最終話 黒白の心。
――――――2035年、冬。クリスマス。
人々は、変化した世界で生きていた。
まず、白華と夜花という組織は、正式に人々に迎えられるようになった。
再建された国家、それらと同等の存在としてこれらの組織は認められたのだ。
彼らの役割は、人に仇なす幻想生物……いわゆるケモノを討伐すると言ったものから、遺物などの管理、それによって起きた事故や事件の調査などだ。
世界は確かに平和になった。
終焉という終わりは退けられ、必ずしもバッドエンドで終わりだと言う事はなくなった。
悲劇は、確かに少なくなった。それでも、完全に無くなった訳では無い。
残った課題も、問題も山積みだ。
でも、だからこそ、人は生きていく。
この世界をさらにより良くしていくために、人はこの世界を生きていく。
「瑠璃奈司令代理!!地中海に、未確認のケモノの存在が確認されています。ヨーロッパ支部から応援要請が届いていますが……。」「瑠璃奈司令代理、新オーストラリア政府から、旧ウーメラに謎の物体……隕石か何かが落下したようで、これに関する調査依頼が来てます。」「瑠璃奈司令代理!こちらの書類にサインお願いします!」「瑠璃奈司令代理、新ワルシャワの外壁拡張に関するコストですが、ワルシャワ政府からこのような書類が………。」「瑠璃奈司令代理、新パリの外交官からお電話が………」
「えぇい、うるさい!!順番に来なさい!じゅ、ん、ば、ん!!おーけー!?」
瑠璃奈は、白華の司令代理として働くことになっていた。
水姫も夢羽も、自分は元々人の上に立つ存在では無い、とその立場を辞任した。
そして、各方面から推薦されたのが、瑠璃奈だった。
一応、白華の総司令は枝音ということになっている。
しかし、彼女はまだその行方が分かっていないのだ。
(全く………一体どこほっつき歩いてるんだか。)
枝音と黒音は、今や世界の英雄となっている。
というか、そうなるように仕向けた。
本人達が聞いたら全力で否定しただろう。
それに、この戦いに関してはその詳細を知らない人の方が多い。だから、この戦いに関するその詳細を瑠璃奈たちは大々的に発表した。
もちろん、少し内容を変更して。
あらゆる所に根回しして、瑠璃奈たちは枝音と黒音を英雄に仕立てあげた。
仕立てあげた、と言うと少し悪い感じに聞こえるが、まぁ事実なのだから仕方ない。
それに彼女らは実際に英雄のようなこともやったのだから、悪いことではない。
とはいえ、その肝心の2人は、2年経つ今でもその行方が分からなかった。
理由の一つしては、操作範囲がそこまで大きくないのが言える。
未だに世界にはケモノなどといった人類の敵が居るわけで、安全に確実に操作できる範囲は限られてくる。
それでも、もう2年も見つからないのだ。
「…………みんな待ってるのに。」
みんな、2人が帰って来るのを待ってる。
枝音と黒音。その2人の帰還を心より願っている人は多い。
瑠璃奈だって、この仕事で忙しい毎日を送ってなければ枝音の事で気がまいってしまいそうだ。
水姫を書類仕事の補佐につけていて、よく2人で話しているが、その時にどうしても1人足りない気がして仕方ないのだ。
ちなみに水姫の体は元に戻っており、その魂の崩壊も既に収まっている。
雷狐やラストなどはどこかつまらなさそうにしているし、マユやネアなどは、1目見れば寂しそうなのがわかるくらい落ち込んでいる。
他にも、ミアだとかエミだとか名乗る枝音に本当にそっくりの謎の少女たちも黒音の帰還を待ち遠しそうにしている。
彼女たちは黒音のことをパパとか呼んでいるので、これに関しては小1時間ほど問いただしたいが。
「はぁーあ、ほんとに、いつ帰ってくるんだか。」
瑠璃奈が窓の外を見ながら、ボヤく。
すると、新たに1人、白華の部下がノックをして室内に入ってくる。
「瑠璃奈司令代理、夜花の方々がお見えになってます。」
「あれ?会議の日は今日だったっけ。すぐ行くから、第2会議室にて待っているように言っといてちょうだい。」
残る課題は多い。
それらについて、数日に1度というかなり頻繁なペースで会議が繰り広げられている。
