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黒白の心。  作者: どこかの黒猫
第7章 終焉への誘い
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第2話 終わらせないために

「さぁ、終わりの続きを始めようか。」


ミルが周囲に浮かび上がらせている十字架と棺を一斉に放つ。

棺と十字架はひとつのものを終わらせれば終焉の効果は発動しなくなる。

故に、枝音が違う何かを生み出し、ぶつけてなんとか攻撃を凌ぐ。

それでもいつまでも持たせられる訳が無い。


枝音の能力は強力だが、そのぶん体力の消耗が激しい。

前まではそのせいでかなり時間制限がついていたものの、使い慣れた今となってはそれはもうほとんどないと言ってもいい。


だが、それでも無限に使い続けられる訳では無い。

いつかは、体力が無くなる。

それまでに何とかしなければならないのだが……


「封印結界の釘をありったけぶつけろ!」


突如現れた男が、大声で司令を出す。

と、同時に様々な大きさの杭が見るに向かって放たれ、その全てが消滅させられる。

突如現れたその人を見て、瑠璃奈が驚く。


「…………っ!空墨准将!?」


「瑠璃奈くん、詳しい話は後だ。今は彼らと共に、アレを何とかすることが最優先だ。」


「…………分かりました。」


複雑な表情になりつつも、瑠璃奈はとりあえず命令に従うことにする。周囲もメンバーもそれに従い、各自が行動を開始する。


さらに封印結界の釘がいくつも放たれ、ミルに向かって突き進む。


「終焉せよ。」


だが、その全てがミルに届く前に消滅する。


「時空崩壊、乙式」


回転する6つの棺が、ミルの背後に浮かび上がる。


「まずいっ!?」


「『文章改竄』!!」


バチィ!と黒い稲妻が鳴り響き、ミルに向かって突き進む。

だが、ミルはそれらを見もせずに全て防御する。

だが、黒い雷がミルの背中の棺に触れた瞬間、棺がサラサラと砂のように分解されて消えた。


「夜姫奈……?」


「やっ!久しぶり。」


夜姫奈の後ろには、古木森やティアも控えているようだ。

まさに、メンバー全員大揃いと言った感じである。

………水姫と夢羽の姿は見えないが。


枝音が今まで終焉王の力を全て抑えこんでいたが、増援がそれを幾分か肩代わりしてくれる。

その分、枝音が幾分か楽になり尋ねるべきことをきく。


「んであれ、どうするのさ?」


枝音の問いに、殺雪が1枚の呪符を取り出す。

通信系の術式が編み込まれた呪符のようで、そこから声が聞こえてくる。


『初めまして、私は9心王が第8位 知識王ノウ、よろしく。いきなり本題に入るけど、ヤツは天界に封じ込める。』


「天界?」


『そ、貴方も行ったことがあるでしょ?あそこはもう住んでるやつがいなくなっちゃったし、何かを封じ込める場所としてはうってつけなわけ。』


「でも、終焉の力は?直ぐに抜け出されるんじゃないの?」


『天界は、修復じゃなくて破壊された空間を覆い尽くすようにして補填するの。だから、いくら終焉王と言えども突破は難しいはず。』


