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黒白の心。  作者: どこかの黒猫
第2章 奈落調査作戦。
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第12話 動き出す世界。

12話!?死んだはずじゃ…………!!

残念だったなぁ……?鶏肉だぉ。

どうも、枝音です。

仲間を逃がすために殿(しんがり)となって、奈落という別世界みたいな所に閉じ込められたわけなんだけど、ひょんな事から本来なら敵である夜花の人達に拾われて、ここ数日は共に過ごしてます。


私は軍人では無いし、白華に対する忠誠心みたいなのもそこまで無いので特に抵抗は無かったです。

話してみると、いい人達ばっかりだし、喧嘩したりもしたけど、仲良くやっていけてる気がします。


みんな、それぞれの事情があるみたいで、黒音の事を皆が慕っているようです。

知識王のノウとはあまり話せませんでした。

彼女はそもそもここにいる事が少なく、部屋に引きこもっているか、どこかに出かけている事がほとんどどでした。

私は、黒音の事は未だよく分かりません。

いい事をしているように見えるんだけど、それには何かしか裏があるみたいで、打算的に見える所が気に食わないです。


ちゃんと話せば何か分かるんだろうけど、私に聞く勇気が無いばかりに、私が1歩、彼に近づけないために、少し溝ができてしまってるように思います。


そんな彼らとも、明日でお別れです。

明日、奈落の幕が再び開き、私は無事ここから脱出して白華へと戻ります。


短い間でしたが、とても楽しく過ごせました。

心残りもあり、もっと皆と話し合いをして、笑い合いたいなと思ってしまいますが、ここは我慢して皆さんとさようならしようと思います。


皆さん、どうもありがとうございました…………


黒音と灰空は寂しそうな顔をしており、ラストは相変わらず黒音を見てニヤついており、ノウは本を読みながらもを時々こちらを見ており、雷狐は泣きそうな目をしていて、九尾は名残惜しそうにしている。


そんな皆さんを涙をこらえて見て、お辞儀をし、背を向けて私は去るのでした………。








「ってんなわけあるかいいいぃいいい!!!」


どうも!?枝音ですけど!!?今日も昨日も明日も太陽も元気に生きてく枝音さんですけど!!??


おっま、こんな感動的なストーリーになるとでも思ってんの!?

普通なら敵同士だけど仲良くなって、名残惜しいけれど味方のところに戻って、再び敵として見えた時に辛い気持ちになる………みたいな展開なんだろうけどさ!?


名残惜しいわけねぇだろ!?

むしろ、ここから逃げたしてぇよ!?


だってこいつら頭おかしいよ!?何このCHAOS空間!!?


灰空さんはあまりの胃痛に気絶しちゃったしさ!?


そう、そこは地獄のような光景だった。


『☆白咲枝音、お別れパーティ!!☆』


とけど書かれた大きな紙が建物の全面に貼られ、街は全部が丸一日かけて飾り付けが行われ、盛大なパーティ……というかお祭り騒ぎが行われていた。


それは、なんかもう狂気的だった。


銃やミサイルなどをドンパチ撃つのは当たり前、魔術でなんかやってるし、樽酒をぶちまけたり、家を破壊したり、花火を打ち上げたり、ドラゴンの丸焼き作ったり、ウォータージェットみたいな物を作って遊んでるし、家を破壊してるし、車食べてるし、キャンプファイヤーを森林破壊の勢いで行っていたり、家を破壊したり、破壊したり、破壊したりしている。


