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黒白の心。  作者: どこかの黒猫
第3章 白夜花散戦争
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第1話 死へと向かう世界

〜この物語はフィクションであり、実在の地名や団体名、人物名などとは一切関係ありません〜


「みんなに集まってもらったのは他でもない。今の世界情勢と、今後の我々の身の振り方についてだ。」


総司令官である夢羽を中心として、各メンバーが集う。

各自の報告が始まる。


「27時間前、バルカン半島にて第2の奈落が出現しました。」


「新ソ連はこれに対し、すぐさまバルカン半島を抑えに行きました。ドイツもこれに加勢した模様、ルーマニアをドイツと新ソ連の連合軍が抑える模様。それに対して、新オスマン帝国とイギリスが一時的協力体制に入り、新ソ連とドイツに対抗する姿勢です。」


ドイツ、フランスは新ソ連側に着くようだ。普段ならありえない組み合わせだが、夜花の意思が介入したのだろう。

夜花の目的は依然として不明だ。

そして、ドイツとイギリスが戦争をする。それはつまり夜花も戦闘に介入するであろうという事に、各メンバーは緊張を露わにする。


「フランスは奈落の方へ向かわず、ドイツと共に沿岸沿いに軍を展開し、イギリスの上陸を牽制中。なお、フランスはジブラルタル海峡を閉鎖しています。」


ジブラルタル海峡の解放がまず目標のひとつだな、と夢羽は考える。


「天の刹はイタリアと共にギリシャへ向かいましたが、すぐにイタリア軍は自国へ引き返しました。天の刹も、様子見をした後すぐに撤退しました。」


自国へ引き返した理由としては、この戦争で各国が疲弊した所を狙っているのだろう。

天の刹はここでの戦争には参加しない姿勢のようだ。

恐らく、夜花と白華が共倒れする未来図を描いているのだろう。


「新ソ連は自国の機械化兵士などを様々な新兵器を投入していますね。あと、ドイツが異常な速度での対応を見せており、ルーマニアの土地が幾つか消失したというのに冷静な判断を下しています。」


「これはかなり不思議な事なのですが、ドイツ・新ソ連の連合軍が形成されるのがあまりにも早すぎます。特に、クリミア半島からの動きはあらかじめここに奈落が出現すると知ってなければ到底できない動きかと推測します。」


各メンバーからの報告が終わり、総司令官である夢羽の決断を待つ。

各メンバーの報告を聞いた後、あらかじめ決めてあったかのように、夢羽はすぐに言葉を紡ぐ。


「バルカン半島、ここが全ての戦闘の要となる。イギリス軍と協力体制を敷き、夜花とやり合う。全面戦争だ!!」


全面戦争。どちらかを殺し切るまで終わらない、というその意味に、各メンバーが息を呑む。


「元より、夜花は世界崩壊を脅かすものとして、警戒されていた。故に夜花や天の刹を潰すにはどうしたらいいのか、と言った計画は幾つかある。それらを有効活用し、大規模作戦、夜花討伐作戦を開始する!!」


総司令官のその宣言と共に、各メンバーが慌ただしく動き始める。

そして、その後丸一日かけて、綿密な作戦が練られるのだった。


―――――――――――――――


枝音は、瑠璃奈の部屋にきていた。

体に異常は無いようだが、あんな事が起きたのだ。


「入るよ、瑠璃奈。」


中から返事は無いが、枝音は部屋の中に足を踏み入れる。

奥のベットの上に、瑠璃奈は座っていた。


「あぁ、枝音………。大丈夫だったの?」


呆然としながらも安否を問う瑠璃奈。


「うん。なんとかね。色々あって、さ?」


沈黙が場を支配する。何か喋らなきゃ、と枝音は思うがそこで瑠璃奈が口を開く。


「……………慰めとかなら、いらないわよ。」


ぼそっと、瑠璃奈が呟く。確かに、慰めとかならばティア達がいくらでもやっているだろう。

枝音自身も、そんな理由で来た訳じゃあない。


「私ね……。ほんとは分かってるの。お母さんが生きてるわけがないって。」


こう、呆然と言う瑠璃奈。

それを見て、枝音はどうしたらいいのか分からなくなるが、本来の目的を思い出し、なんとか言葉を紡ぐ。


「瑠璃奈……。あの、」


「慰めなんていらない!!」


瑠璃奈が、叫ぶ。

枝音を拒絶するかのように、


「慰めなんていらない!私は、あんた達に刃を向けた!でも、それは私の意思じゃあない。そんなことは分かってるの!でも、私は!心のどこかでお母さんとお父さんに生きてて欲しくて!!」


