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黒白の心。  作者: どこかの黒猫
第4章 世界崩壊戦線
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第7話 憤怒の心。

「侵入区画の全隔壁が閉鎖されました!」「敵空中要塞、迎撃システムの起動を確認!」「戦艦3隻が大破、駆逐艦2隻が中破!!」


「限界までハッキングを続けろ!ミサイルは可能な限りうち続けろ。」


「第7区画に遺物保有者の反応を多数確認!瑠璃奈少佐率いる部隊が交戦を開始。」


「増援を送れ!だが、いいか、枝音の奪還はあくまでも副産物だ。メインは敵動力路の破壊。忘れるな!」


「了解。」


―――――――――――


「………枝音、どこなの……?」


瑠璃奈は『憤怒』の能力でこの空中要塞のシステムにアクセスして枝音の位置を探るが、見つからない。

異常なまでの機密保持だ。

この空中要塞の動力路や各兵装の起動システムよりも枝音の機密レベルが高い。


一体なぜ………?


「瑠璃奈少佐!敵の増援部隊が来ました!!これ以上は……!」


「第7区画の隔壁を閉鎖するわ!各戦闘員はここまで退避!」


瑠璃奈が隔壁を閉鎖して、敵の妨害をある程度阻止する。

と、その時、ズズゥン!!と激しい揺れが起き、瑠璃奈達の体を大きく揺さぶる。


「今度は何!?」


警告音がけたたましく鳴り響き、明かりが危険を知らせる赤いランプに切り替わる。

何が起きているのか調べようとした瞬間、今までどれだけ敵の防壁を掻い潜ってもヒットしなかった枝音の居場所が表示される。


「これは……!!総員、地上に出るわよ!第9区画に枝音がいるわ!ついでに、第11区画にある動力路も破壊来ていくわよ!」


「了解!!」


後は、地上への隔壁をに開くだけ。

今まで尻尾も掴めなかった枝音の所在がわかった。

その事によって、瑠璃奈は気が緩んでしまった。


なぜ、ここまで機密の高い枝音の情報が急に開示されたのか。

罠という可能性に、瑠璃奈は気づけなかった。


―――――――――


「ハッキングの攻撃網に穴が開きました!!システムの再起動に入ります!」「周囲に異常無し!空間歪曲結界、再展開可能!!」


「はっ、一瞬だけ隙が出来たな、『憤怒』!!」


散々探しても見つからなかった枝音の居場所がようやっとわかったんだ、そりゃあ嬉しさのあまり、無意識のうちに隙を見せちまうだろうよ、と雅音はニヤリとこい笑みを浮かべる。


「第7区画の全ボルトに点火!!第7区画を切り離せ!!」


雅音のその言葉に、部下達は一瞬驚いたものの、さすがは夜花のメンバー。雅音の無茶ぶりはいつもの事なので慣れており、すぐさま行動を開始する。


「全隔壁の閉鎖を確認。全ボルトへ点火開始!」「第7区画、空中要塞からの制御を離れました。崩落します!!」「第7区画周囲のブロックへ通達!第7区画切り離しに伴う二次被害に注意せよ!」



―――――――――――


再びスズゥン……!という衝撃音と共に、大きな揺れが瑠璃奈を襲う。特に今回のものはかなり大きく、バチンッ!と照明が落ちる。

電機そのものの供給が止まったのか、これでもかと言うほどうるさく鳴り響いていた警報音がピタッと止まる。


「くっ、とりあえず、地上にでることを優先するわ!!」


天井に向けてエネルギー貫通弾を数発放ち、天井に穴を穿ちながら真っ直ぐ地上を目指す。


そして、地上でてきた瑠璃奈が見たのは、崩落していく地面や建物だった。

足元の地面も次々と崩れて落ちていく。


「なっ……これは……!?」


「少佐殿、あちらを!」


第9区画、枝音がいるであろう方向の空中に謎の扉のような空間ができており、枝音がそこに光り輝く紋様が浮かび上がった左手をかざしている。

すると、それに呼応するかのように扉がゆっくりと開いていく。


「何あれ……?…………っ!枝音!?」


急いで枝音の近くまで近づこうとした瞬間、ガコッ!と足元が崩落する。


(まさか、この区画ごと切り離そうとしているの!?)


第7区画の地面が完全に真下へ向かって落ちている事に気づいた瑠璃奈は、急いで炎の翼を形成して枝音の所まで勢いよく跳躍する。


「枝音!!」


大声で名前を呼びながら近づく。

すると、瑠璃奈の姿を見つけた枝音が目を点にして驚きを露わにする。


「えっ!?瑠璃奈!!なんでここに!?」


「……私達の目的は枝音の奪還と、そのついでにこの要塞の動力路と、兵装をある程度破壊する事よ。だけど、動力路の破壊は失敗したわ。………まさかハッキングを受けている区画事切り離すとはね。」


完全にメインの目的とサブの目的が逆になっている瑠璃奈だった。


それはそれとして、『暴食』の権能は別に直接触れていなくても機能するが、あそこまで厳重や防壁と妨害があっては、間接的なハッキングなど通常のハッキングと変わらない。

なので、直接ケーブルに触れてハッキングしていた訳だが……。


「ていうか、こんな無駄話してる場合じゃないわよ!早く、逃げるよ!」


「ごめん瑠璃奈、私は一緒には行けない。」


「…………え?」


枝音のその言葉に、瑠璃奈は驚き、固まってしまう。

いま、枝音はなんて言った?