さらに、とノウが言葉を続ける。


『んで、タルタロスで出口を塞げば最低でも2週間ぐらいは持つはず。』


「2週間…………。」


『その2週間で何をするかは決めてあるが、それは後よ。』


その通信をそばで聞いていた瑠璃奈が、会話に割り込む。


「てか、聞き捨てならないんだけど、タルタロスを使うってどういう意味?」


「タルタロスって、百鬼夜行のNO.14だよね?」


ネアもまた、タルタロスという言葉に引っかかったのか会話に入る。

それらの疑問に、ノウは当然のように答える。


『そう、NO.14タルタロス。アレを利用するの。』


「それこそどうやって?百鬼夜行はどうしようもないバケモノ、私たちの言うことなんかききゃしないわよ?」


『いや、アレだけは例外ね。タルタロスは、ウロが作ったものじゃないの。アレは、奈落の神タルタロスの魂の残骸を利用して私が生み出したものだもの。』


「……………………は?それって、どういう…………。」


『それもこれも全部後、アレを閉じ込めてから説明するから、まずはアレを閉じ込めるのを優先!でないと世界が滅ぶわよ?』


それを聞いて、瑠璃奈は訝しげな表情をしつつも黙る。

確かに、こんな状況なのに、これ以上直接は関係の無いことで言い合っていても仕方が無いだろう。


枝音が質問の続きをする。


「天界にどうやって入れるの?」


『封印結界の釘を周囲にありったけ刺してある程度結界を作り、空間置換を行って結界を外から覆い尽くすように閉じ込める。それをタルタロスが鎖でさらに、封じ込める形になるわ。』


「じゃあ、空墨准将が封印結界の釘を大量に使ってるのも?」


『そ!彼に協力を要請するのに苦労したんだぁ〜。何分、私たちは一人一人が強力でも、組織的な力は無いからね。』


その事を分かっていて、夜花と白華という2つの組織を作り、作らせた黒音は私たちとは考えがかなり違っていて凄い、とノウは感心する。


「じゃ、具体的にはどうしたら?」


『…………だいたい釘はばら撒き終えたわね。なら、空間置換の作業に入るわけだけど、枝音、あんたを座標にして、空間置換系の能力者で一気に空間を反転させる。』


前に一度天界に入ったことのある枝音を座標とし、それを中心として半径300メートル以内を全て天界へと変換する。

空間置換系の能力者を支配王の力で支配し、他の9心王の力を複合行使することで、天界に行くのではなく天界を呼び出すのだ。


発動の中心点は当然、ミルの近くだ。

故に、発動座標として使われる枝音は、当然の如くミルの近くにいなければいけない。


「つまり、私は最前線?」


『そういうことになる。1番危険な場所ではあるけれど、1番生還率が高い人選でもある。………それに、もともとそこにいるつもりだったでしょ?』


「まぁ、そうだけどね。後で詳しい話、聞かせてもらうよ?」


『それはもちろん。』


「分かった。瑠璃奈、行くよ。」


「ちょ、あんた1人で行かせられるわけ………え?」


枝音の言葉に、言おうと思っていたセリフを途中で遮る。

いま、なんて言った?

