表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黒白の心。  作者: どこかの黒猫
第7章 終焉への誘い
127/182

第24話 終焉を討ち取る為に。


「来るぞ来るぞ!準備はいいな!?」


「直線で狙えるようになった途端、やつは攻撃してくる。まずは撃たせないようにするのが最優先だ。時空崩壊式は撃たれたら1発でおしまいだ。なんとしても、やつに時空崩壊式を撃たせるな!」


了解、と威勢のいい返事が返って来る。

あとは攻撃開始の合図を待つだけだ。

終焉の王を捉えたその瞬間、作戦は始まる。


「見えました!キョリ120000!」


「第1射、うてぇ!!」


「準備出来次第次弾も随時発射!!やつにこちらを攻撃する暇を与えるな!!」


爆音と轟音が次々と鳴り響き、発射された砲弾やミサイル……それらの光が終焉王に迫る。


「第1射着弾!!…………不発です!爆破しません!」


()()()()()()。消し飛ばされた。爆発物は爆発はしない物として見た方がいい。それよりも、やつの能力のリソースを全て防御に回すことが最優先だ!」


「手をやすめるな!少しでも隙を与えたら死に繋がると思え!!」


「能力者達の出撃準備は出来ているか!?」


空墨が確認をとる。

すると、各部隊長である灰空やマユ、夜姫奈、そして単独行動組のラストなどが頷き返す。


「よし、キョリ70000になったら出撃、攻撃を開始する。それまで能力者は待機。」


ダレスが指示すると同時、オペレーターから声が上がる。


「………!時空崩壊式の発動を確認!丙式です!」


「照準はどこに向けられている!」


「第23砲台の方面です!!」


「ちっ、それだと20番~26番砲台は全滅するな。やつの腕を狙撃させろ。なんとしても撃たせるな。」


「っ!?いえ、突然照準を変更しました!!時空崩壊式の発動を解除、今度は高エネルギー弾を生成している模様!」


「第11監視衛星に異常を感知!!情報式が組み替えられていきます!………っ、第11監視衛星、反応途絶!!」「第13監視衛星が映像を捉えました。第11監視衛星が13機に増加しています!!」「解析が完了しました。第11監視衛星はビームエネルギー反射板に改変されています!」


