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胸キュン☆ゲット大作戦  作者: 中嶋千博
32/68

新しい世界を知るときが来た

 土曜日になった。

 この日俺は、夕方五時を過ぎてから安奈とともに、いつものコンビニに向かった。

 夏休み中、実家に帰っていた千佳さんが、今日からコンビニバイトに復帰するのだ。

 安奈は夏休み中に、千佳さんから借りた「蝶より花より君が好き」の漫画を全巻の24巻まで読破して感銘を受け、漫画を貸してくれた千佳さんにお礼を言いたいということでついてきたのだ。

 千佳さんから土曜日11時から17時30分までのバイトだとメールで教えてもらっていたため、千佳さんがバイトの終わる時刻に合わせてコンビニにやってきた。

 24巻も入ったビニール袋は重かった。

 安奈のやつ、手伝ってくれないんだもんな。

 17時30分少し前に、コンビニにたどり着き、中に入る。


「いらっしゃいませ」


 千佳さんと一瞬目が合い、笑みを交わす。千佳さんがバイトを終えるまで、俺はいつものように週刊サタデーを読み、その間、安奈はファッション雑誌を読んだり、お菓子コーナーを物色したりしていた。

 17時30分を過ぎ、千佳さんが新しくやってきた千佳さんと同じくらいの歳のバイトの人とレジを交代し、奥に引っ込んだ。


 その様子を見て取らえ、すでに週間サタデーを読み終え、無駄にビジネス書をペラペラとめくっていた俺は、安奈を促して、コンビニの外に出た。

 ほどなくして千佳さんがやってきた。


「おまたせ」

「おつかれ。これ、借りていたやつ」


 ビニール袋を手渡すと、すかさず隣で安奈が挨拶をする。


「千佳さんですね。わたしはこの人の妹で、小林安奈といいます」


 この人ってなんだ。実の兄に向って失礼なやつめ。


「漫画を貸してくれてありがとうございました。楽しく読ませていただきました」


 安奈がペコリとお辞儀をすると、千佳さんはやさしい笑みを浮かべた。


「楽しんでくれてよかったわ。自分の好きな漫画をほかの人にも好きになってほしいだけなのよ。だからこれはわたしの趣味の押し付けでもあるから気にしないで」


「押し付けだなんてそんな。前から興味がある漫画だったので、うれしかったです」

「立ち話もなんだから、どこかのカフェに入きましょう。 もちろん小林君と安奈ちゃんにこの後時間があればだけど」

「大丈夫です」

「わたしも大丈夫です」


 俺たちはコンビニからさほど離れていないところにあるドトールに入った。こんなところにドトールがあるとは知らなかった。

 知らなかったというより気づいていなかっただけだろう。高校生にとって、ドトールやスターバックスといった、ただコーヒーを飲むだけの店は敷居が高い。

 コーヒー一杯に500円も出すのはもったいないと思ってしまうのだ。専門学校生でありアルバイトもしている千佳さんは、普通にドトールに入っていったため、俺たちもその後に続いた。

 千佳さんは「本日のコーヒー」、安奈は「アイスカフェオレ」、俺は「コロンビア」というやつを頼む。たくさんのコーヒーの銘柄が並ぶメニューの中から、なぜコロンビアにしたかというと、どれも違いがよくわからなかったため、耳になじみのあるコロンビアにしただけのことだった。


 案内されたテーブルで一息つくと、千佳さんはカバンから袋を取り出した。


「はい、これ」


 受け取って袋の中を見ると、「ときめきトワイライト 生徒会編」のゲームディスクが入っていることを確かめる。


「うわああ!」


 うれしそうな声を上げるのはノエルである。


「博士様、早く家に帰って、このゲームをやりたいです」


 俺をせかすノエル。ノエルの声は聞こえないふりをして、


「俺も渡さなくちゃな」


 24冊入っているビニール袋から1枚のゲームディスクを取り出した。タイトルは『純白の君に捧ぐ』。タイトルでだいたいは想像できるだろうが、乙女ゲームである。3年前に発売されたゲームで、千佳さんはまだプレイしたことがないということで、貸すことになったのだった。