一人で行くつもりなんだと思っていた。

いつだってそうだ。枝音は、いつだって一人でどこまでも知らないところまで行ってしまう。

だから、無理やりついて行ってやろうと思ってた訳だが………


「絶対そう言うと思ったから。」


してやったり、と言う顔で枝音が言う。

それを見て、やっぱわかんないな、と瑠璃奈がため息を吐く。

一人でどっかに行ってしまったかと思いきや、今度は着いてこいと言う。


ほんとに、勝手で、楽しい友人だ。


中学に入りたての頃、復讐心を抑えきれずに荒んでいたあの頃の私をそれでも友人として受け入れてくれたのは、枝音、あんただけだったから………。


「OK、とりあえず、みんなでアイツを何とかするわよ。」


瑠璃奈の言葉にレイリやネア達が頷く。


「我々は…………」


と、そこで別の声が入る。

枝音達が振り返ると、そこには灰空達がいた。


「我々は、どうすればいい?」


『………君たちは、白華と敵対する存在よ。それでも、協力出来る?』


「………出来る。それが閣下のためになるのなら、彼への恩返しとなるのなら。我々の居場所を、取り戻せるのなら。」


夜花は、もともと居場所がないもの達の集まりだ。

一番最初に黒音に着いてきた時から、居場所はもう決まっている。着いてこいと言われ、着いていくと決めたその時から、ずっと。

これまでの仲間たちと同じように、自分達の居場所を守るため。

黒音の手助けをするのが、生きる理由なのだから。


『…………白華側は?それを許容できるのかしら?』


「ん、私が何とかするから大丈夫でしょ!」


「え、ちょ、枝音あんた勝手に………。」


瑠璃奈が少々戸惑うが、枝音は大丈夫だろうと思っている。

確かに、今までは争ってきた中だ。

そう簡単に、割り切れる者は多くないだろう。


でも、今は。


「少しでも仲間は多い方がいい。それに、彼らは黒音がやろうとしていたことについて詳しい。手を組んで損は無いはず。」


「だけど……………」


瑠璃奈が、逡巡する。

瑠璃奈だけではない、他のメンバーも、少し困ったような表情だ。

それでも、


「…………うん、分かった。いいよ。枝音の好きにしたらいい。あんたはこれと決めたら、なかなか変えないもんね。」


「ありかと!じゃ、灰空さん達も協力よろしく!」


「………なんか、すみませんね。」


灰空が、申し訳なさそうに肩をすくめる。

いいってことよ、と言いながら枝音達はそれぞれの持ち場につき始める。


「じゃ、俺達も行くか。」


雷狐が言うと、全員が頷き返した。


――――――――――――――――――


「時空崩壊……」


「させないっ!」


ミルの右腕を、枝音が瞬時に蹴りあげる。

棺や十字架はラストが生成する量に制限をかけたり、夜姫奈が分解したりして対処する。


「瑠璃奈!」


「黒瑠璃、力を貸して!黒陽!!」


瑠璃奈が黒き太陽を生み出す。

だが、


「模倣、複製、並列する世界。」


ミルがそれを模倣する。

が、さらにそれを呪王が制御権を奪い取り、ミルにぶつける。

ミルが終焉の力でそれを消し去るが、レイリと羅鳴が背後から攻撃を仕掛ける。


その攻撃ををかわそうとするのを、枝音が後ろから蹴りつけて直撃させる。

が、傷口を全て再生しつつ、枝音の足を掴んでへし折る。


「ぎっ!?」


少しの痛みに一瞬怯むも、夜姫奈がミルの腕を吹き飛ばすことで何とか離脱。

折れた骨を再生しつつ、剣を数本投げつけるが、全て消滅させられる。

雷狐が雷で攻撃するも、それを複製し相殺する。


九尾が見た目を枝音に変えて襲いかかる。

ミルの攻撃が若干緩むが、すぐさま幻術と看破、棺で吹き飛ばそうとするが上から本物の枝音に蹴りつけられて攻撃の方向がズレる。


と、そこでノウから通信が入った。


『準備が出来た!枝音以外の全員はそこから待避!』


「「了解!!」」


枝音は逆に前に出つつ、他のメンバーはマユの空間転移で離脱する。


その行動を訝しげに感じたミルが、時空崩壊を発動しようとするが………


「遅いっ!」


枝音とミルを中心として、あたりが白い空間に起き代わっていく。

白い空間は球体のように2人を包み込み初め、鎖がそれをさらに外側から雁字搦めにしようと巻き付き始める。

見れば、いつの間にか地面に巨大な黒い穴が開き、そこの中心に鎖で体の半分以上を覆われた人型の何かがいた。

アレがタルタロスなのだろう。


タルタロスの周囲から、さらに鎖が伸び、ミルと枝音を完全に封じ込めようとする。


『枝音!脱出を!!』


枝音までも閉じ込められてしまってはどうしようもない。

唯一空いている出口から、枝音が離脱を試みる。


だが、それを許すミルでは無い。

その出口から己も脱出しようと、枝音を追いかける。


あと少し、あと少しのところで、ミルの腕が枝音の足首を捕まえようとする。

捕まる。

そう枝音が考えた時、つい、知らず知らずのうちに声が出ていた。


「黒音!!止まりなさい!!」


今の黒音は黒音では無い。ミルにそんな言葉が通じるはずもない。

なのに。

枝音が大声で叫ぶやいなや、何故かミルがピタッ、と伸ばした腕を途中で止める。


もう間に合わない。ミルは脱出出来ない。

それを悟ったミルは、追いかけることを止め、代わりに不思議そうに自分の手を見ていた。


そんなミルの姿を視界に収めつつ、枝音は白い空間から外に出る。





はい続きでえぇぇぇぇす!!

今回は言うこと特にないっす!

で、次は会話文が主体となってしまいますから、情景描写が少ないとか言わないでお願い!


では、その会話文だらけの次出会いましょー!

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