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黒白の心。  作者: どこかの黒猫
第7章 終焉への誘い
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第25話 終わりを終えるために


「第11番から17番砲台、消失!!」「第7ミサイル発射施設、崩壊!!」「飛翔戦艦6隻大破、13隻中破、小破以下は把握しきれてません!!」「地上戦車部隊の23パーセントが壊滅しました!!」「7番狙撃ポイントが消えました!!」「航空機、半数以上の被害!!」


「キョリ50000!!」


「よし、能力者は順次出撃せよ!!」


その言葉と同時に、次々と能力者達が終焉王に向かって突撃していく。

輸送機を使う方法もあったが、それだとまとめて狙い撃ちにされる。


「緊急連絡!!」


「何事だ!?」


「それが、新ワシントンと新モスクワから伝達が………」「報告します!!呪詛汚染ミサイル、及び侵食式崩壊ミサイルの発射が確認されました!!旧アメリカと旧ロシアの国有基地からです!!」


「なに!?」


ダレスが声を荒らげ、ノウや灰空、空墨も目を見開く。


「なんで、急に!!?」


「核ミサイルぐらいなら許したが、崩壊ミサイルとなれば話は別だ。どこから入手しやがった!?」


「………恐らく、ウロ。」


ノウが、思い当たる人物を上げる。

それに対して、ダレスが苦虫を噛み潰したような表情になる。


「……有り得る話だな。やつが大人しくしてるとは思えん。」


「ちっ、だが、発射したとなれば話は別だ。余計なことを………!」




「旧アメリカと旧ロシアの現在確認されている国有基地を全て消し飛ばせ。余計なことはさせるな。」


「分かりました………しかし、全てとなると終焉の厄災を相手取ることが出来なくなるのでは?」


「これ以上なにかされるよりかはマシだ。世界のために死んでくれとしか言いようがない。それほどまでに、奴らはやってはならぬ事をした。」


侵食式崩壊ミサイルと呪詛汚染ミサイル………正確には、それに使われている爆弾だが、これが非常におぞましい代物だ。

これは人の負の感情から作られており、負のエネルギーを利用した爆弾だ。


製造方法も、その威力も、その攻撃方法もどれも残忍極まるので、神狩り戦争においてもその製造と使用は禁止されていた。

いや、味方すらも巻き込んで、挙句の果てには自分自身すらも殺してしまうかもしれないそれらを、誰も作ろうとも思わなかった。


それくらいの代物だ。


そして、もしそれがここに着弾したら終焉王を止められないことは確実。世界は確実に滅ぶ。


着地せずとも、終焉王に消し飛ばされるのもまずい。

やつの力は終わりへと至らせた分だけ、そのエネルギーを自身のものにする。


つまり、やつに力を与えたと言ってもいい。

最悪だ。やつは先日の攻撃でエネルギーのほとんどを消耗している。


だから、今この状態でなんとか拮抗できている。

しかし、やつの力が回復するば数分とて持つまい。


今回発射されたミサイルの数程度ならばそこまで切羽詰まった問題では無いだろうが、それでも少しでもエネルギーを回復されるのはまずい。


「旧アメリカと旧ロシアから抗議の通信が来ています。切りますか?」


「いや、繋げ。」


「了解しました。」


すると、別々のモニターにそれぞれの国の首相が映し出される。

そして、繋がるやいなや彼らはとても憎々しげな声音で訪ねてくる。


「これはどういうことかね?」


「それはこちらの台詞だ。人類の裏切り者が。」


その言葉に、画面内の2人は不快げな表情をする。


「お言葉だが、自国防衛のためにした事だ。人類を裏切るなど。」


「ほう?敵のエネルギーを回復させるのが自国防衛に繋がると?ぜひ、その理屈を聞かせてもらいたいものだ。」


そういわれると、彼らは反論できない。

なぜなら、彼らは知らないからだ。

能力者のことに関しても専門知識がある訳では無いし、世界のことなど知りもしないだろう。

ゆえに、こういう知識がないと反論できないような口撃は奴らによくきく。


「貴様らが何をしたのか分かっているのか?本来ならば、今貴様らがいるその都市を消し炭に変えてもおかしくは無いのだぞ?」


「馬鹿な!そんな横暴が許されると思ってるのか!?」「我々をなんだと思っている!?」