 お互いに持っていないゲームを貸し借りする。すべて手にいれるよりもお金の支出は半分になるし、お互いに情報交換もできる。すばらしいシステムだ。


「これやってみたかったのよね。ありがとう」

「ときめきトワイライトとはまた違う角度からイケメンが現れるから、性に合えば楽しめると思うぞ。いろんな意見があるがな。姉妹版の『漆黒の君に捧ぐ』ももっているから、それをプレイし終わったら貸すよ」

「楽しみが増えたわ」


 にこにこ笑顔の千佳さんに安奈が不思議そうに質問した。


「そのゲーム、そんなに面白いんですか?」

「こういうゲームを受けつけるか受け付けないか、その人の好みにもよると思うわよ。そうだ、安奈ちゃん、BLとか興味ある?」


 小首をひねる安奈。


「ビーエル?」


「そうそう。知らないなら、おすすめの漫画があるのよ。あ、そのまえにBLの説明をしなくちゃね」


 うわ、俺、その話聞きたくない。


「俺はそろそろ行くぞ。千佳さんと安奈はゆっくりしていってくれ」

「うん、またね。ゲームを進めていって分からないところがあったら連絡して。アドバイスくらいはできるから」

「ありがとう。千佳さんも、そのゲームやってて、つまったら連絡してくれ。3年前にやったきりで、記憶が不確かなところもあるが、たぶんアドバイスできると思う」

「ありがとう」


 俺は二人を残してドトールを後にした。BLとは「boy’s Love」の略称だ。男と男が好き合うというストーリーで、男である俺は、そんなシチュエーションはごめんなので、手を付けていないジャンルだ。

 しかし一部の女子には猛烈なファンがいる。千佳さんもそのファンの一人だったのか。

 安奈が千佳さんからBLの知識と面白さを教わって、そのジャンルにハマったら、今まで安奈が俺をオタクのゲーマーだとバカにしていたように、俺も安奈をからかってやろう。

 ニヒヒと笑みを浮かべたところに、ノエルの声が耳に入る。


「はやくはやくはやくしてくださ~い」


 ノエル、うるさいぞ。ノエルは夏休みの間に「ときめきトワイライト」をほぼクリアしていて、新しいゲームに飢え始めている。

 そこにときめきトワイライトの続編を千佳さんから借りることができて、いてもたってもいられなくなったらしい。


 俺もときめきトワイライトの続編は気になるが、今俺がはまっているのは佐々木から借りている「カワセミの唄」。

 これをクリアしないかぎりは、ほかのゲームに手を付けられない。

 幸いなことに、「カワセミの唄」と「ときめきトワイライト 生徒会編」はプレイ機種はかぶらない。「ときめきトワイライト」はPS3だったが、「ときめきトワイライト 生徒会編」はPSP。「カワセミの唄」はPS3なのだ。

 同じゲームの続編なのに、プレイ機種が違うのは大人の理由があるらしい。

 子供の俺は知らないふりだ。


 俺とノエルは家に帰るとすぐさま自分のやりたいゲームに取り掛かった。


 そして次の日の日曜日、泉先生とデートする日がやってきた。


「ときめきトワイライト」、「春華春闘花の舞」に引き続き、

「蝶より花より君が好き」も中嶋の創作です。

せっかくなので、簡単にあらすじを記載します。


『蝶より花より君が好き』

日本の伝統文化がさまざまな要因により腐食されている。

このままでは「いかん」と感じた日本の神々は

伝統文化を返り咲きさせようとある策を立てた。


ある日、主人公(女の子)の前に、文化の神なる者むが現われ

日本の文化を広めるため、協力して欲しいと頼まれる。


主人公がやることは、日本の伝統芸能における三道と呼ばれる

茶道、華道、香道を極めるそれぞれの男の子と接触し、

彼らの好感を得ること。


それのどこが日本の文化を広めることになるのか

うやむやなまま、物語は進む。


絵がきれいで、イケメンぞろい。

漫画を読みながら、教養も得られると父兄からの高い評価を受ける。



とこんな感じです。


漫画を読みながら教養も培われるなんて、最高ですね!


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