を撃ち抜いた。

それは凄まじい爆発を巻き起こし、クロノスの眼球をグチャグチャに破壊して潰す。


「グォァァァァァア!!!」


クロノスが悲鳴を上げ、周囲の時間停止が解除される。

時間の流れが、元通りに戻る。


さっきの炎は、まさか――――――



―――――――――――


「ぐっ、はァ、はァ。」


瑠璃奈は右目を押さえつけ、脂汗を大量に流しながら息を荒くしていた。

力を使った反動だ。ダメージは大きい。

だけど、あそこで使わなくてはいつ使うというのだ。


クロノスの能力の影響を受ける範囲外からの攻撃は、範囲内に入ってもクロノスの影響を受けない。

さらに、この力を使えば尚のことそうであることは最初の時に確かめてある。


「瑠璃奈大佐っ!大丈夫ですか!?」


瑠璃奈の不調を心配した周囲のみんなが駆け寄ってくる。

もう1歩も動けない。

たった一撃を放っただけなのに、ここまで身体に負荷がかかるとは。

意識も、だいぶ朦朧としてきた。


「後は頼んだわよ。枝音…………。」



――――――――――――――



「頼まれてやるわよっ!瑠璃奈!!」


瑠璃奈が作ったこのチャンスほ無駄にしない。

例え脳に記憶が無くとも、心はそれを覚えているはずだから。

感情が半分無くなっていたとしても、私が何者であったとしても。


私はこの、心の叫びの赴くままに行動するだけだから。


私は、私のために、この世界を自由に生きる。


だから、とりあえず、


「まずはクロノス、お前をぶっ倒す!」


成り行きとは言え、インレ、彼には何か感じるものがある。

記憶を取り戻す手掛かりになるかもしれない。


「これでも、くらえぇええええ!!」


インレから手渡された大型ナイフを、クロノスの胴体に突き刺そうとする。

が、クロノスはヒレで枝音を攻撃する。

だけでなく、避けた所から、再生し終えた魔眼で枝音を引き離そうとする。

苛烈な攻撃に枝音は少しだけ足を止められ、クロノスは距離を取ろうと移動し始める。


「クソ、まだ足りない…………!」



―――――――――――――



【……………!これは…………?】


目の前の()()の声でネアは意識を戻した。

とはいえ、現実世界に戻ってきた訳ではなく、深い感情の海底にだが。


【この力、あいつが近くにいるの……?と、言うことは………。】


「…………?」


私に囁きかける負の感情の言葉は、聞こえなくなっていた。


【………今回だけ、特別。】


「……どう、いう……?」


かろうじてだが、声も出せるようになってきた。

意識はハッキリとし、不安定な心はスッキリしていた。


【本当はお前がこの力を、私を制御しなくちゃいけないんだけど、今回だけは特別に力を貸してやるっていってるの。】


目の前のネアが、ぶっきらぼうにそう語る。

しかし、彼女が自ら進んで力を貸してくれるとほ、どういう風の吹き回しだろうか?


【だから、今回だけの特別だって言ってるでしょ。次は無いの。私自身だって、私を完全に制御出来るわけじゃないし。】


【後、能力を最大で使える時間は15秒だけ、それ以上は無理だから。】


ガラガラと2人の周囲の海底の足場が崩れて行き、水位が下がっていく。

深い深い海の底にいたはずのに、水位はもう膝ぐらいまでしかない。

怨嗟の声は、もうまったく聞こえない。


【次は、自力で私を制御しに来てね。】


――――――私を制御できる人なんていなかった。


――――――それこそ、神でさえ不可能だった。


――――――だけど、あの男は、私を見事使いこなしてみせた。


――――――だから


――――――今度はお前達が可能性を見せてみろ。


――――――人間。



――――――――――――――――――――


「影よ!」


ただ闇雲に纏っていただけの影が変化し、より効率的に鎧のように身に纏う。

さらにそれだけではなく、クロノスの巨体を包み込むほど影が、クロノスの胴体やヒレなどの様々な部位を拘束、その場に縫いつける。


「ガァァァァアアアアア!!!!!」


クロノスが怒り狂い、暴れようとするが、影による拘束がそれを許さない。

クロノスの時間操作による風化など意にもかいさないほどの強力な影が、クロノスをさらに締め上げる。


「枝音っ!!」


「了解っ!!」


枝音がクロノスに飛びかかり、奇妙な形をした大型ナイフを背中に思い切り突き立てる。

時間操作による鎧が全て剥ぎ取られ、クロノスの能力も全て無効化する。


「インレぇええっ!!」


最後の決定打を決めるため、その名を呼ぶ。


「最終封印、解放。」


――――Ic Vacr Oðinn Yggr Grímnir

我 目覚めしは、怒り狂いし恐ろしき暴風なり。


Iafnhár Fimbultýr Ómi Aldaföðr

万象を創造し、万象を破壊する万物の神なり。


Wotan Othinus Woden

(いか)れ、怒れ、怒れ。


Oðinn Uðr Fiolsviðr Viðurr Kialar

怒りの波は押し寄せて、全てを滅して潮は引く。


Oðinn Grímnir Osci Fengr Váfuðr

怒りの風は吹き荒れて、全てを創って流れゆく。


Herjann Valföðr Gagnráðr Atríðr

軍勢を率い、勝利を掴めと馬に乗り、


Báleygr Bövercr Hárr Hnicuðr Sviðurr

怒りの炎に薪をくべ、天を貫く槍を持ち、


mihi nomen Óðinn est !!

世界を怒りで燃やしつくすのだ!!



「全てを貫け、グングニル(Gungnir)よ。」


世界が白く変わった、そう思えるほどの光がインレ………いや、オーディンの持つ槍、グングニルから放たれる。

光の渦はオーディンを中心として渦巻き、天を貫いて世界を照らし出す。


オーディンは、光の翼と(いかづち)を伴って空中へと浮遊する。


光のエネルギーの余波だけで周囲の木々はなぎ倒され、雪は溶け、雲は吹き散らされる。


頭上には巨体な光の輪がいくつも展開され、そこから溢れるエネルギーがさらにグングニルに力を供給する。


上空よりオーディンが槍の矛先をクロノスに向け―――――


――――――そして、神の怒りが今、放たれる。






ちちちーす!どーもーどこ黒ですぅー。


オーディンくんの詠唱は適当にオーディンの別名を書き連ねているだけなので、そんな深い意味は無いっす。

日本語詠唱の方が意味ある(?)ので。


次はちょいとおくれて夜ぐらいかな?(昼寝したい……頭痛い……。)




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