「許されるに決まっているだろう?馬鹿なのか?」


どれだけ力ある国の首相だろうと、関係ない。

9心王とはそういう存在だ。そして、白華や夜花とはそういう組織だ。

今まで国に協力して貰っていたのも、単なる見た目上のカモフラージュだ。

それと、表の世界で動きやすくするためでもあった。

本来は、そんなもの必要ないのだ。

国家の裁量など、どうでもいい。


「もういい時間の無駄だ。世界のためにここで死ね。」


そう言うと同時、2人の頭から赤い物が吹き出して画面が一瞬にして赤黒く染まり、何も見えなくなる。


少しは言い訳も聞いてやろうと思った。その内容の如何によっては、今後何もしないのであれば見逃してやってもいいと。

だが、結局は事態がどれほど悪いかを把握できてない愚か者たちだった。


音声だけが、その後も聞こえてきた。


「この後はどうすれば良いでしょうか?」


「こういう常に危険な状態、つまり国家に危機が迫っている状態の時は、とびきりキレものでやばいヤツが上に立つ事が多い。そうなると面倒だ。早いうちに俺らの手の者を国家元首につかせるようにしろ。」


「了解しました。」


「まぁこれで他の国の見せしめにもなるだろう………とはいえ、俺たちに構っているような余裕はどこもないだろうがな。」


終焉の厄災によって、生き残った国々はそれらの対応に必死だ。軍事力に余力のある所などほとんどないと言ってもいい。


まぁそれも、ウロが何もしなければ、の話になるが。


「終焉の方はどうなっている?」


「はっ、攻撃施設の破壊は未だに続いていますが、能力者達がそれを妨害しているので、今までよりかは足を止められるかと。」


「だが、それもミサイルが来るまでの間だ。ミサイルが到達する10秒前には全員を第5防衛ラインまで引き下げろ。」


「第9ですか?それだと、かなりの侵攻を終焉に許してしまうことになりますが………。」


「仕方あるまい。もし王がミサイルを迎撃しなかった場合、あそこの周囲は全て死の土地に変わるし、第3モノリス郡とその結界は使い物にならなくなる。それなら第9防衛ラインまで引き下げて、第2モノリス群周辺に展開した方が良いだろう。第3防護壁まではまだ距離もある。」


各都市の中でも、大型の都市は何重にも結界と物理的な壁が展開されている。

まず、1番外側から第3モノリス群、第2モノリス、第3防御壁、第1モノリス、第2防御壁、第1防御壁という順番で各モノリスや防御壁ごとに結界がはられている。


1番外側の第3モノリスが1番大きく、次に第2防御壁、その次に第1防御壁と第3防御壁、次いで第2モノリス、そして第1モノリスが1番小さい構造になっている。


そして、第5防衛ラインとは第2モノリスと第3防御壁の間で

すこし第2モノリス側の方に位置している。

終焉王が未だに第1モノリスに到達していないことを考えると、部下の「後退しすぎでは?」という意見も納得ではある。


「しかし、我々は第2防御壁を突破されるわけには……」


「言われずとも分かっている。が、恐らく、第1モノリスは持たない。恐らく、時空崩壊式がぶっぱなされるだろうからな。」


第2モノリスの結界までは確実に吹き飛ぶだろう。

しかし、これも賭けだ。


時空崩壊式には甲乙丙とあり、その威力がそれぞれ異なる。

終焉王が封印から脱した時の攻撃は甲以上の威力と思われるが、基本的にはこの3種類だ。


乙ならまだ耐えられる。第2モノリスまでを全て犠牲にすれば第3防御壁が完全に破壊されることは無いだろうと、考える。


しかし、甲だった場合はおしまいだ。

第3防御壁は確実に消し飛ぶ。


むろん、その前方に配置している味方もだ。


第2防御壁のある第3防衛ラインまで下げれば問題なさそうだが、そこまで下げることは出来ない。

だから、これは賭けなのだ。


「時空崩壊式はエネルギーの消耗が激しい。乙を撃ったのならば、暫くは異能をまともに使えないはずだ。」


「………白咲中佐がそれまでにここに辿り着けますかね?」


「間に合って貰うしかない。幸い、あいつらの能力はウミヘビを倒すのに苦労しない火力だ。時間はかかるだろうがな。」



そう、戦いはまだまだ、始まったばかりなのだ。



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