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胸キュン☆ゲット大作戦  作者: 中嶋千博
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唯の告白

「あたしね、ヒロ君が思っているような、人間じゃないよ。

 ヒロ君はあたしのことを、いつも明るくて裏表がなくて、一緒にいて飾らなくていいから、楽だ、なんて言ってくれるけれどね。

 本当は、人一倍、執着心があって、その人が自分だけのものになるなら、その人が不幸になってもいいと思うような性格なの。


 ヒロ君には話したくない。けれど話さないと、あたし、ヒロ君と一緒にいるのがつらい。だから話すよ。

 あたしがずっと、心の中にしまっていてたこと。


 ヒロ君と初めてあったのは小学校一年生の時。そのときからヒロ君は気になる存在だったんだ。

 何事もそつなくできて、黙っていても周りには人が集まってくる、そんな存在だった。


 あたしはそんなヒロ君がうらやましかったし、ねたましかった。


 あたしはヒロ君に何をやっても負けてた。テストの成績も、自分では得意だと思っていた、運動でもね。


 そんなヒロ君の存在は、ますますあたしの妬みの種となり、そして一番気になる存在になっていった。

 ヒロ君と遊んでいると楽しいし、ずっと一緒にいたいと思うようになっていたの。


 その気持ちが『好き』だという感情だとあたしは気づかなかった。


 小学校を卒業する日、中学校ではヒロ君と違う学校になることになっていたから、これからはヒロ君と簡単には会えないんだと思うと悲しくなった。


 けれどヒロ君はあたしのそんな気持ちなんか露とも知らないで、友達同士でおしゃべりしていて時々ふざけ合ったりしていたね。

 下級生たちが作ってくれた手のトンネルをくぐるときは、こんなトンネル初めてだぁってはしゃいでいたね。

 そんなヒロ君の気をどうにか引こうとして、あたしはやっちゃいけないことをしてしまったんだ。


 たまたま近くにいた男子に告白すること。

 告白して、承諾を得て、それをヒロ君の前で見せつけること。

 あたしはただヒロ君の気を引きたかっただけ。


 けれどヒロくんはあたしが予想しなかった行動にでた。

 ヒロ君も他の女子に告白しちゃったんだから。


 え? て思った。


 その子はヒロ君の告白をすぐに蹴ってくれて、安心した。

 あたしはあたしで、あのとき告白した男の子とは一か月もしないうちに別れたんだよ。


 それから後はヒロ君と会うことはなかった。

 一度だけ中学3三年生の時の初もうででばったりあって、屋台の射的をやったね。

 あのときにヒロ君からもらった変な人形、まだ持っているんだ。


 誠心高校でヒロ君と再会してあたしは驚いた。

 小学校の時のヒロ君とぜんぜん雰囲気が違っていただもの。

 小学校のときはクラスの人気者だったヒロ君が、日陰の人になっていたから。


 驚いたけれど、心の中でほくそ笑んだのよ。

 ようやくヒロ君があたしだけのものになったって。


 影の薄いヒロ君を誰も相手にしない。相手にしてあげるのはあたしだけ。

 それだけで満足だった。


 なのに。


 2年生になって少し経ったときから、ヒロ君は前のヒロ君みたいになっていった。


 あたしは内心焦った。


 ヒロ君が他の女の子たちとおしゃべりをしているのをみるだけで心の中で嫉妬心でいっぱいになった。


 そして、アニス君が現れた。

 ここでもまたあたしは同じ過ちを繰り返してしまった。


 アニス君があたしに告白してくれて、あたしは、アニス君のことぜんぜん知らないし好きという気持ちもわいていないのに、ヒロ君の関心を引くためだけに、アニス君の告白を受け入れたんだ。


 ヒロ君の気を引こうとして、下校時にわざわざアニス君に門の前で待ってもらったりもした。

 あたしの思惑に反して、ヒロ君の周りには常に人がいて、あたしのことなんて気にしてないように思えた。

 アニス君と会ってもアニス君との会話は上の空で、ヒロ君のことばかり考えてしまって。

 そして事は起きたんだ……」


 唯の告白を俺は時には相槌をうち、時に驚きの声をあげながら聞いていた。

 そして、唯の言葉が続かなくなりうつむく唯をやさしく包み込むように抱きしめた。


「話してくれてありがとう。

 そんな唯をすべてひっくるめて好きなんだ」


 抱きしめる腕に力をこめると、唯の体温が伝わってきた。


 唯が小さな声で言った。


「ありがとう、ヒロ君」


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