――――――――――新東京都市。外壁
「いやぁ、やっと帰ってきたよ。」
「ほんとに長かったわ。マジでいい加減にして欲しかった。」
2人の人間が、壁の外周を歩いている。
1人は、白いフードを被っており、全身を覆う白い布で姿を隠している。
もう1人はその逆で真っ黒な布で全身を覆い隠している。
「あれから2年、か。」
「クック、少し試してみようか?」
「いいね、それ。驚かしてやろうよ。」
そういいながら、2人は壁に近づく。
すると、外壁の上を歩いていた警備兵の男2人が、2人に気づく。
「そこの2人!止まれ!そこで何をしている!」
そう言いながら、警備兵の2人は壁から降りてきて、2人に近づく。
「観光だよ観光。」
黒いフードが、おどけたように言う。
その言葉に顔をしかめながら、警備兵の2人は質問する。
「ふざけた事を言うな。そもそも、どこから来た?」
「ん、ソラの彼方から……かな?」
「ま、火星からだよね〜。かぐや姫的な?」
とことん真面目に応える雰囲気のない2人に、警備兵の男たちは憤りながら、拘束しようとする。
「とりあえず、ついてこい。一時的に身柄を拘束させてもらう。そのフードを脱いで、顔を見せろ。」
「ん〜、やなこった。」
黒フードが、ぽんと警備兵の1人の肩に手を置くと、その男がドサリと倒れた。
「なっ…………!敵しゅ……っ!」
「いい判断だね。遅いけど。」
すぐさま無線に連絡を入れたもう1人の男を褒めつつも、白フードがその男の首筋に手を当て、気絶させる。
「んじゃ、ド派手に行きますか!」
2人がそう言うと、新東京都市の外壁の一部が、大きな爆発と共に吹き飛んだ。
――――――――――――――
「瑠璃奈司令代理!!緊急です!!」
「どうしたの?」
「敵襲です。何者かの攻撃にあいました。外壁の一部が吹き飛ばされました、敵はなおも侵攻中!」
「すぐに他の白華のメンバーに通達!鎮圧を急いで!」
「既に3個大隊が対応しています!しかし、全て全滅しました!!敵は他には目もくれずに、ここ総司令基地に向かってきています!」
「なんですって…………!?」
3個大隊が全滅したという報告を聞いて、瑠璃奈が驚きに目を見開く。
そうすると、今回の襲撃犯はかなり強力な能力者ということになる。
話しぶりからして、もうかなり侵攻されている様子だ。
「その現場に向かいましょうか。」
「ま、俺たちもいるしな。その襲撃犯は哀れだぜぇ……。」
雷狐や灰空、瑠璃奈、水姫、マユ達が立ち上がる。
その言葉に瑠璃奈が頷くと、無線に話しかけて他の仲間たちも招集する。
夜姫奈やティアなども集まってくる。
皆で戦うのも久しぶりだな、と瑠璃奈は少し思った。
そこに、かけている人達はいるけれど。
「はい、ドーン!」
そんな気の抜けた声が聞こえてくると同時、ビルの壁が盛大に吹き飛ばされて、大きな穴が空く。
その中に、2人のフードを被った人物が入ってくる。
「全く、もっと警備を見直した方がいいんじゃないか?」
「あなた達が、今回の襲撃犯ね?」
「全くもってその通りだが?」
「目的は?」
「そりゃあーもちろん、聞きたければ、」
「倒して見せろってことね?」
その言葉に、黒いフードの人物がニヤリと笑った、ような気がした。
実際に表情は見えていないが、何となくそんな気がしたのだ。
「悪いけど、1発でご退場願うわ。『黒陽』!」
「えっ、瑠璃奈ちょっとそれは………!?」
水姫が慌てて止めようとするが、遅い。
瑠璃奈が黒陽を発動させ、黒い太陽が建物ごと敵を飲み込んでいく。
周囲の人達は非難させてあるから、被害に関して問題は無い。
問題は………
「この程度か?」
「ん、がっかり。」
敵が無傷でそこに立っている事だ。
これだけで警戒レベルはMAXに引き上げられる。
瑠璃奈の黒陽を無傷で防御した。
静観していた他のメンバーも、それぞれ攻撃態勢をとる。
「水よ!」
原鬼姫としての力を使い、水姫が攻撃を繰り出す。
黒フードがそれらを躱しつつ、剣を抜いて水をうち払っていく。
白フードもまた剣を抜き、雷狐達に切りかかる。
(こいつらの能力は何………?)
