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黒白の心。  作者: どこかの黒猫
第2章 奈落調査作戦。
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第2話 調査の心。

「瑠璃奈?おーい。るりなー?」


こちらを呼ぶ枝音の声にハッとなってすぐにそちらを向くと、頬を若干膨らませた枝音がこっちを見ていた。


「もぉー、次は瑠璃奈が自己紹介する番だよ?」


「え?あ、あぁ……うん。」


特に紹介するような事もないので、瑠璃奈は適当に言う。


「あっと……、私は瑠璃奈。近~中距離担当よ。よろしくね!」


そして、このあと互いの能力や今後の作戦の流れなどの確認をしばらくした。


――――――――――


「いい?事前の説明で聞いたと思うけど、そもそも奈落は3日に1度のペースでしか穴の表面に張られている結界が解けない。だから、くれぐれも取り残されるなんてことはないようにね。何が起きるかわからないから。」


奈落という巨大な穴の表面には結界が常に張られており、これは奈落の幕と呼ばれている。

そして、奈落の様々な場所に穴が開くのたが、一見ランダムなように見えて、開く場所と時間は定期的である。


白華の管理している周辺に開く穴は、3日ごとと決まっている。

その日取り残されてしまったら、三日後の、幕が開くときを待たねばならない。


こう言った理由で、三日に1回しか調査が出来ない上に闇雲に調査しても仕方が無いので、12日に1度のペースで定期調査を行っている。


だがそれが、奈落の調査があまり進んでいない理由でもあった。


今回は奈落が広がるという非常事態とという事で、中の様子の確認と、それの原因となる事が何かひとつでもわかればいいと言うのが今回の任務であった。


簡単なミーティングを終え、移動用のヘリから降りると、慌ただしげに働く兵士達の姿が目に映る。


奈落がある方を見ると、意外にも奈落は近くて、まるで巨大な黒い海のように水平線の向こう側まで広がっている。


「この中に………入るんだよね?」


「そうね。午前0時に切り替わった瞬間、作戦行動を開始する。だから、今のうちに体を休めておいた方がいいわよ?」


今の時刻は16:32。

調査は0:00~23:00となっており、確かに今のうちに少しでも休んでおいた方が良さそうだ。


新しい仲間たちと喋りながら、自分たちに宛てがわれた部屋へと移動し、睡眠をとる。




そして、時刻は23:35、奈落周辺。


「この簡易エレベーターで降りるの?大丈夫?これ。」


即席で用意されたのだろう。少しボロい感じの大きなリフトのような物が設置されている。


「それじゃぁ……みんな、用意はいい?」


「いつでもOK!」


枝音が自身げに返事をし、周りのみんなも、いつでも構わないと言うように瑠璃奈を見て頷く。

今回は、瑠璃奈が隊長となっている。


リフトにのり、時刻を確認する。

デジタル時計の数字は、23:57と表示されている。

その数字が、7、8、9、と変わっていく。

そして、時刻が0:00となった瞬間、黒い表面の幕が晴れて、奥行きのある闇へと変わる。


「じゃあ、行くわよ!」


瑠璃奈のその一言で、リフトが降下していく。

最初の数十分ほどは真っ暗闇が続いた後、急に光が目に差し込んで明るくなる。


そこには、まったく別の世界が広がっていた――――――


というわけでもなく、ありふれたような荒廃した景色だな、と言うのが枝音の感想だった。

戦争後……のような荒れた土地と、錆びた剣や、元がなにか分からないほど破損した建造物。


確かに、見慣れない光景だ。自分には縁遠い世界かもしれない。だが、奈落の底という、何か特別な風景な訳では無い。

現実世界にも有り得る風景だ。


その事に枝音は意外感を隠せない。奈落の中というからには、もっと違った……そう、それこそまるでおとぎ話のような別世界を想像していた。

遺物という、人智を超えたものが存在しているのだから尚更だ。

なのに、自分が今見ているがごく当たり前の、どこにでもありそうな光景だという所に


簡易エレベーターが完全に地面に接し、瑠璃奈達は簡易エレベーターから降りる。


瑠璃奈は何度か調査に来たことがあるから慣れているが、リリィや舞鬼、レイリや羅鳴と言った新参メンバーは崖や、異常に隆起した土地、天高くそびえ立つ柱のようなものが大量にあり、物陰に見たことも無いような怪しい生物が潜んでいそうなこの光景に何とも言えない不安などを感じていた。


