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黒白の心。  作者: どこかの黒猫
第3章 白夜花散戦争
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第3話 ここは地獄。


ここはまさしく地獄だった。

ただの戦場なら、来ていただろう。

ただの能力者同士の争いでも、来ていただろう。

だが、ここがこんな所だと聞いていたならば、絶対に来なかった。

1個人を倒すために、何千人も群れて、それでも倒せない。

なんだ?これは??なんだ?アレは?

人の形をした何か、いや、もはや人の形でもないのかもしれない。

視覚的には人に見えたとしても、あれはそう形容していいものでは無い。

『ソレ』は人の負、その全てを体言した圧倒的な何かだ。

神のような、悪魔のような、我々の手の出してはいけないものだ。


私は、今『ソレ』を狙撃銃のスコープで覗いている。

上からの命令出なければ今すぐにでも目をそらして逃げたしたい。

だが、上からの命令だ。仕方がない。

私は、体の震えを無理やり押さえ込んで、銃の引き金を引こうとした瞬間。

チカッと『ソレ』が一瞬だけ黒く光ったように見えた。


「ガフッ………………え…あ?」


自分の胸の当たりに、巨大な穴が、空いて、


馬鹿…な、850メートルも、離れ、て………………。


――――――――――――――――――――


「狙撃部隊は、これで殲滅したか。」


爆音の銃撃音、戦闘機や戦車のエンジン音。

だが、それをかき消すほどの怒号と悲鳴、そして更に爆音に次ぐ爆音。

そのまさにド真ん中に、いるのは黒音………いや、雅音だ。

前方に、まだ大量の敵がこちらを狙っている。

戦車に移動砲台に迫撃砲、見えるだけでも凄まじい数だ。

建物の影に隠れている奴や、あの後ろにいるのも数えたら幾つになるか分からない。


(めんどくせぇな………焼き払うか。)


「マユ、我を守れ。……術式展開。」


マユを近くに呼び寄せ、雅音は右腕を前に突き出す。

禍々しい黒いエネルギーの塊が、そこに凝縮される。

雅音の背中から黒い翼が6本生え、それを羽ばたかせながら少しだけ浮き上がる。

視界が確保できた所で狙う方向を定めて固定、更にエネルギーを注ぎ込む。

敵からの攻撃はもちろんあるが、全てマユが防いでくれる。


暴威の塊となったエネルギーの凝縮体を、前方に向けて放つ。



そして、音が消えた。



眩い光……などではなく、昏く、おぞましい闇の光が周辺を包み込む。

光が消える頃には、雅音の前方は何もかもが消えてなくなっていた。

あるのは、死体の山と瓦礫、そして訳の分からない鉄くずだけ。


そもそも、雅音のいるここら周辺が全て廃墟、または荒野と化している。


無論、元からこうだったわけではない。


戦闘開始から40分、たったそれだけの時間で、幾つもの街は全て焦土と化した。


新型兵器が存分に使われ、高威力、大量破壊兵器がふんだんに使われるここは正しく地獄だった。

もはや国際法など無視しているも同然の勢いだ。


上空から、爆撃機のエンジン音が聞こえる。

黒い、質量を持った、鉄の塊が、投下される。


だが、それはただの爆弾ではない。

雅音の頭上で幾つものそれが、バラバラにバラけて、爆発する。

クラスター爆弾。

そして、遺物による技術で威力は馬鹿みたいに上げてある。

禁止条約などそんなものは無視だ。

勝てば官軍、負ければ賊軍。

白華と新オスマン帝国のやっている事がもはや『天の刹』と変わらなくなってきたが、それはさておき。


問題は、そこまでの火力を用いても、雅音にダメージを与える事が出来ていないという事だ。


そもそも、戦闘が予想よりも早く起きてしまった。

敵との接触まで、もう少し時間がかかると思われていたのだが、雅音とマユがたった2人で現れ、戦闘が勃発。


初撃にて高エネルギー放出術式が使用されるという、大規模な被害を被ったがなんとか大勢を立て直して抵抗。

白華の主力部隊と、黒音討伐隊が到着するまで耐えることになった訳だが………。

あまりにも一方的にやられていく味方を見て、高威力兵器の使用を許可。国際法など守っている余裕などない、というのが本音だ。白華から支給された最先端技術をつぎ込んだ高火力兵器を逐次投入。