雷狐の稲妻をものともせずに白フードは剣を振るう。
黒フードも、水姫の全力を軽々と凌いでいる。
それ程の力を持っているのに、どんな能力者なのか分からない。
「はっ!」
黒フードが地面に手をつくと、そこを中心として水姫の水が全て凍りついた。
さらに、周囲の様々なものを氷に変えていく。
(こいつ、氷の能力者か?)
黒陽を防いだのもそれか、と思いながら瑠璃奈が前に出る。
一応、瑠璃奈の能力は氷すらも蒸発させられるほどの力を持つ。
だと言うのに、
「炎そのものが凍りついた………!?」
ますます訳が分からない。
こんな強力な能力者、聞いたこともない。
一体何者なのか。
「相手を氷の能力者だと決めつけるのは良くないなぁ?」
黒フードがそう言うと、バチッと稲妻が弾け、炎が猛々しく燃え上がり、水が蛇のように鎌首をもたげ、風が吹き荒れ、地面の土が変化していく。
「なっ………!?」
訳が分からない。
一体、なんの能力だと言うのか。
白フードの方に目をやると、そちらもまた同じように様々なものを生み出していた。
「罪よ!」
「『罪の霧』は霧を吸い込まなきゃ意味が無いし、『罪の宣告』は耳を塞げば問題ない。弱点をそのままにしておくのは良くないなぁ。」
マユの力も封殺されているし、何より灰空の幻術が全く聞いていない様子だ。
2年前の戦い以来の、窮地だ。
相手の能力は不明、こちらの力は完封されている。
だが、それでも。
「諦めるわけないでしょ………!」
「おっ?」
水姫が水を生み出し、瑠璃奈がそれらを一気に加熱して水蒸気に変える。
敵の視界を奪い、さらに小さめの水蒸気爆発を幾つも起こすことで足止めを行う。
「氷爆!」
周囲の水蒸気ごと熱を奪い、黒フードを凍らせる。
そして、奪った熱量を一気に浴びさせる。
アスファルトが融解し、周囲の建物が何棟も吹き飛ばされる。
「はっ、すっごいなこりゃ。」
大してダメージを食らっていないようだが、それは折り込み済み。
爆煙に紛れて背後から近づき、攻撃を食らわせ……ようとするが、黒フードが見えづらい視界の中でも剣を振るう。
その剣は狙い通りに瑠璃奈の上半身を斬り飛ばすが………
「ん……?デコイか!」
どろりと瑠璃奈の姿が溶ける。
その溶けた瑠璃奈の背後から本物の瑠璃奈が現れる。
灰空の幻術も込みで上手く隠れていたのだ。
瑠璃奈が黒フードの顔面を掴む。
「黒陽炎剣!!」
黒フードの全身から剣が飛び出し、黒い太陽へと変化していく。黒フードの人物が大きくふきとばされ、さらにその上に吹き飛ばされた建物やビルの瓦礫が降り注ぐ。
―――――――――
「なんなのよっ!こいつ!」
「ん、なかなか速い。」
夜姫奈とティアの2人の高速の斬撃を、白フードは全て躱したりいなしたりしている。
その技量は凄まじいものだ。
そして、雷狐の電撃による援護も難なくかわしている。
「ち、お前らそこを退け!」
雷による剣を生み出し、雷狐が突っ込む。
咄嗟にティアと夜姫奈が範囲外に待避、それを確認するまでもなく雷狐が能力を発動。
稲妻が放射状に放たれ、大地を焼き焦がしていく。
白フードは何をどうしたのか避雷針のようなものを作ったみたいだが、何もかもを更地にする雷狐の雷はそれらをいとも容易く消し飛ばしていく。
「わっとと、危ないなぁ〜もう!」
白フードは盾のような物を何枚も生み出して結界を作っており、その電撃を全て防ぎ切っている。
(マジでなんの能力だ、こいつ。)
