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黒白の心。  作者: どこかの黒猫
第一章 天使討伐作戦
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第12話 拒絶の心。前編

「夜花と思われる敵を数十人ほど、目視で確認!」


「人口神、再生を開始!活動再開予想時刻はおよそ40分後です!」


「ちぃ、鬱陶しいのがやってきたな!終焉王の相手は俺がやる!力の大半を失ってる今の奴ならなんとか出来るはずだ。他は各自、適切に対処せよ!空墨、指揮はお前に任せた。」


急に指揮を任された空墨はポカンとして、慌てて返事をする。


「りょ、了解!」


「では、私は黒音の対処に向かう。」


「どこに向かうって言うんだい?」


黒音は、もう既に目の前まで来ており、悠長に話しかけてくる。

他の夜花のメンバーも、各々が他の白華のメンバーと交戦を開始する。


「久しぶりだなぁ?夢羽。元気にしてるか?」


「……そこまで久しぶりでもないだろう。それに、生憎元気ではなくてな。貴様が死んでくれれば、元気になるのだがなっ!!!」


夢羽は捻くれた杖のような武器を取り出し、その形状を剣に変え、走り出す。


(ふむ、デザイアか……。)


デザイア、能力は武器の形状変化、及び変化した武器の形状によって様々な能力を付与する。

一般的なものなら、相手の能力の弱点を突けるというかなり厄介な産物だ。


「まぁ、とりあえず君には、ここでおとなしくしてもらおうかな。…アリアドネ。」


ガシャッと、左手に銃を具現化し、黒音も走り出す。

アリアドネ。その銃はウィンチェスターライフルの形状をしており、黒く輝いている。


そのまま照準を夢羽に向け、撃つ。まるで拳銃かのように片手で軽々しく扱っていおり、通常なら反動で照準がズレるはずだが、その狙いは外れずに夢羽の心臓を的確に捉える。


「拒絶する。」


夢羽がそう言った瞬間、銃弾がまるで最初から何も無かったかのように消え去る。

夢羽は剣の刀身を10メートル程まで伸ばして切りかかる。

それを黒音はジャンプしてよけ、空中で一回転しながら右手の刀を捨て、トミーガンを右手に具現化する。


「これならどうだ?」


着地すると同時にに夢羽に向けてばら撒くが、やはり夢羽に着弾するまえに全て掻き消える。奴は拒絶する物体を視覚的に認識して消している。ならば、大量にばらまけば奴の認識処理を超えるのでは?と思ったが、そうは上手くいかないようだ。


「ふむ、ならHE弾でいくか。」


マガジンを別の物に変更し、再び撃つ。今度の弾は爆発四散するタイプのものだ。

夢羽は銃弾という物体を認識して拒絶している。ならば、対象の形が途中で変われば消すことは出来ないのでは?と考える。

爆発四散してしまえば『銃弾』を消すことは出来ないと思ったが、爆発した炎や飛び散った破片も含めて全て掻き消える。


「無駄だ。範囲指定で消せば対象の形状が変化しようと、どれだけ大量にばらまこうと関係ない。」


(…流石は九心王の序列4位、この程度で封殺できる訳がない、か。……だがやり方はいくらでもある。)


冴詠(さえ)!」


右手のトミーガンを捨て、黒音がそう呼ぶと投げ捨てて地面に突き刺さっていた刀が手の中に戻ってくる。そして左手に持っていたアリアドネを片手でスピンコックし、再び撃つ。


1方で夢羽は、その銃弾を能力で消し去りながら、刀の形状を銃のような形に変える。バチバチと帯電しており、そのままトリガーを引くと、稲妻が黒音に向かって襲いかかる。


「形状変化!避雷針!!」


刀を思い切り前方の地面に投げて突き刺す。すると、その周りの地面から黒い針のようなものが大量に突き出る。

黒音に向かっていた稲妻は全てそれに吸い込まれる。


(避雷針を作って稲妻をやり過ごしたか。だが、今のお前は余りにも無防備だぞ?)


剣を避雷針代りにするために手放したため、今は素手の状態である。しかも、手放している間は遺物の能力は使えないので、防御のしようがない。

そのまま、今度は炎をまとった槍の形にし、突き刺す。


「夕焼けの空。」


黒音がそう言って右手を突き出すと、盾のようなものが展開され、夢羽の槍を受け止める。


(ちっ、こいつを貫く事は俺には無理、か。)


黒音は左手のウィンチェスターを再びスピンコックし、撃つ。

この盾の向こう側のものにはよほど特殊なものを除いて、どんなものでも干渉は出来ない。

つまり、拒絶の能力は相手の弾丸がこの盾のこっち側に来てから使用しなければならないが、それだと恐らく間に合わない。避けるのも難しい。


故に、夢羽はそれをデザイアを槍の形状から盾の形状に変化させ、防御しようとするが、すぐに失策だと気づき避けようとするが、遅い。

銃弾はそのままデザイアの盾をすり抜け、夢羽の左肩に直撃する。

そして、夢羽の左肩が銃弾が当たったとは思えないほどの、凄まじい威力で爆ぜる。


(特殊弾頭…!殺奪弾か。)