各々、奈落の底という未知の空間に感想を抱きながら進んでいく。

既に調査されている所は調査報告書と変わった所が無いかをざっと見ていき、未踏査地域へと足を運ぶ。


だが、今のところ変わったところは何もない。広がったのは表面だけで、中は何も変わりがないようにみえる。

だが、中が妙すぎるほどに静かで、なおかつ何も変化がないと言うところに瑠璃奈は違和感を覚えていた。


いつもなら、この未踏査地域周辺に近づいてくると百鬼夜行のバケモノと何体か遭遇戦になる事が多々だというのに、何とも出くわさない。


一同はさらに歩き続け、ちょっとした小さな洞窟を潜り抜けると、今度は樹海が現れる。

ここから、未踏査地域となるわけなのだが………。


未踏査地域に入っても百鬼夜行と遭遇する気配はない。

そのまま、通り道に印を付けながら森の中を進む。


化け物どころか、生き物の気配すら薄れてきたなー、と感じた次の瞬間。

突如、人の気配を察知して全員が警戒態勢にうつる。


生き物の気配が薄れてきた、と感じていたのに、ある一定のラインを超えたのか、突如人の気配を感じた。


そして、ソレは当たり前のように私たちの目の前に現れる。


「なっ!?黒音……!?なんでこんな所に!?」


黒音の姿がそこにはあり、枝音の警戒心はMAXに以降する。剣に手をかけていつでも抜けるように準備して、警戒する。


だが、何故かその黒音の姿に違和感を感じる。

黒音なのに、まるで黒音ではないような……。

黒音じゃないのに、私の脳が無理矢理勝手に黒音だと認識してるかのような。


その答えは、次の瞬間にわかった。


「……なっ!?なんでお前が……!」


「え……?パパ……?なんで?」


そう、全員が全員、どこか違和感のある黒音の方をみて違う反応を示す。


どうやら、これは幻覚のようだ。しかも、天葵の分析によるとその人にとって今1番会いたい人、または心に強く残っている人物が幻覚となって見えるらしい。


よく見れば、うっすらと黒音の姿の奥に別の人物が居るのが分かる。


と、そこで思い至った。

心に強く残っていて、今1番会いたい人が幻覚となる。その能力の効果で、大打撃を食らう人物がいることに。


枝音は瑠璃奈の方を急いでみる。


「…………え。おかぁ、さん……??なん、で……。」


そこには(まぶた)を張り裂けんほど見開け、涙を流しながら顔を真っ青にした瑠璃奈の姿があった。


「お母さん、生きてたの………?まって、今すぐ会いに行くから!」


今にも走って抱きつきに行きそうな瑠璃奈を拘束術式で拘束し、枝音は味方に指示を出す。


「ちっ、規定に従って私が指揮をとる!総員戦闘準備!!」


「………!了解!!」


幸い、みんなは瑠璃奈ほどまで精神を引き釣りこまれていないようで、私の掛け声で正気に戻る。

友達や家族がこんな所にいるわけが無い、という事に気づいたようだ。

紙面上では副隊長は私となっており、瑠璃奈の精神が安定しないので命令権を私が引き継ぐ。


「リリィは瑠璃奈を抑えてて!後、援護射撃ができたらお願い!」


「なんで邪魔するの!お母さんが!お母さんがあそこにいるのに!」と、泣き叫ぶ拘束されている瑠璃奈をリリィに預け、さらに指示を出していく。


「羅鳴と舞鬼は左側から、レイリは私の方のサポートお願い!挟み込むよ!」


二手に別れて、左右から同時攻撃を繰り出す。

が、まるで自分が放った攻撃が跳ね返って来たかのように、攻撃が相殺される。

いや、まるで、ではなく実際にそうなのだ。

こいつは、私たちの攻撃をそっくりそのまま返すことで防御している。


だが、随分と受動的な能力だな、と枝音は思った。

しけし、切り崩す方法も思いつかない。


天葵曰く、こいつは人ではなく、こういうモノらしい。

こちらから何もしない限り、特に何かをしてくる訳では無いが、何もしなくても精神に凄まじい悪影響を与えてくるので、討伐しといた方がいいらしい。

と、いうかその存在はまるで災害らしいので、討伐しておくべきなのだそうだ。


瑠璃奈のためにもここで、倒しておいた方が良いだろう。

………ここでふと思う。

瑠璃奈からしたらこの光景はどう写っているのか?

自分の大切な母親を、複数人で私たちが攻撃しているように見えるのでは?


だとしたら、まずい、


そう思って後ろを振り返ると、瑠璃奈が拘束を破ってリリィにその燃え盛る剣を突き立てようとしていた―――――



どーも、なんか戦わせときゃいいだろみたいになってきました、どこ黒です。

2章とっとと終わらしたい、、、!早く3章書きたい、、、!って感じでだらだら書いてます。

こんな感じで3章のハードル上げてってくぐり抜けるんでしょうね。

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