第6話 血ヲ吸ウ鬼ノ心。
あれ、1章より2章の方が面白い気がするぞ??
夢を、見ている。
久しぶりに見る夢だな、と思った。
何回も似たような夢を見たことがあったから、枝音はまたか、と思う。
目が覚めると忘れているが、この夢を見る時は思い出す。
あぁ、前にも見た事のある風景だ、と。
そこは、戦場だった。
そう、戦場なのはいつも同じだ。だが、いつもと違うのはただ戦場を眺めているだけではなく、その場にいるという所だった。
断片的にその光景が見えたり、声が聞こえたりする。
赤い長髪の女の人が、赤子を抱きながら喋る。
「この戦争もいつ終わるんだろうね。この子には幸せな未来を送ってもらいたいのだけれど。」
景色が、切り替わる。
長髪で白髪の男の―――が、―――――れる。
■■の被っていたフードが、――で切―――かれる。
「■■……!なんでお前が………!!」
「■■!どうして………!!」
白髪の男が、叫ぶ。
■■が、叫ぶ。
景色が、切り替わる。
彼らの身長ほど大きな――を持った――が、戦場にてソレを振り回しながら、叫ぶ。
「魂を狩り尽くせ!!」
景色が、切り替わる。
牙の生えた、耳の長い赤い目の――――が叫ぶ。
「人間どもを殺せ!」
景色が、切り替わる。
燃え盛る――の様な―――の女性が、憎悪の―――た瞳で睨みつけながら、叫ぶ。
「神を殺し尽くせ!」
景色が切り変わる。
おぞましい、ドス黒い――を纏った■■が――――――。
その――には、血のように赤黒い模様が浮か―上がっ――る。
ソレは黒い――を体にまとわ――かせながら、■■に手を――す。
「この虚無の受け皿となれ!!」
ソレが、――――――た。
景色が、切り替わる。
「矮小な人の分際で……!」景色が切り替わ「消えろ!この世か、景色が切り「神よ!なぜ、景色が「早く殺、景色、「 、
景景景景景景景景―――――――
景色が、切り替わる。
「お願いがあるの。――――――――――。」
夢が、終わる。
―――――――――――――――――
「ふぁぁあ、眠た……。今何時…?」
目が覚めてしまった枝音は、少し眠気を感じつつも時刻を確認する。
丸一日調査って言われてたから普段通りの時間に夜寝れるとは思わなかったけど、戦闘の疲れもあったし、ラッキーって言えばラッキーなのかな……?
と、枝音は考えながら時計を見ると時計の針は5:27となっていた。
まだ目覚めるには少し早いが、目が覚めてしまったものは仕方ないので夜風を浴びようと外に出る。
2階のベランダに出ると、そこには灰空がいた。
枝音がいることに気づいた灰空は、枝音に話しかける。
「おや、こんな時間にどうしました?」
「ちょっと目が覚めちゃって。夜風を浴びに来たの。」
灰空の質問に、枝音が答える。
そうですか、と言って灰空も黙る。
しばらく沈黙が続いた後、灰空がふと、口を開く。
「どうして貴方は白華に入ったんです?別に、普通に生きていくって道もあったでしょうに。」
何気なしに質問する。
枝音は少し考えながら答える。
「あなたが雅音だとか、アイアコスの鍵だとか言うから、それについて気になってね。雅音について知りたい事なんて沢山あったし。」
それに、と枝音はさらに続ける。
「なんやかんや状況に流された感じはあるけど、でも瑠璃奈や水姫をほっといて自分だけ日常に戻るなんて選択肢、私は無かったと思うなぁ……。」
しみじみと言う枝音を、灰空は何か眩しいものでも見るかのような目で見つめる。
「友達思いなんですね。知りたい事があるなら、直接本人に聞けばいいじゃないですか。久しぶりの再開なんですし。」
「そんなの、聞けるわけないじゃない……。えっと……灰空だっけ?あなたはどうして夜花に入ってるの?」
「私は恩、ですかね………。あの人には恩がありますから。」
「恩?あいつに?」
枝音がありえないでしょ、と言ったふうに聞き返す。
「えぇ。昔の話です。何十年も。」
どこか、懐かしむような目で灰空は答える。
「あの方は、何処にも行くあてのない自分に居場所を与えてくれました。あの方に恩を感じてる人は私以外にも結構いると思いますよ。」
マジで?と、ありえない何かを聞いたような顔になる枝音。
ふふ、と灰空が薄く笑い、腕時計をチラリとみて時刻を確認する。
「まだ朝早いですし、そろそろ部屋に戻りましょう…かっ!?」
家の中に戻ろうとした途端、灰空が振り返って遠くを見つめる。
枝音も、そちらの方から何かの気配がする事に気づき、警戒する。
「人間!久しぶりの人間の血!血をよこせぇぇぇぇ!」
「くっそが!テメェらまだくたばって無かったのか!!吸血鬼ぃぃい!!」
黒音と、もう数人、誰かが戦闘しながらこちらにやってくる。
