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黒白の心。  作者: どこかの黒猫
第7章 終焉への誘い
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第27話 創造の力


「うりゃあ!」


両手に剣を構えて枝音がミルに向かって突っ込む。

ミルは十字架の短い方を持ち、形を剣にする。


甲高い鉄のぶつかり合う音が幾度も鳴り響き、火花が散る。

枝音の武器は打ち合う度に消滅してしまっているが、関係ないとばかりに消される旅に新しいものを生み出している。


しかし、一太刀も攻撃を当てることが出来ず、このままでは埒が明かないと思い、攻撃のパターンを変えることにする。


「とりあえず、ここは私の城だよ!!生成!!」


枝音がそういうやいなや、地形が変化し始める。

次々と塔や掘り、塀などといった建物が作り出され、巨大な城が一瞬にして現れる。


「武装展開。種類は対人~対城兵器まで。威力はMAX。書き起こせ!」


ガシャガシャと音を立てながら城の至る所に兵器が現れる。

そして、それらの照準が全てミルに向いて………


「ファイア。」


それら全てが、枝音の言葉と同時に一斉に火を噴く。

轟音と爆音が鳴り響き、爆発の光が何度も瞬く。


そして、枝音はラストの方を向いて、ここは一旦任せるようにいう。


「今のうちに一旦下がって、体勢を立て直して。その間は私たちが足止めする。」


そう言って、枝音や瑠璃奈達が前に出る。

「すまん、少し任せた。」と言ってラストが、指揮をとりつつ部隊が後退し始めた。

それを見た後、枝音はよし、とあらためて気合いを入れて終焉王の方を見る。


「んー、やっぱ波状攻撃も意味ないかぁ……。内部に直接干渉するしかないね。」


次々と放っている弾丸や爆発物全てを終わらせて防御しているミルを見て枝音がそう言うと、ミルの腕が内部から爆発し腹や背中から剣が飛び出す。


「やっぱ内部干渉の方が効果はあるみたい。武器生成、対象『アリア・レプリカ』。数は20。書き起こせ。」


リリィの契約遺物である『アリア』の模造品が大量に生成され、空中に固定される。


「斉射ァ!!」


ドンドンドン!!と言う体の芯に響いて来るような爆裂音と共にミルの身体が内部から弾け飛ぶ。


「瑠璃奈、黒陽って確か、座標点生成攻撃だったよね?」


「そうだけど………やるの?オーバーキルじゃない?」


「あいつにオーバーなんて言葉無いでしょ!やっちゃえ!!」


その言葉を聞いて、瑠璃奈が『黒陽』による攻撃を開始する。

が、なかなか生成する座標が定まらない。

そればかりか、『アリア・レプリカ』による攻撃も、位置が滅茶苦茶になっている。


そして、ミルの身体の周囲には棺がいくつか展開されていた。


「時空崩壊式の応用………発動時に空間が歪むその性質を利用して、座標点を滅茶苦茶にしているわけね?」


それだと、唯一効果のあった座標点攻撃さえも防がれてしまった事になる。

しかし、その程度で諦める訳には行かない。


「正八面体で囲むようになる各頂点の座標を入力!結界展開!!」


枝音が終焉王ではなく、その周囲の座標を指定して結界を張る。


「瑠璃奈、合わせ技!アレやるよ!」


「えっ!?何それ初耳なんだけど!?」


「黒陽の上位版、ぶちかましてやる!」


戸惑う瑠璃奈の腕を引っ張って、黒陽を発動するように言う。

座標は終焉王ではなく、結界の中だ。


生み出された小さな太陽が、枝音の力によって別のものに変化する。


「エネルギーの半分くらいくれてやる!!くらえ、スーパーノヴァ!!」


超新星爆発。


実際にそれが起きている訳では無いが、それとよく似た原理の爆発が今、結界内で起きている。


余りもの光に目がくらむが、しかしさほど眩しくないことに気が終て、瑠璃奈達が首を傾げる。


これは、枝音が発動しようとした時に気が終たために、対処したからだ。普通の人間ならば、超新星爆発などそのまま見てしまったは確実に網膜を焼くので、結界に減光効果などを付与してある。


まぁ、ここには再生能力持ちがほとんどだし、治癒系の能力持ちも沢山いるために問題ないと思われたが、隙は少ないに越したことは無い。


結界内部はまさに地獄絵図だろう。


しかし、この程度でやられるとは露ほども思っていない。


そればかりか


「エネルギーが、移動していく?消費されている訳ではなく………??」


今、枝音の左目には不思議な光景が映っていた。

通常の光情報だけでなく、全ての存在や現象の情報、その原理を直接瞳に映し出すその目は、超新星爆発のエネルギーが消費されているのではなく、どこかへと吸収されているかのような光景を映し出していた。


「吸収…………まさかっ!!??」


光が徐々に収まり、結界が崩れていく。

そして、呼応するかのようにミルの体内のエネルギーがこれ以上ないほど爆発的に跳ね上がる。


「うそ、攻撃に負のエネルギーは1度も使っていないはずなのに。どうしてエネルギーを補填できて………」


枝音が戸惑うも、そんな事を考えている場合ではない。

あのエネルギー量の攻撃が来たら、間違いなく殺られる。

それどころか、被害も馬鹿にならない。

ワルシャワはおろか、欧州の東側はほとんど消滅するだろう。


()()()()(つい)式」


ミルの身体を螺旋状に棺が展開し始め、回転する3つの棺の輪がミルを中心にしてそれぞれランダムな軌道を描きながら回転し始める。


そして、枝音の左目を持ってしても予想がつかないほどのとてつもないエネルギーが収束され始める。


「時空間………だけじゃない。ところどころが4次元に置き変わってる……いや、5次元……うそ、まさか平行世界のエネルギーも取り込んでいるの!?」


終焉の力を応用させることにより、時空間を消失させ、そこに存在した全ての負のエネルギーを攻撃に変換する時空崩壊式。


それよりも上位の攻撃、次元崩壊終式。


視ている限りでは、その理屈は全くわからない。

だけど、意味が理解が出来なくても自分の目は正確な情報を視せてくれる。


空間や座標点どころか、次元がめちゃくちゃだ。


少なくとも、座標を見ればわかる。

ミルの周囲に表示される座標は常に変化しており、x,y,z,w,vと1つから5つの座標点が消えたり表れたりしている。


防ぐ手段が、まるで思いうかばない。


そもそも、防げるものなのかすらわからない。

世界を終わらせるための力だ。世界にある力では防げるわけがない。

だが、世界にない防御手段など、知りはしない。


それでも、やるしかない。


「祈り!!想いは人の願いなれば!我が望みを全て実現する!『クリエイション・ワールド!!』」


咄嗟に口から出た枝音の言葉と共に、世界が書き変わっていく。


荒地は全てを鼻が咲き乱れる野原へ、空は晴れ、青く青くどこまでも澄んだ青へ。

雲が流れ、場違いな程に穏やかな風が吹き、暖かな陽の光が天を照らす。


ココが戦場であるなどと誰も思わないであろう。


そんな空間に、ただ一つ、空間を、次元を歪めて佇む異物が存在していた。


その終焉に対抗するかのように、枝音の眼前に巨大な花が幾つも咲き誇る。



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