「反射板だと!?反射角度を計算しろ!やつはどこを狙っている!?」


オペレーターの何人かが機器を操作して計算結果を導き出す。

終焉王が狙っている、その場所は………


「イタリア………アドリア海です!」


「アドリア海?何故、急にそんな所を………」


突然、この戦場とは何も関連性がないように思える場所を攻撃対象とすることに、ダレスは困惑する。


すると、ノウがなにかに気づいたように、目を見開く。


「まって、深界迷宮は今どこにあるの!?」


「えぇと………今現在、イタリア半島の上空を移動しています。これは………アドリア海を、通過するコースです!!」


それを聞いた瞬間、各々の反応が一気に変わる。


「ちっ、狙いは姫さんか!」


ダレスが忌々しげに舌打ちをする。

しかし、止める間もなく終焉王から高エネルギー砲が放たれる。


「放たれました!!」


それは真っ直ぐ上に向かって伸びていき、改変された第11衛星によって次々と反射され、角度を変えながらアドリア海へ向かって突き進む。


結果までは観測できなかったが、恐らく、直撃とは行かなくても攻撃は当たったのだろう。


5分ほど立つと、オペレーターが新たな報告を報せてくる。


「…………っ、緊急連絡!!『ウミヘビ』が海岸沿いに出現してます!!『白姫』がそれと交戦しているとも………」


「くそ、こんな時にか!」


いや、おそらくこれを狙っていた。

創造の王たる枝音の足止め、これがやつの狙いか。



――――――――――――――――


「ちっ、落下点がずらされたな。このままだと海に落ちるぞ。」


「私を遠ざけるため、か。」


深界迷宮からの落下途中、攻撃にあった。

空から突然来た攻撃だったが、誰がやったかなんてものはわかりきっている。

そして、防ぐことは出来たものの、落下点を大幅にずらされた。


「………海の中にヤバいやつがいるな。あれは……ウミヘビか。」


「えっ、ウミヘビ!?」


百鬼夜行 No.VIII ウミヘビ


半身を消し飛ばされても蘇るというその異常なまでの再生能力がやつの能力だ。

厄介なことこの上ない。


「着地前に仕掛けるよ。ウミヘビは全部で3匹。私と瑠璃奈、リリィとワース、羅鳴とネアで仕掛けて、その他は着地と同時それぞれの援護!」


「了解!!」


という声が聞こえてくるものの、リリィだけは少し困惑している。


「え、私とこいつ?」


「こいつ呼ばわりは酷いなぁ………。」


「たぶん、一番いい組み合わせだとは思うよ。だって……ねぇ?」


枝音がなにか含みのある言葉を投げかける。

一体なんだというのか。

ワースはなんか面倒くさそうな表情で苦笑いしている。


それに対して、枝音は言う。


「きちんと色々教えて貰うといいよ〜。とくに、『アリア』についてね。」


そんなことを言いつつ、枝音はリリィから離れて瑠璃奈と一緒にウミヘビの1匹に攻撃をしかけ始める。


「まぁ、とりあえず、リリィだったか?……アリアで攻撃だな。」


「ん、あー、わかった。」


そう言って、アリアによる座標点攻撃を行う。

爆発が海中にいるウミヘビを襲い、その腹を吹き飛ばす。


暴れ回りながら海上に姿を見せるが、吹き飛ばされた腹は瞬く間に修復されていく。


「やっぱりなぁ………ちょっと貸してみ。」


「えっ、これ私が契約してるからあんたには使えない………」


「いいからいいから。」


そう言いながらリリィからマスケット銃の形をした遺物、『アリア』を受け取り、その照準をウミヘビに向ける。


「ほれ。」


ウミヘビの頭部から腹部にかけて、連続的な爆発が数百に渡って巻き起こる。

連鎖的に巻き起こる爆発は、ウミヘビの身体を再生した所からズタボロに吹き飛ばし続ける。


「……………すごい。」


「連鎖的座標点移動攻撃だ。座標を常に一定の速度で動かしながら連鎖的に爆発させる。」


「でも、なんで使えてんの?ていうか、私よりも扱えてるし……」


「そりゃあ、『アリア』のお前の前の契約者は俺だからなぁ………。」


苦笑しながら、ワースは言う。

それを聞いて、リリィの目が驚きのあまり丸くなる。


「作ったのはミル……黒音の奴だな。あいつが座標点攻撃の武器を作ってた時に出来たのが『アリア』だ。やつ自身は使わないから俺にくれたが。」


初めて使ったのは魔女狩り戦争の時だ。

どんだけ吹き飛ばそうが切り刻もうが瞬時に回復する『白蛇』の討伐の時に使った。

それはもう厄介だった。


さっきの連鎖的座標点移動攻撃を使ってもすぐさま修復されたし、ミルのやつにもっと火力を上げろ!と言われたくらいだった。

最終的には、ワースが特攻しながらやつの再生速度を上回るほどの座標点爆撃を行い、ミルがトドメを刺すことでなんとか倒した。


「ほれ、練習だ。さっき俺がやったみたいにやってみろ。」


「おっけー!」


そう言いながら、リリィは次々と座標点攻撃を行ってウミヘビを削っていく。

それにしてもあの一瞬で覚えるとは、やはりリリィは戦闘の天才のようだ。

そんな才能があってもあまり嬉しくはないだろうが、このご時世、無いよりは良いだろう。


ワースは、ほかのメンバーの様子も見てみる。

特に問題なく、ウミヘビ程度なら時間をかければ削り切れそうだ。

ウミヘビは再生能力が異常に高いだけで、特にそれ以外の能力を持っていない。


(………クソ、それでもかなり時間を消費させられたな。30分ほどか。ウミヘビを倒すためにヤツを削りきることはできるが、時間がかかりすぎる。)


ダレスの方は大丈夫なんだろうな?とワースは思うのだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