「お、灰空に枝音!いいとこにいるじゃん!ちょっと手伝ってくんない?」
「1人で片付けるのが面倒だからってこっちに連れて来ないでください!」
ぎゃあぎゃあと言い合いをしつつも、灰空が黒音の近くに言って戦闘の手助けをする。
見ているだけなのもなんなので、枝音も手伝おうかと考えたが、よくよく考えたら灰空と黒音は自分にとって敵なので、どうするべきか迷う。
枝音がやっぱり戦闘に参加しようと思った時、
「見つけた!!!人間!!!」
5人いる敵の1人が、枝音に向かって襲いかかってくる。
とっさに刀を抜き、凄まじい勢いで眼前に迫ってくるその腕を切り飛ばす。
吸血鬼は腕を落とされた事に驚きつつも、落とされた腕を回収しなかまら一旦後ろに下がって、腕をくっつける。
「なんなのこいつら!?」
「吸血鬼だ。主に人間の血を吸う種族でな。人間の匂いに釣られて来たんだろうよ。」
数万年も人間の血を吸ってないだろうから、とっくの昔に絶滅したものと思ってたんだけどな、と黒音が吐き捨てながら答える。
「貴方がここに連れて来たんでしょう!?」
「違ぇよ!帰ってきた時にはもう洞窟内にいたんだよ!」
つけられてたか、とも思ったが自分の『地形把握』に引っかからなかったため、その可能性はないと踏んでいた。
『地形把握』、黒音がもつ感知能力で、『夕焼けの空』の防御能力を消した状態で薄いドーム状に広げることで、そこに存在するものを感知する、という能力。
そもそも、黒音は人間の見た目をしているものの、実際は人では無い。ゆえに、人の血を吸う吸血鬼には襲われない。
たまに、馬鹿な吸血鬼が襲って血を吸ってくることもあるが、負の感情に耐えられずに自滅する。
だから黒音の後をつける理由も無い。
考えられる可能性は、人間……、つまり枝音の匂いを追って来たか、元々この場所を知っていて、そこに俺達の出入りする所を見ていて人がいると考えたか。
幾ら人間達が秘匿していたとはいえ、流石に2万4000年もすればこの場所もバレているだろうし、後者の方が可能性が高いと考える。
「これでどうだ!?」
黒音が『天の刹』の兵士に攻撃した時のように、影を槍のように地面から突き出して攻撃する。
が、吸血鬼達は吸血鬼特有の身体能力の高さを活かして全て避けきる。
が、避けて隙が出来た所に枝音がすかさず攻撃し、5人のうち1人に大きなダメージを与える。
「灰空!幻術は!?」
「使ってます!けれど、こいつら何か精神攻撃に対する耐性でも持ってるのか、効きづらいですね……!!」
だが、効きづらいとはいえ少しは効いてるようで、敵の動きが鈍くなる。
黒音が隙を作り、灰空が動きを鈍らせ、枝音がトドメを刺す。
初めてのチームにしては上出来の連携を見せ、着実に吸血鬼を追い詰めていく。
1人目、2人目と倒していき、ついに4人目の首をはねとばす。
さて、あと一人だけと思った瞬間。
いきなりガッと足を捕まれ、枝音が体制を崩してしまう。
後ろを振り返ると、胴体を真っ二つにしたはずの1匹が、上半身だけになりながらも枝音の足を掴んでいた。
そして、隙が出来た枝音の首元に、最後の1匹の牙が食い込む。
体中から何かが抜き取られる感覚。
自分が、違うなにかに変質していくかのような感覚。
その2つの感覚が枝音を襲う。
灰空は焦った様子を見せているが、黒音は何故か余裕のある雰囲気である。
枝音の体から力が抜け、ガクッと首が傾く。
危険だと感じた灰空が、枝音の血を吸っている吸血鬼に剣で攻撃する。
灰空の、腕が、宙を舞った。
はいどーも、2章の方が面白いと感じ始めました、どこ黒です。
ですが、2章だけ出なく1章も読むと、あれ?これってどういう事??ってなるような謎が散りばめられてるので、ぜひ探して考えてみてください(感想とかでコメント貰えたら嬉しいです。)
まだまだ文章力が乏しいですが、着実に上達してるんではないでしょうか?(してなかったら泣く)
暖かい目で見てください。
さて、週一投稿というのが本格的に大嘘になってますが、いつものようにちょっとした説明をします。
今現時点では奈落の中には人間が枝音しかいない、という話についてです。
今の奈落にいる夜花と白華とかのメンバーですが、分かっているのは、黒音、灰空、雷狐、九尾、暇屈王ラスト、知識王ノウ、枝音となっています。
黒音は元々人間ではありません、今は人間の肉体を維持しているだけで、容姿はどんな形にでも変えれます。
ラストとノウは自分の肉体を物理的や魔術的に改造しているので、人間とはかけ離れています。
雷狐と九尾は半人半妖ですが、妖よりなので少し人とは違います。
灰空は、大量の人体実験を受けていたので人間の体とは少し違います。
という訳で、今の奈落に人間は枝音しかいません。
では、また7話にて。