雷狐が内心舌打ちする。
灰空の幻術は全く効果がないようだし、マユの霧も効果なし、ティアや夜姫奈の高速の連撃も全ていなす技量。
さらには、雷狐の電撃すら防ぎ切る防御力。
かなり強力な能力者に思えるが、これだけではなんの能力かまるで検討がつかない。
「連撃だ。仕掛けるぞ。」
雷狐の合図と同時、夜姫奈とティアが両側面から攻撃を仕掛ける。
2人の能力は物質の分解だから、余程の盾でなければ意味が無い。そして、避けようにも雷狐の雷が逃げ道を全て防ぐような形で放たれている。
「ん、みんな流石だね!クリエイション・ワールド!!」
その言葉と共に、景色が一変する。
壊れたビルや建物は全て修復されていき、地面のアスファルトは野原に切り替わる。
異質な光景だ。建物は現代的なそれなのに、草木が生い茂る大自然がここにある。
そして、雷は全て消し去られ、ティアと夜姫奈の2人の攻撃は白フードをすり抜けた。
「この能力は…………!?」
まさか、と雷狐が目を見開く。
この能力には、見覚えがある。
だが、もし予想通りの能力なら、それを使っているこの白フードの人物は、まさか。
「あー、ここでばらす感じ?」
「ちょっと遊びすぎた感じはあるからね。」
そう言いながら瓦礫の奥から黒フードの人物が出てくる。
黒い布は焼け焦げ、フードの中の顔が露わになる。
そこに居たのは、黒音だった。
と、言うことは。
「やっ、みんな久しぶり。」
白いフードを脱ぐと、そこには枝音がいた。
瑠璃奈達が、驚きのあまりその場に釘付けになる。
「うそ、枝音………?」
「そうだよ、正真正銘、本物の枝音だよ!」
うわぁぁぁああ、と瑠璃奈が泣いて抱きついてくる。
その後ろから、水姫もなんか泣きそうな顔で引っ付いてきた、
「えっ?えっ?ちょ、2人とも?」
「ま、不安だったんだろうさ。説明は俺がしとくから、お前はもう少しだけそうしてろ。」
そう言って、黒音は苦笑する。
一体何事か、とぞろぞろと他のメンバーも集まってきている。
「久しぶりだな、黒音。」
「元気そうだな、雷狐。それに、他の奴らも元気そうだ。」
瑠璃奈に至っては、俺にキツイ一撃を入れてきやがったしな、と黒音は笑う。
灰空がそれに呆れたように肩を竦めながら、質問する。
「それで、この2年間何してたんですか?閣下。」
「オイオイ、もうさすがに閣下ではないだろ。」
「いえ、2人はもはや世界の英雄ですよ?白華の総司令は枝音、夜花総帥は貴方です。」
「はぃ!?なんだそりゃ聞いてないぞ………って、まぁ、先にこっちから説明するか。」
とりあえず、黒音がこの2年間どこで何をしていたのかを話す。
黒音と枝音は虚無の徒花を破壊したあと、その勢いのまま火星に到達したらしい。
少なくとも、火星は人が住める環境では無い。
なので、僅かに残った虹色の光を使って、とりあえず火星の1部をテラフォーミング。
ギリギリ生活環境が整えれるかどうか………と言ったところで能力が完全に消えさった。
一応、天葵と冴詠の力は残っているため、色々検証したところ、能力が消えたのは一時的なものでしばらくすればまた使えるようになる、と言った感じだった。
これは能力を限界以上に使った代償らしく、黒音も過去に何度か陥ったことがあるらしい。
黒音がその状況に陥った時は時は数千年近くかけて能力を取り戻したらしいが、それではさすがにダメだと思い、2人で火星で生活しながら試行錯誤していた。
