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黒白の心。  作者: どこかの黒猫
第2章 奈落調査作戦。
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1話 広がる奈落。

五日間連続更新最終日。

――――――白華直轄奈落近辺警戒地区にて。


「何が起きている!?」


「わかりません!エネルギー反応増大!」


「同反応は奈落の周辺各所で起こっています!!」


「なっ!?これは……!!」


奈落周辺の情報を整理していた一人が、ある驚愕の事実に、気がつく。


「司令!奈落が広がりつつあります!このままでは、あとおよそ80分後にここ周辺も奈落に飲み込まれます!!」


「何……!?本部に連絡をとれ!これは我々だけで対応できる範囲を超えている!」


了解、と通信士が返事をすると同時に索敵班が上空に謎の反応を感知する。


「南西、高度1万の位置に高速移動する謎の物体を感!」


「なに!?敵襲か!?こんな時に……!!」


「未確認飛行物体!急速に接近中!」


「迎撃機を上げろ!地対空ミサイル準備!」


ガコンという音が響きながら、地上に地対空ミサイル発射装置が現れる。


「地対空ミサイル発射…3、2、1、着弾!……っ!?目標は健在!何らかの防御手段で防がれた模様!」


「なんだと!?迎撃機は!?」


「ダメです!間に合いません!」


ズゥンという音ともに建物が少し揺れる。


「奈落近辺に直撃しました!……!?奈落の侵食が停止!」


モニターに表示されている情報の羅列には、奈落が侵食を停止し、各地で起きていたエネルギーの増加も収まって普段通りになっている事が示されている。

ただ、奈落の大きさは以前より大きくなっているが。


「いったい何が起きていると言うのだ……?」


――――――――――白華本部総司令室にて。


「奈落の調査?」


「そうだ。」


夢羽は座っている机の前に、瑠璃奈、枝音が並んで立っている。

夢羽の横には秘書のように水姫が立っている。


「今回君たちには、6人1組のチームで事に当たってもらう。三日後の奈落の幕が開いた時に、全員で調査に当たってもらう。」


「しかし、なぜ急に奈落の調査を?」


奈落は調査できる時間が限られている。そのため、奈落の底はあまり調査が進んでいない。

だから、定期的な調査のみを行い、そこまで焦って調査しても意味が無いと言うのが大雑把な意見だ。

だが、今回は定期的な調査を繰り越して、早急に行おうとしている。

それには何の意味があるのか?と疑問に思った訳だが、それに夢羽が答える。


「先日、奈落がその大きさを変えた。今のところ、ある程度情報操作が行われているが、衛星からも以前より若干大きくなっている事がわかるため、報道されるのも時間の問題だろう。」