ポロポロと涙を流しながら、瑠璃奈ほ塞ぎ込むように叫ぶ。


「死んじゃったって分かってるのに!いざその姿を前にしたらこの気持ちを抑えられなくて!!だから!私は!あのお母さんが本物じゃないって、分かってるのに!あなた達に刃をむけてしまった!!」


瑠璃奈が、懺悔するかのように、まるで自分の罪を告白するかのように叫ぶ。


「私はッ!!私は………っ!!」


瑠璃奈の叫びを、心からの絶叫を枝音は、ただ、受け止める。

瑠璃奈の顔を見て、その話を聞き続ける。


「戦闘には、参加しない。もう、ここには居られない。1度味方に剣を向けたのに、またいつも通りの気持ちでいられるほど、私は強くなんかない。」


瑠璃奈が、疲れたように、言う。

だが、決して、その顔はこちらを見ようとしない。


「ねぇ、枝音。どうしたら……どうしたら良かったのかな……。お母さんも、お父さんも…………もう、いないのに………。ねぇ、どうしたらいい……?」


瑠璃奈は、きっと、ずっとこの気持ちを抱え続けていたのだ。

幼い頃に両親を無くして、なんで死んだかも、誰に殺されたかも分からなくて、ただ、意味も分からずに呆然と生きてきたのだ。


枝音は、瑠璃奈が表面上は取り繕っていても、死んだ両親を渇望しているのは気づいていた。


夜姫奈のように、復讐という目的のために生きてきたわけじゃない。彼女もまた、幼い頃に両親を無くしていたが、明確な(かたき)が分かっていた。そして、復讐のために生きてきた。他に目的ができたから、だから、両親の死も受け入れられたのかもしれない。


だけど、瑠璃奈は未だ両親の死を受け入れられていない。

白華に入ったのも、火事で燃え盛る家の中から救助されて、そのままここで育って来たからだ。

自分の確固たる意思でここにいるわけじゃない。


戦う、理由が無いのだ。


だから、こうして、弱って、腐っている。


正直、見ていられなかった。


「瑠璃奈、甘えないで!」


瑠璃奈の肩を引っ掴んで無理矢理顔をこちらに向ける。


「自分から逃げないで!自分から逃げて、過去の悲劇に酔って、それに甘えることなんか許さない!!」


「瑠璃奈がどうするかは!瑠璃奈が決めるの!!私じゃない!!」


枝音が、怒ったように、いや、怒っているのだろう。

この親友は、不甲斐ない自分に怒ってくれているのだ。


「どうすればいい?じゃないの!!あなたはどうしたいの!?あなたの戦う理由は何!!?」


「わた、しは…………。」


「あなたの、生きる理由を見つけるの!逃げるも、戦うも、どっちを選択しても私はそれを受け入れる!でも、過去の悲劇に甘えることは許さない!どちらを選ぶにしても、理由を、自分の意思を示して!!」


一通り喋り終わったあと、枝音は瑠璃奈の肩を掴んでいた手を離し、ドアへと向かう。


「ちゃんと、考えて。そうじゃなきゃ私、瑠璃奈の事を一生許さない。」


そう言いいながら、枝音はドアを開けて部屋から出る。

再び部屋の中に1人となった瑠璃奈は


「私の、生きる、理由………。」


そう、枝音に言われた事をもう一度思い返して、考えてみる。


「………、まさか、枝音に説教される日が来るなんて、ね。」


そう言う瑠璃奈の顔は、どこかスッキリしたような顔だったが、本人は気づかない。



――――――――――――――


「はぁ、これで良かったのかな……。」


部屋からでた枝音は、そう呟く。

と言っても、元から説教する気ではあったのだから、自分的にはこれでいいはずなのだが。

もう少し他にやり方があったのではないか、とも思えてしまう。


「考えていても、仕方ないか。」


言いたい事は言った。後は瑠璃奈次第だ。

私は、瑠璃奈はきっと帰ってくるって、信じてる。

後は、私のやるべき事をやるだけだ。







久しぶりですね!どこ黒です!!

視点がぽこぽこ変わるから読みづらいと友達から言われたんですけど、本当ですかね!?

本当ならマシになるよう善処します。


ところで3次元戦争ってめっちゃ書くの難しいですね。

今回は会話回だからいいんですけど、正直戦闘シーン辛いっす。

地名とか具体的な場所覚えるのだるいんでポイントA1とかにしましょうかね。


では、また今度。


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