そして1年ほど立ったある日、終焉の眷属、ジェミニとアレルシャが来たらしい。
「え?ジェミニとアレルシャ?」
「そう。今は外壁の近くにいると思うぞ。」
ジェミニとアレルシャの2人は、新東京都市で戦闘が始まって暫くした頃から黒音の反応を追いかけていたらしい。
しかし、世界の扉をジェミニ達は開けることが出来なかったので、その周辺で敵と戦っていた。
そして、黒音と枝音が徒花を消しに宇宙に旅立ったのを見届け、その後火星に行ってしまったことに気づいた2人は迎えに行こうと能力を駆使しながら宇宙空間をさまよった。
『虹色の夜』から1年と少ししてからジェミニとアレルシャが火星に到着。
ジェミニの能力は『時間の加速と遡及』だ。
これはタイミングがいい、と枝音達は喜び、2人の能力に関する時間を数倍にして加速。
本当なら一気に加速して戻すことも出来たが、何が起こるか分からないので様子を見ながら加速していたら、かなり時間がかかってしまった。
そうこうして、もう1年ほどたった時に能力が使用可能になったので、ボチボチとのんびり宇宙空間をさまよい、数日前にオーストラリアのウーメラの北西地点に落下、帰還してきたらしい。
そういえば、オーストラリアに何かが落下したから調査をして欲しい、みたいな依頼が新オーストラリア政府から来てたような………と、瑠璃奈は思い出す。
「いや、ちょっと待って。すごーく突っ込みたいことがあるんだけど、火星の1部をテラフォーミングした?」
「そだよ?ドーム状の結界を作って、その中だけ人が生きられるようにしたんだ。食料の調達は色々大変だったけど、まぁ何とかやりくりしたし………。」
他の人達がそれぞれお互いの目を見合わせる。
火星の1部をテラフォーミングした、ということはその範囲を拡張出来れば火星移住計画も夢物語ではない、という事だ。
現状の地球ではそれをするだけの余力が無いが、遠い未来において火星移住計画は確実なものとなる。
「ま、虹の光はもう使えないし、地球の復興もまだまだだ。火星のテラフォーミングはだいぶ先になりそうだがな。」
そう言って、黒音が肩をすくめる。
この世界に残った課題はまだまだ多い。
先のことを考えると、気が滅入ってしまいそうだ。
それでも、枝音達はそんな未来を選んだのだ。
「そんなことより、まずは言うことがあるから、2人ともそこに並びなさい。」
瑠璃奈の言葉に、2人はキョトンとしながらも、みんなの前に立つ。
黒音と枝音の正面には、瑠璃奈や水姫達を先頭として、その後ろには大勢の顔見知り達が並んでいる。
ジェミニとアレルシャもちゃっかりとその集団の隅っこの方に並んでいた。
懐かしい顔ぶれもいる。
二度と会えないと思ったヤツらもそこにいる。
「「「おかえりなさい!」」」
なんの合図もなしに、皆が一斉に笑顔で言う。
それを見て、聞いて、枝音と黒音は自然と口元が綻ぶのを自覚した。
――あぁ、帰ってきたんだな、と。
「「ただいま!!」」
これにて最終回です!
一応、今後もアフターストーリーなどは書いていくつもりですが、お話としては一旦これでおしまいです!
今まで読んでくれた読者の皆さん、ありがとうございました。
色々と拙いところもありましたしたが、それでも読んでくださった皆さんには感謝しかありません。
本当にありがとうございました。
この話はここで終わりますが、続編なども書くつもりなので、そちらも宜しければお願いします。
それでは、今宵はこれにて、また次の機会に。