奈落が広がった。そう言われても、だから何が問題なの?としか思えない。まぁそれは、枝音があまりそこら辺に詳しくないのと、興味が無いからなのだが。

瑠璃奈からしてみれば世界を巻き込む大惨事になりかねない大事である。


「メンバーは後ほど紹介する。あぁ、後、瑠璃奈は話があるのでここに残るように。」


「ハッ。」


枝音が瑠璃奈をチラリと見るが、瑠璃奈は先に行ってて、と目線で会話する。

パタ、と扉が閉じる音がし、部屋の中には夢羽と瑠璃奈と水姫の3人だけが残る。


「で、私がここに残された理由は何なのでありましょうか?」


「………君にはこれを読んでもらいたい。」


机の上に置かれた置かれた紙の束、その表目には『極秘』と書かれた印が大量に押されている。

……おそらく『極秘』の印を押すのが途中で楽しくなって大量に押したのだろうが、ここまで押すとむしろ意味が無い気もする。

たが、それ以上に気になるのはその題名である。


「2030年世界崩壊説………?」


なんだこれは?というような訝しげな視線を夢羽に送るが、気にせず読め、と言うように促してくる。

仕方なく、一通り内容に目を通す。

その内容の非現実さに、驚きより呆れる。


「……こんな事が、ほんとに有り得るのですか?」


「可能性はある、と我々は判断している。少なくとも考えておく価値はある。」


その紙には、2030年の2月……つまりは来年の2月には人類の文明は1度崩壊を迎え、世界は滅亡すると書かれていた。


「これは諜報部が幾つかの組織の間で秘密裏に出回っていた情報を整理したものだ。詳しく調べた所、列強諸国ですら知りえぬ事だった。」


「このような非現実的な話、誰も取り合っていないだけでは?」


「違う、この情報は35番計画と呼ばれ、様々な力ある組織、諜報機関が全力で集めているがその情報を得られていない。」


確かに、あらゆる諜報機関がその情報を求めるていると言うのはおかしな話だ。

つまり、その情報には何らかの裏があるのだろう。

それに、そこまでしてもその情報が手に入らないというのもまた、その情報が極秘のもので信憑性が高いという事が示唆される。


「それに、この2030年世界崩壊説ですら35番計画の一部だと言われている。」


2030年に世界が崩壊する。それだけでも突拍子の無い話なのに、それ以上に何かがあると言う。

しかし、計画というからにはそれには何らかの意志が介入しているのだろう。

もしこれが本当だとしたら、どういう計画で誰が行っているのだ?と不思議に思う。


「そしてこれはまだ未確認の情報なのだが……夜花がこの計画に関わっているという話がある。」


「夜花が?」


「あぁ、ありえない話ではない。」


確かに、夜花は何かしら目的を持って行動している。何をどうするのか分からないが、アイアコスの鍵と天の鍵とやらを奪おうと躍起になっていた様子だ。

アイアコスの鍵を奪ったからには何かしらに使うのだろう。その目的も不明だ。

天の鍵は、今は私たちの手元にあるが、いつ襲いに来るかわからない。


35番計画というものが何かはわからないが、夜花は何かしら大きな事をやろうとしている様子なので、それに関わっていると言われても違和感はない。

むしろ、その計画を主導しているのが夜花なのではないか?とさえ思える。

だが、なによりも気になって仕方ないのが、


「……ですが司令、それほど情報をいったいどうやって……?」


「それには答えられない。君には、2030年に世界が滅亡するかもしれないという事を念頭に置いて、奈落調査時にその事に関連する情報を持ってきて欲しい。それだけだ。」


水姫が扉を開け、退出を促す。

瑠璃奈は答えをはぶらかされて困惑しつつも、仕方ないか、と思い敬礼した後、退出する。


総司令は何を隠していて、どうして私にこれを伝えたのですか?という質問は、最後まで言えなかった。



―――――――――



「さって、メンバー紹介だねえ。」


「ハイハイハイ!白咲枝音って言いまーす!好きなように呼んでください!近距離から中距離担当です!」


「枝音ちゃんね、それにしても元気いいねー。私はリリィ・エルジア。遠距離担当かな?」


「俺は茨木 舞鬼(いばらき まき)、近距離担当だな。」


「私は暁魔 羅鳴(あきま らな)、近距離~中距離かな。」


「俺はレイリ・ラディミア。まぁ、中距離ぐらいで、サポート担当だ。」


「私達は最近307特殊部隊に配属されたんだ。だから枝音ちゃんは先輩に当たるね!」


「そうなの?でも私だって最近ここに来たばっかだし……。」


瑠璃奈は、そう言って元気そうに話す枝音を見ていた。

特に日常生活に支障はないようで、一安心である。


――――――――五日程前


『ガァァァア!!』


正気を失っている枝音が完全隔離実験室にて暴れ、そしてあらゆる方法で押さえつけられている姿が、モニターに映し出されている。


「これはどういう事!?枝音は無事だったんじゃ!?」


「あぁ、確かに肉体は無事ではあったな。だが魂はそうじゃない。」


「どういう事?」


「今の彼女の魂は未だに遺物との融合と解離を繰り返している。目覚めた直後、彼女は最初の38秒間は理知的な動きを見せていたが、突然苦しみ出してその後、この暴走状態と通常状態を繰り返している。」


『グガァァァアア!が、ぁ、う。うぁ……私は、何して……ぐ、ガガ、ああぁぁああああ!!!』


枝音は表情がコロコロ変わり、明らかに正常ではない。

そして、拘束器具を今にも引きちぎらん勢いで暴れ周り、その周囲は麻酔弾やら注射針やら色んなものが飛び交い、精神安定剤や、微感情抑制剤、能力安定剤などの液体を大量に浴びせられている。


「あれはどうしたら治るの!?」


「記憶処理は既に施してあるから、精神の方は別に問題ない。後は彼女の魂が慣れるだけだ。」


「慣れる?」


そうだ、と言いながら夢羽はモニターに表示されている、簡易的な人体図の心臓部分を指さす。


「枝音の心臓部分には感情制御術式とよばれるものが埋め込まれている。これを利用して100%、枝音と遺物が融合した状態でも平常時と同じ状態でいられるようにする。」


まぁ、実際は70%ほどの融合率になるだろうがな。と呟いた所で警告音がなる。


『警告、第18次拘束器具の破壊を確認。第19次拘束器具、射出します。』


その音声と共に新しい拘束器具で拘束され、大量の薬品を浴びせられて暴れる枝音を、私は強化ガラスの向こう側から見てることしか出来なかった――――――




どーもー、今日も今日とてどこ黒ですー。

今回が連続更新最終日っす。

来週からはまた週一(大嘘)投稿になると思われます。


2章の始まり、という所ですが、やっぱ雑になった感は否めませんね。申し訳ない。


3章を書きたくてうずうずしてるので、とっとと2章書き終えちゃいましょうかね。



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