以下、雅音とマユ対高威力兵器のぶつかり合いという展開となった。


「ぐっ、がはっ、がっ、ハァ、ハァ………。」


雅音は血反吐を撒き散らし、腕はガタガタと震えている。

能力を無理矢理行使している弊害だ。

かなりセーブして使っているとはいえ、40分間も使えばそれなりに肉体に影響は出てくる。


「閣下、限界です。そろそろ戻られては?白華の主力が来る前に体力を使い果たしては元も子もありません。」


「それもそうだな……。味方の軍はどこまできている?」


「すぐ後ろで控えています。」


「よし、白華の主力が到着するまでまだもう少しある。後は彼らに任せるぞ。」


そう言うと、雅音は元の黒音の姿に戻り、マユと共に後方に下がる。

そして、入れ替わるようにドイツ・新ソ連連合軍が前へと向かっていくのだった。



―――――――――白華主力部隊


「前線はどうなっている!?」


「先鋒部隊は全滅!壊滅的な被害を受けました!!」


「討伐目標は後退し、以後、通常戦闘へとなりましたが先のダメージが大きく、やや劣勢です!」


「ぐ、我々の到着まで後何分かかる……?」


「後30分はかかるかと………。」


その報告を聞いた男は、悔しそうに歯噛みする。


(なんとか持ちこたえてくれよ………!)


――――――――――ポイントB-4上空。


「灰空さん………!!」


「数日ぶりですね………。色々と思うところもありますが、今は敵です!!」


灰空が闇色の剣を右手に具現化し、枝音に攻撃を仕掛ける。

枝音がそれを迎え撃とうとするが、五感それぞれの情報が一致しない事に気づく。


(これはまさか、幻覚……!天葵、どうしたらいい!?)


『五感に頼っちゃダメだ。第六感のようなものでなんとか感じ取るしかない!』


(で、それってどうやってやるの!!!??)


ぎゃあぎゃあと心の中で天葵と言いながらも、枝音はなんとかギリギリの所で灰空の攻撃を凌いでいる訳だが、本人は気づいてない。


(幻術に気づかれましたか。ですが、まだ破られてはいない様子………。どうやって避けて……?まさか、勘で攻撃を察知して避けているのですか?だとすれば凄い、としか言いようがありませんね……!)


幻覚に翻弄されながらもこちらの攻撃を危うげに避けていく枝音を見て、灰空は関心する。

だが、避ける事は出来ても反撃する事が出来ない枝音は完全に封殺されていた。


「あーー!!鬱陶しいいいいいい!!」


痺れを切らした枝音が、翼による攻撃を広範囲に撒き散らすが、そんな攻撃にあたる灰空では無い。

枝音が灰空に手をこまねいていると、通信が入る。


『枝音、作戦は失敗だ!撤退するぞ。B-2地点で合流!』


「………ッ!了解です。」


「逃がしませんよっ!!」


灰空が幻覚を展開して枝音を惑わせてくる。


(目に頼っちゃダメだ……!天葵、ここら周辺の地図を!)


『はーい。網膜に周辺の地図、投影するよー。』


枝音は五感を全て遮断し、天葵の索敵能力に周囲の把握を任せ、自分の目に映っている立体的な地図に従って高速で移動する。


(灰空さんはっ!?)


『んー、この様子だとピッタリ後につかれてるっぽいね。』


(それなら上等!!)


さらにスピードを上げ、追いかける側の余裕も無くしていく。


「早い……!だがそれだけでは私を撒くことは出来ませんよっ!!」


灰空は枝音のスピードに驚愕するが、臆することなくその速度について行く。

しばらくして、超低空を高速移動していた枝音が急ブレーキをかけ、無理矢理直角に曲がって狭い路地裏に入った瞬間。


「ここだっ!!」


「なっ!!?」


枝音が空中で回転して逆さまの状態で銃口を路地裏の入り口に向ける。

誘い込まれたと灰空は気づくが、もう遅い。

路地裏から抜け出そうとするが、狭くてうみく身動きが取れない。

そうこうしているうちに、枝音の広範囲爆裂弾頭が炸裂する。

その威力は絶大で、建物ごと路地を吹き飛ばす。

続いて何度か爆発が起き、しばらくすると、静かになった。


「…………逃げられましたか。まぁ、いいでしょう。」


煙が晴れた頃には、枝音の姿はどこにも無かった。

枝音が向かったであろう方向を見つめながら、灰空は通信を誰かに送る。


「こちらの足止めには成功しています。そちらは?」


「―――――――。」


「分かりました。では、タイミング的には次の戦闘時になりそうですね。」


「――――――。」


「……えぇ、分かっています。」


その言葉を気に、通信が終わる。


「………ふぅ、やられ役というのは、思っていた以上に大変になりそうですね。」


そう愚痴を零しながら、灰空は自分の司令所へと歩いて戻っていく。




どらっしゃあらぁ!やーおいさぁー!どこ黒でーーす!!

勢いだけでこの後書き書いてます。

最近、後書きと前書きの書くネタが無くて困ってるんですよねぇ。


では、また今度〜







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