殺奪弾、効果は確か着弾した生物、または物体の保有する力が高ければ高いほど、それに比例して爆発の威力がある程度まで高まるというものだったはずだ。


「くく、防御をしようとしたのは失敗だったな。お前も知っているだろうが、この銃の能力は撃った銃弾は一部の例外を除き、あらゆる防御の貫通するものだ。」


その言葉の通り奴から放たれた銃弾は先程、夢羽の防御をすり抜けるように貫通した。


「まだ貴様が勝った訳じゃあないだろ。調子に、乗るな!」


体を再生し、雷をまとった剣で薙ぎ払う。黒音はそれをジャンプして避け、バチっとスパークしている剣に、円筒型の物体を投げつける。

稲妻にその円筒型の物体が触れた瞬間、光が漏れ始めるのを確認する。


(閃光弾!?)


拒絶の力は対象を視認して、位置を把握しないと発動出来ない。範囲指定でまとめて消し飛ばしたとしても、指定する範囲の空間座標を設定しなければならない。


現状、視認する以外の方法での座標確認は出来ない。そして、視認したら光で目を潰される。どちらにしろ、今からでは能力を使用しても間に合わない。


「クソがっ!デザイア!視神経接続!!」


デザイアの一部に眼球を作り、それを視神経に接続することでなんとか周りを視認する。が、いない。

どこかに隠れて、死角を突いてくるか?と思うがそこでふと疑問に思う。なぜ、再生能力を駆使して突っ込んでこない?


奴なら持ち前の異常な再生能力でゴリ押し出来るはずだ。

弱体化しているという事は聞いている。終焉王の能力も、書き直しも使えないと言う報告はある。

だが、身体能力強化や、超再生能力は失っていないはずだ。


現に、あの人口神…元天使を弱体化させていない状態で腕を切り落としたり、首を切り落とされても再生したという報告がある。

なぜ、使わない?使えないという事はない。

使わない理由もない。


何か、見落としているのでは?と思う。そして、気づく。黒音は今まで剣の能力を避雷針への形状変化しか使っていない。攻撃する時も、銃しか使っていない。


そして、避雷針程度なら、形状変化ができる遺物など冴詠以外にもいくらでもある。

そして、冴詠の形状変化は、生物にまで姿を変えれたはずだ。


(まさか……!!)


「おや?気づかれたか。流石だな。」


真後ろから声がし、急いで振り替えるが、遅い。

術式の組み込まれた杭を右目に突き刺される。


「があぁぁぁあ!!」


(封印術式、だと!?いや、それよりも!)


やられた!と思う。今まで戦っていたのは黒音ではない。黒音に擬態した冴詠だ。あの剣は、確か人型にもその姿を変えれるという事を聞いてはいた。だが、剣が人の形になった所でなんの意味もないと、無視していた。それが、隙となった。


(顔なら死角となり、拒絶出来ないと思ったか?物理的なものなら、直接触れて拒絶できる!)


そう思い、左手で右目の杭に触れようとするが、左手が動かない。左目で確認すると、左肩から黒い文様が左腕全体に巻きついていた。


「ククク、あははははは!!見事に引っかかってくれて嬉しいよ!!!」


「まさか、さっきのは殺奪弾では、ない?でも、爆発して……いや、まさか、通常の爆裂術式?」


「その通り!くく、まさか、通常の爆裂術式と偽装術式で封印弾を偽装しているとは思わなかったようだなぁ?」


相手が特殊だから、特殊な能力に警戒しすぎて一般的なものを見落としてしまっていた。それが、致命的なミス。


右手はデザイアで塞がってしまっている。

そして、右手を使って術式を解く余裕を、黒音が与えるわけが無い。

確実に、追い詰められていた。


「拒絶王、相変わらずだったねぇ。んじゃあ、私はあっちの方で遊んでくるから。」


兄妹といっても分からないほど黒音にそっくりの女の子……人に姿を変えた冴詠が、銃をクルクルと回しながらナイフを上に投げてはキャッチして遊んでいる。


「はっ、勝手にしろ。」


呆れたように黒音が言うと、鼻歌を歌いながら冴詠は他の白華のメンバーの方へ向かっていく。


「さて、トドメだ。寝てろ、拒絶王。」


黒音は、アリアドネをスピンコックして夢羽の頭に銃口を突きつけ、撃った。


どうも、どこ黒です。

12話の前編です。後編は一時間後あたりに投稿します。

6000文字を超えちゃったので、読み安いかなーっと思って分割しました。

前編後編って分けるのはあんまり好きじゃ無いんですけど、仕方ないですね。

速攻で分割して投稿したので、雑なところや、おかしな点が多数あるかも知れません。その時は教えてください(未だ誰からもコメント頂いてないですが)

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