一緒には行けない?


「私はこれから天界へ行って、『眼』を回収する。それが例え黒音の思惑通りだったとしても、これが今私ができる最善手だから。」


「枝音……?」


あんた、一体何があったの?


そう瑠璃奈が聞こうとした、その時、周囲が一瞬暗くなったかと思うと再び周囲の明かりが戻る。

瑠璃奈が空を見上げると、要塞の周囲にうっすらと結界がはられているように見えた。


「しまった!!空間歪曲結界が……!」


再展開された。その事実に、瑠璃奈は歯噛みする。

これでは、脱出は困難だ。

せめて枝音だけでも………!


「音声認識によるコントロールを発動。コードE-001、空間歪曲結界を3分間停止し、全兵装を2分間ロック、及び第12区画の固定ロックを解除し固定ボルトに点火、切り離せ。暗証コードはE01Q-3D6!!」


『音声認識を確認。コードE-001、個体名ミア。音声認識によるリモートコントロールを開始します。』


枝音の声に反応して、どこからともなく機械音声が流れてくる。

そして、枝音の命令に従うかのように、要塞周囲に展開されていた空間歪曲結界が解除され、各兵装も攻撃を停止する。

しかも、第12区画の方向から立て続けに爆発音が鳴り響き、建物が崩壊する音が聞こえてくる。


「………何、今の?」


まるで、いや、正しく要塞を操っている枝音に、瑠璃奈は疑問と驚いが入り交じった気持ちを覚える。

だが、枝音はそんな事は今はどうでもいいとばかりに、瑠璃奈をはやく脱出するよう促す。


「そんな事はいいから、早く行って!第12区画の崩落と共に海へ逃れるの!瑠璃奈、また後で!!」


「でも、枝音は……!」


どうするのか、そう言おうとした時、既に枝音は覚悟を決めた様子だった。

それで、わかった。枝音はこっちには来ない。

枝音が戦うと決めたあの日の、あの時と同じ眼をしている。


「お願い!きっとすぐ戻ってくるから!!」


「………了解、また後で!!」


その眼をした時のお願いはズルい。

そう瑠璃奈は思った。


――――――――


「全システム復旧開始!動力路再起動!!」


「浮上を開始せよ!!!」


「浮上開始、全動力を飛翔システムへ。」「システム異常無し。第7区画は完全に制御を離れました。間もなく、海中へと沈没します。」「浮上を確認、高度をさらに上げます。」「高度800メートルに到達、空間歪曲結界を展開します。」


全てが順調に復旧しつつあるその時、警報が鳴り響き、音声入力式の命令が要塞に出された事を告げるアナウンスが流れる。


「………っ!コードE-001の発令を確認!!」


「ふむ、枝音か。何をされた?」


「空間歪曲結界と全兵装を一時的に使用不能にされました。それと、第12区画の全固定ボルトに点火、切り離されました。」


「……ほう、なかなか上手い使い方をするじゃないか。」


空間歪曲結界の解除や全兵装のロックなどは大した痛手ではない。最高レベルの権限で行われたことは、同じ最高レベルの権限で何とかできる。

だが、区画の切り離しとなれば話は別だ。

1度爆破されたボルトは元に戻らず、直ぐに区画は切り離される事になる。


「閣下、関心してる場合じゃないです。逃げられますよ?」


「はっ、こんだけ好き勝手やらせて、誰がそうむざむざと無傷で返すか。第17区画に通達。実験兵器3号機を投下しろ、とな。」


――――――――――――


「急げ急げ!!こいつを奴らの頭上に落とすぞ!」


「なっ!?本気ですか?これ、1度動き出したら手が付けられませんよ!?」


「だからだろう。前みたいに面倒になる前に、奴らへの嫌がらせを兼ねてとっとと処分しちまおうって腹だろう。相変わらず、閣下はえげつねぇことを考えやがる。」


突然、警報がけたたましく鳴り響き、部屋の明かりが警告を知らせる赤色に切り替わる。


「何事だ!?」


「例の実験兵器が活動を始めました!拘束具を引きちぎろうとしています!!」


獣のような呻き声と、金属の擦り切れる音が響く。

既にいくつかの鎖が引きちぎられ、バキンッ!と甲高い音を立てて拘束具が破壊されている。


「ちっ、要塞に取り憑かれる前に早く落とせ!!」





怒涛の3日連続投稿。


4章でめっちゃ書きたいところがあるんで、とっととそこまで行きたいんですよねー。


あ、どうも。と〇くろちゃんみたいな名前をしてるなーって最近自分で思うどこ黒です。


後書きに書くことあんまり無いなーって感じなので今日はここらで。


では、また8話にて〜



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