どんちゃん騒ぎもここまで行ったら別の何かなのではないだろうか?という代物だった。


家の中でやるような騒ぎを街レベルでやっているアイツらの正気を疑う。


いや、まぁ、食べ物はおいしいし、それなりにお祭り騒ぎも楽しんでるんだからいいけどさ…………。


「よぉ、枝音。楽しんでるか?」


黒音が、ワインを煽りながら話しかけてくる。


「あんた達滅茶苦茶よ………。まぁ、楽しいけど。」


そう言って枝音が微笑むと、黒音の左腕を影が多い、巨大な龍みたいな形に変わる。そして、足元の影の中にそれを突っ込んで何やらゴソゴソと取り出す。

出てきたのは、自分たちの身長よりも大きなミサイルだった。


「ん、食うか?」


「食わねぇよ!?てか、食えねぇよ!?」


「んー、そりゃ残念。刺激的な味がして美味いんだがなぁ……。鉄分とかも補給できるし。」


もはやゲテモノ料理……いや、食べ物ですら無いものをバリバリと左腕の影で捕食する黒音。

いったいどういう体の作りをしているのだろうか。

というか、ミサイルは食えるのか…………。


「ん、おっと。まずったな。」


と、突然呑気にそんなことを言うが、もちろんまずったどころではない。

黒音の右半身が爆発を起こし、爆ぜる。

煙が晴れる頃には黒音の体は元通りに戻っていた。


「………確かに、刺激的ね。あんた色々と規格外すぎるでしょ。」


呆れながら言う枝音に、黒音がふっ、と苦笑する。

そんな黒音を見ながら、枝音は少し考えたあと、自分の聞きたいことを聞く決心をする。


「…………、あのさ、くろ……雅音。」


枝音が言いにくそうに、黒音をわざわざ昔の名前で呼び直す。


「なんだ?告白でもしてくれるのか?」


黒音がそう言って茶化すが、緊張をほぐしてくれたのかな、と思い、赤面しながら枝音は叫ぶ。


「ち、違うわよっ!……あのさ、なんであの時、私なんかに話しかけてくれたの?」


他にも聞きたいことは沢山あった。だけど、1番聞きたかったのは、やっぱりその事だった。


「…………………。あの時のお前の顔が、昔の俺のようだったからな。」


黒音は、哀しそうな瞳でこちらを見る。

でも、その瞳は、まるで自分ではない誰かを見ているみたいだ。


「お前の気持ちは、よく理解出来た。お前が正の感情しか抱けなかったように、俺は負の感情しか抱けなかった。」


憎悪、憤怒、孤独、悲しさ、哀しさ、嫉妬、強欲、殺したい、壊したい、呪いたい、憂鬱、不安…………。

そういった負の感情しか自分にはなく、そしてそれらの感情を他人事のように感じている感情の無い自分がいたのだ、と。

だから、それと同じような形で苦しんでいる枝音を放っておけなかったのだと。


「………あんたの事だから、また計画のためだ、とか言うと思ってた。」


枝音が、ぶっきらぼうにそう言うと、黒音は少し目を見開く。

まるで、そんな事は当時は考えもよらなかった、というように。


「………計画なんて、あの時はまるで考えてなかったな……。ただ、あの顔が見てられなくて、な。」


弱々しく笑いながら、黒音が答える。

その答えを聞き、枝音はどこかスッキリしたような顔になる。


「ねぇ、明日、私は白華の所に戻る。……次にあった時は敵、なのよね?」


「あぁ、そうだ。俺達は、俺のために、俺達の、俺の計画のために戦う。じゃあ、お前は何のために戦うんだ?」


黒音の問に、枝音は考える。

私には、理由がなかった。

ただ、必死で戦う友達を見捨てることが出来なくて、半分状況に流されながら戦ってきた。

だけど、ここで、私は自分の理由を見つけなくちゃ行けない。

たぶん、そうしないと、次からは戦えない。

でも、もう決まってるんだ。


私が戦う理由は―――――


「私は、みんなを、あなたも、誰もかもを含めた、皆を助けるために戦う。夜姫奈や、瑠璃奈のような悲劇が起こらないようにする為に。」


そして、と言葉を続ける。


「そのために、まずはあなたの言う計画とやらを暴いて見せる!」


ドヤ顔でそう言う枝音を見て、黒音は一瞬見開いた後、吹き出す。


「ぷ、はは、はははは!いいだろう!やってみろ!」


そう言って不敵な笑みを浮かべる黒音を見て、枝音へ満足気にお祭り騒ぎの中心へと戻るのだった。


お祭り騒ぎは、終わりを迎え始めていた。


「…………じゃあな、ミア。ありがとう、お前のおかげで、あらためて覚悟が決まったよ。」


1人残った黒音は、わーわーと花火大会を始めた枝音や雷狐達を見ながら、呟く。


ちなみに、お祭り騒ぎのあとに残ったゴミ等は黒音の影がゴミ箱代わりに使用されたのだった。


―――――――――――――――――


「じゃあなー!」


「達者でな。」


枝音達は、ドラゴンたちと戦った、黒音と出会った場所へときていた。

皆が、名残惜しそうにしつつも別れの挨拶をしてくる。

枝音も、それに元気よく答える。


「お世話になりました!では!」


枝音がそう言うと、夜花のメンバーは、すっ、と背景に溶けて見えなくなる。

枝音は一息着くと、簡易エレベーターがあった方へとぼちぼちと歩き始める。


エレベーターが見えてきたなー、と思っていると、リィナや舞鬼がいて、こちらに気づくとすぐに駆けよってくる。


「枝音!!無事だった!?」


「あはは、なんとかね。お迎えありがとう。」


苦笑しながら枝音が答える。

リィナ達はしばらくの間は枝音の帰還を喜んでいたが、ハッと何かを思い出したように焦り出す。


「そんな事より!大変なの!」


「第四次世界大戦が始まるかもって………!」


「…………え?」






はい、12話です。どうもー、どこ黒です。

これにて、2章は終わりとなります。

3章に入るため、奈落に関することや、ちょっとした謎を幾つか入れたこの章でしたが、まぁ、ふざけた部分もありましたけど、どうだったでしょうか?


引き続き、黒音と枝音をよろしくお願いします。



では、また3章の1話にて。





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